艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第101話

深海棲艦の航空部隊と接触した国連軍の航空部隊は熾烈な空戦を開始していた。

 

 

『fox2、fire!』

 

 

主力のF-14は搭載しているAIM-9L+『サイドワインダー+』を撃ち出し、深海棲艦の航空部隊の航空機を次々と撃墜していく。

速度と火力で大きく上回るF-14に対して、数で圧倒的に上回る深海棲艦の航空部隊は数に任せてF-14の迎撃をすり抜けて、第1航空機動艦隊の防空圏内に入った。

 

 

 

『全機、奴さん達のお出ましだ!』

 

 

無論、そこには加賀が放った艦隊直掩機部隊の戦闘機が待機しており、艦隊に迫る敵航空機に向けて上方と下方から挟み込むように仕掛ける。

 

 

「始まったか」

 

 

クリスら艦隊防空担当艦達は迎撃を抜けて来る敵機に対応するため対空戦闘配置に就いていた。

既にクリスのイージスシステムは火器管制システムの安全装置を解除しミサイルとCIWSは何時でも使用できる様になっている。

 

 

「やっぱり抜けて来たか」

 

 

SPYレーダーが迎撃をすり抜けてきた敵機を捉えた。

 

 

「敵機多数、急速接近中!」

 

 

クリスは無線で防空担当の艦娘達に伝達し、皆対空戦闘に備えて各々の砲や機銃を向かってくる敵機に向ける。

 

 

「全艦対空戦闘、攻撃開始!」

 

 

防空指揮官であるクリスの指示で防空艦達は攻撃を開始した。

 

 

「ESSM、stand by!fire!salvo!」

 

 

Mk41VLSからESSMが斉射で次々と撃ち出され、クリスが一度で誘導できる最大数のESSMが目標に向かって音速で飛翔する。

 

 

「intercept、stan by……now!」

 

 

撃ち出された全てのESSMは全弾が敵機に直撃し、上空に黒い黒煙が沸き上がる。

 

 

「弾切れを気にする必要はない!」

 

 

クリスは出し惜しみする事なく、自身が担当する防空エリアの敵機を撃ち落とすだけを考え、次々とミサイルを撃ち出し敵機を落としていく。

目標の照準はイージスシステムに備えられている目標の脅威度を自動で検出しシステムが自動で照準してくれるためクリスはミサイルの発射トリガーを押すだけである。

しかし、この時点でイージスシステムにはかなりの負担がかかっており、擬装内のコンピューターが収められている箇所が高温となり、自動冷却システムがフルパワーでコンピューターの加熱を抑えている。

 

 

それに加えて、VLSとミサイルの噴射炎の熱が擬装に煤をつけ、ミサイルの推進用ロケットから出る煙と熱によりクリスの顔からは熱による汗が出始めている。

 

 

「予想はしていたが、やはりキツいな」

 

 

他方を見ると他の艦娘達も自身の防空エリアの敵機に対して弾幕射撃をしながら敵機を近寄らせず、またクリスのミサイルによる攻撃の様子が士気向上の役割を果たしており、訓練や演習の時よりも遥かに高い成果を出している。

 

 

「俺も負けてられないな」

 

 

神の盾の名を持つイージスシステムはミサイルの飽和攻撃から艦隊を守るために開発されており、今のクリスはその想定に相応しい能力を発揮している。

 

 

「よし!どんどん来い!」

 

 

全兵装使用自由の中、クリスは次から次へとやってくる敵機の数を確実に減らしてきている。一方で敵もクリスが一番の脅威と判断したのか、目標を赤城と加賀にクリスを加えた3人に絞ってきた。

 

 

「クソ!数だけは多いな!」

 

 

他の艦娘達のカバーがあるとはいえ、クリスに襲い掛かる敵機の数は時間が経過すると共にどんどん増えていき、イージスシステムでも捌ききれなくなりつつある。

 

 

「艦長、敵機3機右舷から低空で急速接近中!」

 

「左舷からも4機接近!」

 

「ちぃっ!」

 

 

クリスは右手のMk45を左舷から迫る4機の敵機に向ける。向かってくるのは魚雷を抱えた雷撃機だ。

 

 

「落ちろ!」

 

 

引き金を引き、Mk45から5インチ砲弾が撃ち出される。本来ならイージスシステムが照準を行うが、今はミサイルの管制にリソースを割いているため、照準はマニュアルで行わなければならない。

発射速度はさほど早くは無いが、自動装填、発射、排莢の動作を全て自動で行うMk45と射撃能力の高いクリスの実力が合わさり、1発で敵機に当てていく。

 

 

「次っ!」

 

 

瞬く間に4機を落とし、直ぐ様右舷に砲を向けて発射する。

 

 

「当たれ!」

 

 

3機の敵機に1発ずつ当てて撃墜していく中、背後からも3機の敵機が迫ってきた。

 

 

「後ろっ!?kill with CIWS!」

 

 

背後の敵機に向けて後部のCIWSが作動し、全自動で敵機を捕捉してから20㎜バルカン砲よりタングステン製の砲弾が放たれると、向かってきた敵機を1機ずつ粉微塵に破壊していく。

最後の1機を撃破する直前、魚雷が投下され海中をクリスに向かって来る。

 

 

「当たるかっ!」

 

 

現代のような誘導機能が無い深海棲艦の魚雷は真っ直ぐ突き進むだけの性能しか無い。クリスは咄嗟に身体の重心を左に寄せて回避行動を取り、魚雷を回避した。

 

 

 

「不味いな、そろそろ弾切れだぞ」

 

 

 

ここまでの戦闘でクリスの搭載弾薬は残り2割を切っており、特にESSMとCIWS用の20㎜弾は底を尽きかけている。

 

 

「うおっ!」

 

 

その直後、クリスは真上から銃撃を受けた。

敵機の残りがクリスに向けて機銃掃射を掛けており、銃弾を受けるクリスの擬装に細かい傷がついていく。コンピューターの塊であるクリスにとって機銃弾でも大きな脅威となり、機銃弾を受けた衛星通信用アンテナと対水上レーダーが損傷し機能停止に陥った

 

 

「クリスさん!」

 

 

そこへ、同じ艦隊所属の吹雪と夕立やって来てクリスに攻撃を掛けていた敵戦闘機を追い払った。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あぁ……何とかな」

 

 

既にクリスは度重なるミサイル発射と機銃弾攻撃で相当なダメージを受けており、クリス本人も身体に銃弾を何発か受けて出血している。

 

 

「下がってください!後は私達がやります!」

 

「すまない」

 

 

クリスはその場を吹雪に任せて後方に下がり、一度くらまへと帰艦した。

 

 

 

「損傷艦収容!直ちに応急処置!」

 

 

くらまに帰艦すると、明石ら工作班がクリスから擬装を引き剥がし、クリスを医務室、擬装を工作室へと運び込む。

 

 

「クリスさん、大丈夫なの!?」

 

「あぁ」

 

「処置するわ!」

 

 

 

明石はクリスの上着を脱がして、被弾していた右肩と右足の処置を開始する。

 

 

「弾は抜けてるみたいね。止血と修復液による治療をするわよ」

 

 

手慣れた手つきで傷口を消毒してから、艦娘専用に開発された高速修復材の入ったビンの中の液体を脱脂綿で湿らせてから傷口に塗布する。

 

 

「うっ!」

 

 

塗布した部分から傷口が徐々に塞がっていくが、クリスはその感覚がまるで傷口から焼けるような熱さを感じた。

 

 

「我慢して、もうすぐだから」

 

 

 

しばらくすると、傷口は完全に塞がり、皮膚も完全に元通りとなった。まるで最初から傷など無かったかのようだ。

 

 

「しばらく此処で休んでてて」

 

「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

続く




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