オカルト伝奇系恋愛鬱ゲーに放り込まれました。   作:氷桜

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「ふぅむ……。」

 

本来は話すつもりもなかった、俺の事情。

色々な出来事や謎が積み重なり、結局は明かすことになったけれど。

これはこれで良かったのかもしれない……特に、白相手には。

 

「そんな事が有り得るのか?」

 

話始めの時の本気の怒りは何処かに行っていた。

話す毎に表情が変わり、食事も段々と冷め。

結局冷え切ったことで不味さの方が際立つ汁物と化してしまい。

眉の辺りを多少反応させながらの食事を取りながらの会話。

 

「俺としては起こった、としか言えないな。」

「……狐憑きか何かかと疑ったぞ。」

 

……ああ、確かにそう言われればそうだな。

()()()宿()()()、って意味合いでは狐憑きとか犬神憑きに近い。

差があるとすれば、それらだったら俺は獣側だってことだが。

 

「ただまあ、納得した。

 納得はできぬが、納得しなければならないことは分かった。」

「良かった。 全部跳ね除けられれば言い返す手段無いしな。」

 

そう安心した顔を向ければ、返るのは苦笑。

 

「その年頃でその口調。

 当初は父上殿か誰かでも真似ているのかとは思っておったよ。」

「そんな事言われてもなぁ……。」

「だが、それにしては知識の深みが異常じゃ。

 じゃから、いつかは聞こうと思っておったが……これだけ早くなるとはの。」

 

口調、知識、そして態度。

どれもが()()にしすぎた。

以前の俺と、今の俺。

それらが混ざりあったからこそ感じた違和感。

 

()()()()、で申し訳ないがの。

 ご主人はあの里で、父上と二人で暮らしておって良かったと思うぞ。」

「…………それは、何となく思う。」

 

もし街で生まれていたら。

或いは、小説のように赤ん坊の頃から記憶があればまた別かもしれない。

()()()()()()()()のと()()()()()()()()()()()

大した差ではないと思われがちだが、見るものが見れば気付く範疇なのだから。

 

「恐らく気付いている上でああやって受け入れてくれたんじゃろうからな。」

「……直接は言わないけど、感謝はしてる。」

 

ゲームの頃と、今の現実。

その差異は多少でも、実際に自分の身に置き換えれば大きい。

もっと幼い頃に問うたらしい、母親に関して。

それ自体の真偽も最早分からない。

今分かるのは、こうして生きていること。

夢ではなく、今が現実であること。

 

「さて。 重い話は終わりにするか。」

 

ぱん、と一度柏手を打つ白。

 

いつの間にか皿の中の食事は消え。

細々と話しているだけになっていた。

 

「そうだな……いつまでも引きずっても仕方ない。」

「だが、聞けて良かった。

 ご主人。今後暫く、何かの知識を口にする際は吾からのモノとせよ。」

 

それは、忠告というよりは親切に近い言葉。

俺自身の言葉でなく、妖からの言葉とする理由。

 

「あー……それなら()()疑われる事は先ず無いからか?」

 

妖からの知識。

もう少し正確に言い直すなら、年上からの助言。

式を持つからこそ手に入る別視点からの意見であり。

故に、最悪は式に誑かされていると判断されるだけで済むと。

白はそう言っている。

 

「少なくともその齢では関心を引くだけでなく、忌避される。

 吾はこの通り、身を隠せんからな。 言うだけタダじゃ。」

「って言ってもな……。」

 

飛縁魔である証とも言える、背中の羽根。

其処以外は普通の(普通と纏めていいかは不明として)美少女。

だが、服の上から見えているように隠すのは難しい。

だからいっそ利用してしまうつもりで提案をしている。

 

「心配してくれるのか?」

「当たり前だろ。」

 

何を当然のこと言ってるんだ。

そうはっきり言えば、少しだけ目を泳がせて視線を逸らした。

奇妙な行動に、自分でも良く分からない衝動が沸き起こり。

互いに少しだけ沈黙。

 

「ま、まあ、そうだな……。情報を広めるつもりもないし。

 何か疑われたら、でいいな?」

「う、うむ。」

 

この奇妙な沈黙に耐えきれず、この話を一度切り上げる。

近隣の川で汲んできた清水(きよみず)で喉を潤す。

そうして少しだけ落ち着いた状態で、もう一度目線を合わせた。

 

「さて、どうする? 寝るかや?」

「いや、眠気が吹っ飛んだ。 明日の予定についてもう少し詰めよう。」

「分かった。 ……とは言うても、幽世の中で話した内容と代わりないよな?」

 

ああ、と頷く。

 

「ただ、街までは結構歩くことになると思う。

 近い、と聞いてた集落まででも四半刻掛かったし……半日は見積もるべきかな。」

 

この場合の半日は早朝、日が出る前から頂点に登るくらいまでを指す。

明かりという概念が薄い俺達の場合はこのほうが意思疎通がしやすかった。

実際の時間で言えば三刻から四刻を見積もれば大体合ってると思う。

 

「どうしても歩幅の差もあるからな。」

「途中途中で休憩は挟むとしても歩き詰めになる。まあ慣れてるとは思うが。」

 

向かう先は今いるこの集落――――山の中合い辺りから麓まで降りて更に道に沿った先。

山の上り下りは散々やってきてるから、疲労とかにも慣れているが。

平坦な道に関してはなんとも言い難い。

 

「なぁに、いつまでに戻ると言うても一日二日ならば遅れも有る。

 ある程度ゆるゆると進めば良いのよ。」

 

からから、と笑う彼女に笑いを返した。

 

……それもそうだな。

現状、時間に其処まで縛られるわけでもない。

ヒロイン達のイベントの前兆も見えず、不幸な結末に巻き込まれる恐れは多分低い。

目標を一つ一つ達成していけばいいだけだ。

 

「安心したら眠くなってきた。」

「そうかそうか。 ならば眠るか。」

 

……当然のように、同じ寝床に潜り込まれて。

いい加減慣れてきたけど、慣れてはいけないような気がして。

どうするべきなんだろうと考えている間に――――意識を手放していた。

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