話した内容は殆ど基本的なこと。
どんな構造なのか。
雰囲気はどんなものなのか。
妖とはどんなものだったのか。
一つを聞けば更に一つ。
次々に来る質問に、大概話した気がする。
(好奇心……いや、知識欲?)
多分その何方か。
子供ならではのもっと、という事を更に一歩踏み込ませたような。
なんとなく思ったのは、この付近から外には中々出られないのだろうな、ということ。
知っていても当然の事を知らない。
一度見たことがあれば判断できる事を勘違いしている。
つまり、
「そ、そうなん……です、ね。」
「そうだね……。 ……えーっと、そろそろ聞いても良い?」
「ぁ。 は、はいっ!」
此方ばかりの話ではなく。
そろそろ聞かせて貰おうと話を持ちかけると、椅子の上で姿勢を正した。
態々そんな事しなくてもいいのに、と思いつつも。
横目で店内を一度見回した。
……ルイスさんはまだ戻らない。
白は段々飽き始めたのか、品物を持ち上げては自分の服装に押し当てている。
何やってんだあれ。
自分の瘴気/霊力で作ってるし、衣装替えの色合いでも見てるのか?
……まあいいか。 話は続けられそうだ。
「さっき言ってたけど、『
「……
「悪魔。」
「……はい。」
問い掛けたこと。
それはゲームの中では名前と、一部の特殊なイベントでしか入ることの出来なかった場所。
売れ行きが良ければ追加版として西洋編を出す予定だったと噂されている、ほぼ未実装な場所。
俺が知るのも、『妖』の代わりに『悪魔』が出ること。
そして属性も五行のうち
「ええ、っと。 『黒猫』や、『大蝙蝠』。 『吸血鬼』……とか、だったかな。」
一生懸命思い出しながら語ってくれるのを聞きながら。
やはり最下級の種別がそれらなら、ある程度は記憶と照合できそうだと理解する。
実際に西洋に行こうと思う訳では無いが、何があるか分からないので。
知識だけは蓄えておいて損はない。
「入ったことは?」
「無い、です。 お婆ちゃんから、聞いた話、で。」
そして、ある程度想定通りに。
中に踏み込んだ経験はないという。
ただ、それでも、と。
彼女は付け加えるように言った。
「……
「え? それは……その、『魔界』以外でってこと?」
一度、確かに頷いた。
「この街……の、外で。」
「……街の外に悪魔!?」
「多分……私達を、追って。」
その時に初めて悪魔を祓い。
それ以降は外に出ることもなく、同年代と関わることもなく。
時折お使いに出るくらいでこの薬屋に籠もっていたと。
ぽつりぽつりと口にする。
…………悪魔が追ってくる、ってなんだ?
妖にしろ怪異*1にしろ、追ってくることは殆ど無い。
あるとすれば特別しつこい性質を持つか、
特に意志を持つ存在の場合は性格が腐ってる類の妖がちょいちょいいるので最初の割合が増える。
……失礼だと分かった上で、聞いてみるか。
「ごめん。 答え難かったら黙ってて良いんだけど。」
「……はい。」
「何か……特殊な素質とか持ってたりする?」
ただ、それで終わらずに。
上目遣いで俺を見つめた後。
人差し指で以て宙に長方形を描く。
一つ、二つ――――三つ。
そして、浮かび上がったのはカードを
「『
初めて、彼女が引っ掛からずに発したのを聞いた。
そして、其処に映っているのは俺達が昨日も見た。
能力を定める、構築画面。
「ばっ、リーフ!」
咄嗟に発してしまったのはそんな声。
びくぅ、と白が羽根を毛羽立てて此方を見ている。
能力を明かす、つまり何が出来て何が出来ないかを詳らかにする行為。
本当に信頼する相手か、或いは何かを証明する時でもなければ見せてはいけないモノ。
つまり――――
「……良い、です。」
ただ、それを分かって見せていると彼女は答えた。
「
映るカードの一枚を反転させる。
「
其処に映るのは、能力を示す。
| リーフ=クライエント/深度1 | |||
|---|---|---|---|
| 【無】 | 『V・S・タロット』 | 1/1 | 自身をカードに映し出す簡易呪法。 |
| 【無】 | 『運命神の導き』 | 5/5 | 任意の事象を占う天性の才。 |
| 【無】 | 『夢幻の泉』 | 1/1 | 霊力を何処かから供給され続ける才能。 |
| 【風】 | 『太陽神の裁き』 | 1/5 | 陽光を以て敵を討つ。【魔】【木・風】【敵全体】 |
「……一人じゃ、外にも出られない、ですから。」
その笑みは。
色々なものを得ることが出来ないという。
諦観の表情に満ちているように、