艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
深海棲艦による第1波攻撃を凌いだ航空機動艦隊は損傷艦の修復と艦隊の再編成が行われていた。
既に太陽が水平線の奥に沈み掛かり、辺りが夕日に照らされる中、損傷艦を収容しているくらまの艦内は大忙しだ。
「損害が軽微な娘を優先して!損害が大きい娘は私の所に直接連れてくる様に!」
明石率いる工作班は戦闘で損傷した艦娘達の手当てを行い、艤装の整備と修復は夕張が率いる工作2班が手分けして担当しており、皆戦闘の疲れからか格納庫の床に敷かれたマットで眠っている。
そんな中でクリスは、次の出撃に備えて夕張と共に損傷した自身の艤装の修復と再調整を行っていた。
「レーダーアンテナそのものがこんなになってるんじゃ無理ですね。交換する方が早いですよ」
目の前には機銃攻撃で破壊された対水上レーダーアンテナがあり、それは銃弾を受けて大穴が開いており、誰から見てももう使い物にならないのは明白だった。
「じゃあ直ぐにでもやってくれないか?」
「同じ物を再生するとなると、この艦の設備だと限界がありますし、他の娘の艤装の修復と整備を考えれば今直ぐと言う訳には」
「そうか。なら機銃で穴が開いた部分の修復を頼む。最悪、SPYレーダーでも何とか代用できる」
「はい。最善を尽くします」
そう言うとクリスは自身の作業を再開する。
戦闘での酷使で各部にかなりの負担がかかっており、自己診断システムでもVLSや5インチ砲以外にもイージスシステムにも再調整が必要な箇所がかなりあった。これに関してはクリスにしか出来ないため、タブレット端末を使いシステムの再調整を優先に作業に当たる。
「当初の想定を越える戦闘となれば不具合の量も半端じゃないな。あちこちバグだらけだ」
ディスプレイにはシステムの不調を示す表示があり、そこ1つ1つ再調整して処理していく。
「艦長、そこの調整はこっちに回してください」
「頼む」
自身の妖精達も加わり再調整作業が進められていく。
結局、再調整作業が終わったのは深夜になってからであり、既に夕張の方でもレーダー以外の艤装の修復が終わっており、やはり対水上レーダーの修復は間に合わなかったため、クリスはSPYレーダーを代用する事に決めて、対水上レーダーの修復を一旦棚上げにして、次の戦闘に備えて自室のベッドで横になる。
「そろそろ時間か。今頃アリーが動いてるな」
その頃、ハワイ島に最も近い位置の海中で身を潜めていたアリゲーターガーは辺りを警戒しながら、海中を遊弋していた。
(0100……時間だな)
時刻が午前1時を示すと、アリゲーターガーの艤装背部に取り付けられている円筒型の箱のような物の後部がドアのように開き、中から小型の潜水艇とそれにしがみつく完全武装のダイバーが海中に姿を表した。
(SDVを使う時が来るとはな)
SDVとはSeal輸送潜水艇の事で、海中から特殊部隊を敵地へ向けて送り出すために開発された小型潜水艇である。アリゲーターガーが属するバージニア級原子力潜水艦には専用のエアロックが備えられており、そこに海水を入れてからダイバー装備の特殊部隊がSDVに取り付き、それを使って敵地向かう事ができる。
SDVを操作しているのはクリスに乗り込んでいるSealsチームであり、今回はとある任務を担っている。
(頼むぜ)
アリゲーターガーがSealsチームに敬礼し、離れていくSDVを見送ると、任務を終えたSealsチーム回収のための邂逅地点へと向かうため移動した。
続く
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