ある日のプロキオンの部室。メンバーが集まって、ある話し合いが行われていた。
「……おし、全員おるな?」
プロキオンのリーダーテンポイント。彼女の発言を皮切りに、各々返事をする。
「あたしはいるし」
キングスポイント
「ちゃんといるよ~」
ミスターシービー
「うん。おれは、ここにいます」
ケイエスミラクル
「ま、またこの話し合いなんですね……」
オフサイドトラップ
「ツヨシもいますよ!」
ツルマルツヨシ
「デジたんもここに!」
アグネスデジタル
「カレンもいるよ~」
最後に、カレンチャン。全員がいることを確認したテンポイントは、満足げに頷いた。なお、プロキオンのトレーナーである神藤誠司は諸事情でいない。
「おし、じゃあ始めるで……」
そして、テンポイントは声高に宣言する。
「第××回!今度の記者のインタビューどないする?会議ー!」
「「「いえー!!!」」」
「毎度思いますけどなんなんですかこのノリ……」
「気にしたら負けだよオフサイド」
ケイエスミラクルにそう言われて、オフサイドトラップは諦めたような顔つきになる。余談だが、プロキオンは通常奇跡を起こすチームと呼ばれているが、その他にも別の異名がある。
リーダーとして、大先輩としてテンポイントが進行を務める。彼女は、早速メンバーに意見を聞いていくことにした。
「おーし、じゃあまずはインタビューに賛成か反対か決めるでー」
「あたしは反対だし。記者の奴ら嫌いだし」
「アタシはどっちでも~。まぁインタビューの時になっていなくても文句言わないでね~」
「おれは、シービー先輩と同じで。どっちでも構いません。ただ、どちらかと言えば反対よりです。今までの行い、ちょっと許せないので」
「しょ、正直……反対です。記者の人達、まだ怖いので……」
「オフトラ先輩はしょうがないですよ。あ、ツヨシはどっちでもOKです!」
「デジたんは勿論OKですよ!ウマ娘ちゃんの魅力を沢山語ります!」
「カレンは賛成かな~?もっとも~っとカレンの可愛さを広めなきゃ!」
一通り意見を聞き終わった後、テンポイントは頷いて自身の意見を述べる。
「ボクは反対や。……で、賛成2人に反対3人。どっちでもいいが2人やから……今回も反対多数やな」
「と、いうことは?」
ミスターシービーの言葉に、テンポイントは宣言する。今回の結果を、声高に。
「今回も反対多数ということで記者のインタビューは受けませーん!」
「「「わぁぁぁぁぁぁ!!」」」
「おっしゃ!みんなでスマ〇ラやるでー!」
「「「さんせーい!」」」
「またいつも通りの結果じゃないですか!?この会議やる意味あります!?」
オフサイドトラップは、もう我慢できないとばかりに叫んだ。心の底から叫んだ。
「なんやオフトラ、こういうんはノリや。ノリで全てが決まるねん」
「だとしても!もう何回やったか分からないのに全っ然!結果変わらないじゃないですか!いつも否決ばっかで!いい加減記者のインタビュー受けようとは思わないんですか!?」
チームプロキオン。奇跡を起こすチームの他に、彼女達はこう呼ばれている……
トレセン学園一、記者が嫌いなチームと……
オフトラの叫びに、ボクは逆に聞く。
「そうは言うてもなぁ、オフトラはインタビュー受けたいんか?記者共の」
「うっ……。それは……ちょっと嫌ですけど……」
「そうだし。アイツらは餌に群がるハイエナ以下の存在だし」
「キングス。せめて言葉は選んであげてね?」
シービーがキングスをやんわりと宥めている。もっとも、絶対に本気では言ってないだろうが。
「でもぉ、さすがに受けとかないとまずくないです?あたし達だけですよね?インタビュー受けてないチーム」
まあ、デジタルの言う通りでもある。
ボーイ達にも聞いたが、すでに他のチームはインタビューは受け終わったらしい。つまり、残っているのはボク達のプロキオンだけ。
だが、ボク達の答えは決まっている。
「知らんわハイエナ共の都合なんか。どうせ歪曲する癖になにがインタビューやバカバカしい」
「記者に対する偏見が凄い」
「偏見じゃないし、事実だし。手のひらくるくるはハイエナ共のお家芸だし……あ、お姉コントローラー人数分あったよ」
「テンポイント先輩達記者に対する当たりが凄く強いですね……」
ツヨシがそう言うが、当たり前だ。記者共には何をされてきたのかボク達は全て覚えている。だからこそインタビューは絶対に受けない。
「ま、リーダーが決めたことだしアタシは異論はないよ。……あ、アタシはG〇コンでお願い」
「そうだね。みんなが決めたことだから、おれも文句はない……おれはsw〇tchコンで」
「カレンはその時いなかったから分からないけどー、みなさんから聞いている限り相当ひどかったらしいですねー」
ちなみにボクらが記者になにをされたか。簡単に列挙していこう。
まずボクは復帰を決めた時にボロクソに誠司を貶された。ぶっ〇してやろうかと思った。
キングスはデビュー前から注目されていたが、平地のレースで思うように勝ちきれない日々が続いていたので愚妹と呼ばれた。畑の肥料にしてやろうかと思ったが冷静に考えたら品質が最低なので止めることにした。
シービーは……特にない。
ミラクルはスプリンターズステークスで骨折したことで誠司の責任問題が問われた。やはり沈めておくべきだと思った。
オフトラはこの中だと一番酷いかもしれない。秋の天皇賞勝ったのにボロクソに批判されていたから。やはり海に放流するか山に埋めるかすればよかったかもしれない。いや、海洋汚染が酷いから止めておこう。まぁその後オフトラはスズカとも仲良くしているようだし、これ以上思い出すのは止めておこう。
ツヨシも特にない。
デジタルは秋の天皇賞でひと悶着あったが……あんまり大きな騒ぎにはならなかった。まぁ本人達が気にしていないから周りが騒ぐようなことでもないと思ったのだろう。
カレンは……まぁカレンだからいいか。
「ねぇ、なんかアタシとツヨシとカレンだけ酷くなかった?」
「人ん心を読むなやシービー。しゃあないやろ別に記者がらみで変なことがあったわけやないし」
「それはそうだけどね……あ、ちょ!キングスその復帰阻止は無しでしょ!」
「ふふん!油断するのが悪いしシービー!……ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!?何するしミラクル!」
「油断するのが悪い……ですよね?キングス先輩?」
「ぐぬぬ……!」
まぁボクらは記者がらみで色々とあって。そのせいもあってかチームメンバーのほぼ全員が記者共にいい印象を抱いていない。精々許されてるのは月刊トゥインクルぐらいだろう。他にも数社ぐらいあるが。
「でも、そうなるとトレーナーさんの負担が大きくないですか?いつもトレーナーさんが何とかしてるじゃないですか」
「あー……まぁ確かにそうやけど……」
ボクは歯切れ悪く返事をする。それは、他のみんなもそうだった。
そして、全員の心が1つになる。
「「「誠司(トレーナーさん)だから大丈夫でしょ」」」
結局のところこれに尽きるだろう。なんだかんだ言ってこれまでもなんとかなっていたのだ。大丈夫だろう。多分。
「そもそもこの前のインタビューだってそれ用のPVだって言ってましたねー」
「そうなの?デジタルさん」
「はい。だからあとは提出するだけで問題ないって言ってましたよ」
「……じゃあなんでそれを最初に言わなかったの?しかもインタビュー受けとかないと不味くないって言ったのもデジタルさんだったよね?」
「それは、まぁ、はい。ノリで?」
あ、オフトラが頭を抱えだした。
「オフトラ、オフトラ」
「……なんですか?テンポイント先輩」
ボクは、とてもいい笑顔でオフトラに告げる。
「深く考えたら負けやで?」
「……誰のせいだと思ってるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
オフトラの、今日一番の叫びが木霊した。そしてこの後無茶苦茶みんなで遊んだ。
「というわけで、たづなさん。これウチ(プロキオン)のインタビュー映像です」
俺はたづなさんにインタビューの映像が入ったUSBを渡す。
「はい、確かに受け取りました。……けど、またなんですね」
「もう俺は諦めてます。アイツらは記者連中がとことん嫌いなんで」
「……仕方ないとはいえ、治ってくれるとありがたいんですけど」
たづなさんの言葉に、俺は笑顔で答える。
「無理でしょ。簡単に治るんだったらこれまで苦労してません」
「ですよねぇ……」
たづなさんは、乾いた笑いを浮かべていた。
チームメンバー。もれなく全員記者嫌い!
本編の方ものんびりと更新していきます。