何とか宥め賺して、そして白からの
そして、俺自身の秘密を明かすことになって。
今日の晩には、今まで伏せていたもう一人の俺について。
つまり、
瘴気箱が消え始めようかと心配になる頃、漸くそれは開かれ始めた。
「で、ご主人。 解錠に当って基準はあるか?」
「基準……なぁ。」
基本的に中に霊能力者が残っている限り、玄室の中に妖は再生成されない。
再生成という言葉が正しいのかは一旦置いておくにして。
その場で足踏みを続けたとしても無限に戦える訳ではないのだ。
戦いたいのなら一定以上の時間を空けるか、幽世と現世を出入りすること。
但し後者にもデメリットは有る――――というのは今は余計か。
「時間は幾らでも掛けていいし……罠の種類次第?」
「なんとも曖昧じゃのう。」
「最後は白頼りになっちゃうしな。」
瘴気で閉じられた箱。
中を開ければ霊力と結び付き何かしらを生み出すが、当然それ自体は人の敵。
つまり無防備に開けようとすれば物質化した罠として悪意を剥く。
例えばそれは負傷と同時に内部を蝕む毒であったり。
神経系を冒し、まともに術技が使えない状態に落とす
或いは幽世内の妖を呼び寄せる何らかの匂いを漂わせたり。
幽世内の何処かに飛ばされる空間転移であったり。
ただ、俗に言う『壁の中』という現象は発生し得ない。
その存在が持つ霊力と瘴気が反発し、埋め込まれそうになれば最も近くの通路に飛ぶ。
ただ、
「ただ、此処で見つかる罠は多分『針』とか『毒噴射』とかの比較的対処が楽な罠だと思う。
それ以上のモノに見えたら一旦控えておく……でどうだ?」
「分かった。 こればかりは吾も初めてじゃからのう。」
そして罠の解錠も特殊な能力。
瘴気という曖昧な状態に対し指先から微量な霊力を放出。
口にするだけならミニゲームのような雰囲気を漂わせるが。
それぞれの担当区分が変わってくる、というのが厄介なところ。
先ず求められるのが
それに加え罠の特定には『呪』の霊能力が、解錠には『速』の霊能力が必要になる。
つまり、今回の場合確率は良くて7割……を見積もれば良い方か。
がちゃりがちゃりとやる横で。
何かあった場合に直ぐ対応できるよう道具を整理する。
塗り薬、解毒の丸薬、そしてできれば飲みたくない薬包。
使う機会が無ければ良いのだが、と思いながらも今の内に地図を覗いておく。
地図上、現在埋まったのは紙面の4割程度。
但し目標方向へは7割程度埋まりつつ有る。
油断するにはまだまだ早いが、このまま進めばじきに出口が見え始めるはずだ。
……問題は、宿が取れるかどうかとかの方なんだけれども。
「ご主人よ。」
そうしている中。
視界の片隅で首を捻る白からの要請。
「どうした?」
「恐らく『針』だとは思うのじゃが……念の為にお主も確認してくれるか?」
「分かった。」
この辺り、真面目に対応できる人物がいないと辛いな……。
それぞれがそれぞれの理解で考えてしまうから、推測できる罠の種類も違って見える。
ある程度
意見が合致すれば理想だし、そうでなくてもメインの考えに従う。
早めにこの体制に移行したいところだ。
「どれどれ…………あー……。」
手元の箱を覗き込む。
指先では微かに物質化した罠の先が見え。
小さく丸い、金属で出来た穴……というよりは筒が此方を向いている。
「俺も『針』に見えるな……。 『毒噴射』はもう少し広範囲に広がる印象だ。」
「なら認識は同じでいいな?」
「だな。 少し後ろに下がっておく。」
被害を拡大させないため、という言い分が成り立ってしまうのは少し嫌だが。
実際失敗した時に式だけが負傷するのと俺も纏めてだと受ける被害が二倍。
後半の『転移』が混じり出すまではこれで良いはずだ。 多分。
少しの間、指先を手繰るような動作。
かちゃり、というこの世界では珍しい何かが外れる軽い音。
「上手く行ったぞ。 中身は先に見ても良いか?」
「まだ俺じゃ鑑定出来るか怪しいしな。 見ちゃってくれ。」
『渉』は呪法の干渉効果増加と合わせて、道具の鑑定成功率にも影響する。
つまり将来的には道具の鑑定役は俺になるわけだが……呪いの武具とかもあるからな。
やっぱり呪法担当後二人が早く欲しい。
白の肩越しに箱の中身を見る。
ただそれも少し難儀しながら。
……今の俺で分かるのが一つ二つ。
先程まで使っていたのと同じ塗り薬……を模倣したモノに煙玉か。
後は布鎧に刃物が二本。
……この刃物の片方、ちゃんと見えないが何らかの
この段階なら比較的当たりの部類。
白用に引き取るかもしれんな。
「……これでどれくらいで売れるんじゃ?」
「二~三泊は出来るくらいだと思うぞ。」
鑑定代で多少持っていかれるだろうし。
仲卸のがめつさにも依るが、其処は父上の紹介がある。
「後はお前が落ち着いたら動くからな。 良くなったら言ってくれ。」
「う、うむ。」
……自分の手と白との身長差を見て思う。
ああ、早く