艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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私が以前に書いていた『艦長これくしょん イージスのスナイパー』のリメイク版です。

今度こそ最終回にまで持ち込めるよう頑張ります。


第1話

西暦20××年 8月

 

 

太平洋某海域海上

 

 

 

「しかし参ったな…………」

 

 

海上をまるで地面のように立っている1人の青年の姿があった。その青年は辺りを見回しながら、自分の居場所の手掛かりになりそうな物を見つけようとするが、生憎そのような物は見つからなかった。

 

 

「それに……」

 

 

青年は自分の姿に驚いた。緑や砂漠色と茶色の斑点がプリントされたマルチカム迷彩服を身に纏い、頭にはヘッドセットと左目に向けてHUDの小型モニター付いたfastヘルメットを被り、上半身にはマルチカム迷彩のプレートキャリア、腰部を覆うようなデザインのメカメカしい構造物を身に纏っている。

そして右肩から提げられている、迷彩塗装が施されたボルトアクション式の狙撃銃。

 

 

 

「まるで人間みたいな格好だな」

 

 

 

自身の姿に驚きながらも冷静な声でそう言う彼。

 

 

 

「ん?」

 

 

ふと自身の左肩を見ると、何時の間にか小さい小人が居た。

 

 

「君は………」

 

 

小人は彼に向けて敬礼する。

 

 

「艦長、お疲れ様です」

 

「艦長だって?俺が?」

 

「そうです!貴方はミサイル駆逐艦クリス・カイルの艦長であり、クリス・カイルそのものなのですよ!」

 

 

小人の言葉に彼は頭を抱えた。

 

 

「クリス・カイル………クリス・カイル……クリス……クリス…………!?」

 

 

青年はある事を思い出した。

 

 

「思い出した………俺は確かにクリス・カイルだ!合衆国海軍アーレイ・バーク級駆逐艦だ!」

 

「そうです!貴方はクリス・カイルに宿った意思なんです」

 

「…………だがどうして俺は人間みたいな格好なんだ?」

 

「それは分かりません。分かりませんけど、貴方はここにしっかり存在しています。貴方はクリス・カイル、それ以上でも以下でもありません!貴方はミサイル駆逐艦クリス・カイルなんです」

 

 

小人の言葉に彼、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦クリス・カイルは考えるのを止めた。考えても答えは出ないからだ。

 

 

「そうか……ならそれは受け入れるしかない。だが俺はどうしてこの場所に居るんだ?」

 

「それも分かりません。私は神ではなく、貴方の乗員に過ぎないので」

 

「そんな………俺はこれからどうしたら良いと思う?」

 

「それは貴方が決める事です。私達は貴方の決定に従います」

 

 

 

すると、自身の装備から次々と小人達が姿を表した。クリスはそれらを自身の乗員達だと認識した。

 

 

 

「そうか。なら、祖国アメリカを目指そう」

 

「了解。では航路策定に入ります」

 

 

小人達は次々とクリスの装備へと入り込むように消えていった。

 

 

 

 

それから数分後

 

 

「艦長」

 

「どうした?」

 

「GPSが反応しません」

 

「なんだって!?本当か?」

 

「本当です。調べてみましたが故障ではありませんでした。衛星からの信号が入らないんです」

 

「参ったな……じゃあ今此処が何処か分からない訳か」

 

「その通りです」

 

 

初手からの報告にクリスは頭を抱える。

 

 

「天測とコンパスで何とか現在位置を把握できそうか?」

 

「やってみます」

 

 

小人は天測用の六分儀と備え付けの羅針盤を使い、位置と方位を計算する。無論、時間は掛かる上に精度もGPSよりは悪くなるが、大まかな位置さえ掴めれば後はコンパスを使って針路が決められる。

 

 

 

「艦長、天測終わりました。我々は現在この位置に居ます」

 

 

小人は現在位置を書き込んだ地図を見せる。

 

 

 

「これは………日本か」

 

「間違いありません。我々は日本列島と小笠原諸島のほぼ中間地点に居ます」

 

「日本……此処が日本の領海となると第7艦隊と自衛隊が居る筈だから」

 

「行ってみますか?」

 

「そうだな。俺のこんな姿をみたら皆驚くだろうが、説明すれば分かってくれるだろう」

 

「了解。では横須賀港へ向けて針路を取ります!」

 

 

 

クリスは日本の横須賀港を目指し、日本の本土がある北に向けて針路を取った。

クリスの主機関であるガスタービンエンジンがジェットエンジンのような唸り声を挙げ、クリスの両足にある推進装置を動かす。

それと同時にクリスに装備されているSPY-1Dレーダー、航海用レーダー、対水上レーダーが動き始め、クリスの左目の前にあるHUD小型ディスプレイにそれらの情報が表示される。

 

 

「変だな」

 

「何がです?」

 

「LINK16にリンクできない」

 

「本当ですか?」

 

「GPSが使えない状況だとUHF通信が頼みですね」

 

 

UHFの通信距離は非常に短く、LINK16もUHFであるが衛星を介して長距離通信が可能ではあるものの、衛星が使えない状況では長距離通信によるデータリンクは見込めそうにない。

 

 

「今の所、海軍周波数を使って無線交信は試してるが、どうにも応答が無いな」

 

「もう少し本土に近付いてみます?」

 

「そうだな……」

 

 

クリスは電波が届く範囲まで近付こうと速度を上げる。

 

 

「ん?」

 

 

ふと、ヘッドセットから雑音混じりに声のような音が聞こえてきた。

 

 

「通信が入った。周波数を絞ってくれ」

 

「了解」

 

 

通信担当の小人の1人が受信した無線通信の周波数を絞る。

 

 

『こち………第6駆……隊……………現在敵潜並びに敵水雷………交戦…………至……………求め……』

 

「日本語みたいですね。平文で呼び掛けていますが出力が弱すぎます。殆ど聞き取れません」

 

 

クリスのHUDにはAN/ALQ-32(V)3が探知した電波を放っている方位と位置を特定している。

 

 

「相手と無線を開いてくれ」

 

「艦長…………分かりました」

 

 

無線が開かれるとクリスはヘッドセットのマイクを口元に寄せて相手に問い掛ける。

 

 

「こちら合衆国海軍駆逐艦、艦番号DDG-145、クリス・カイル。そちらの管制名を述べよ」

 

 

 

クリスは日本語で相手に呼び掛けた。

 

 

 

『こちら……国防……軍……横須賀……所属………第6駆逐隊!』

 

「管制名確認した。現在の貴隊の状況を報告されたし」

 

『現在……敵水雷……隊と……戦……我が方の状況は非常に………険………至急救援を!至急救援を!』

 

「こちらクリス・カイル、了解した。これより貴艦の救援に向かう!」

 

 

クリスはそう言うと無線を切った。

 

 

「艦長、本気ですか?」

 

「何がだ?」

 

「戦闘ですよ。今の状況を考えて、何処の国かも分からない軍隊との戦闘に介入するのは」

 

「無線から聞こえてきたのは日本語だった。日本は我が国の同盟国だ。日米安全保障条約に従い、救援に向かう」

 

 

 

クリスは合衆国海軍の艦であり、正義を掲げる国の軍隊が同盟国を見捨てるような真似はしない。彼は直感に従って、戦闘介入の意思を示した。艦長であるクリスがそう決めたならば乗組員達はそれに従うまでであった。

 

 

 

「…………了解!艦長の意思に従います!」

 

「よし!針路北東に変更、方位45°!」

 

 

クリスは北東に針路を変更し現場へ向けて急行する。

 

 

 

「総員戦闘配置!」

 

『General quarters!general quarters!all hands man you battlestaions !』

 

 

 

総員戦闘配置が下命される。クリスの全ての武装の安全装置が解除され、本格的な戦闘態勢に突入する。

 

 

「副長、ヘリを出して現場を偵察させろ」

 

「了解!」

 

 

そう指示が下されると、腰のマウント部にあるヘリ格納庫からMH-60Rシーホークが運び出され、エンジンを始動、ローターを回転させる。

 

 

『ホワイトシャーク発艦』

 

 

機体を固定していたRAST着艦拘束装置から機体が切り離され飛び立った。機体はそのまま現場に向け全速力で飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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