艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第103話

アリゲーターガーから放たれたSDVに乗り込むSealsチームはダイビングスーツを身に纏い、背負っている酸素ボンベから供給される酸素を口に咥えた吸入器から酸素を供給しつつ、暗闇の海中を真っ直ぐ移動している。

 

 

 

今回、彼等に与えられた任務は、敵の本拠地があるハワイ諸島の1つ『カウアイ島』への上陸だ。

今や深海棲艦の太平洋一大拠点であるハワイ諸島のカウアイ島には人類側の太平洋航路を遮断してきた最大の脅威である潜水艦部隊の本拠地があるのだ。深海棲艦の潜水艦による攻撃は、今回の作戦に於ける障壁の1つと捉えられている。

と言うのも、深海棲艦には数の上での主力を成している個体と、それらを指揮統制をしたり最大級の能力を持つ個体が存在する。特に後者は国連軍に属する潜水艦部隊や水上部隊にとっては非常に脅威であり、対潜能力を持つ艦娘達でも非常に手こずる程である。

そうでなくても数だけは多い量産型の個体は、深海棲艦が持つ無尽蔵とも言える生成能力が合わさって厄介な事この上ない。

 

そのため、このカウアイ島は最優先攻撃目標に設定されおり、敵が潜水艦を出してくる前に壊滅させ無ければならない。そこで白羽の矢が立ったのがアリゲーターガーだ。

 

 

アリゲーターガーが属するバージニア級には海中から対地攻撃可能なトマホーク運用能力がある。このトマホークによる精密攻撃ならば敵の弱点をピンポイントで破壊可能である。だがそれはGPSや軍事衛星等の高度な環境が整った21世紀世界での話であり、軍事衛星の精度が低く、GPSも全く普及していないこの世界ではトマホークはその能力を発揮する事は出来ない。

 

 

だが1つだけその能力を発揮する方法がある。

 

 

それは敵の至近距離にまで接近し、レーザー目標指示装置使用しての精密誘導である。

 

 

これはGPSや衛星等の高度なシステムに殆ど頼る事なく、ミサイル等の誘導兵器を目標に対して精密に誘導可能と言う利点がある。

しかしその一方で、敵に至近距離にまで近づかなければならず、それは非常にリスクが高いのが欠点である。

そのため、レーザー目標指示装置は非常に高度な訓練を受けた兵士でなければ運用が難しいが、その訓練を受けた兵士さえ居れば作戦は可能なのである。そうなると、それが出来る者は必然的にクリスのSealsチームにも白羽の矢が立つのは当然の事だった。

 

 

クリスのSealsチームは30人の1個小隊で編成されており、通称『ゴースト』と部隊名を持っている。そんな彼等はカウアイ島に差し掛かる。

 

 

 

(そろそろだな)

 

 

SDVの計器類が目標地点への到着を示した。SDVはその場で停止するとゆっくりとした速度で浮上、海面から数メートル下で停止すると1人の隊員がSDVから手を離して浮き上がる。

 

 

そして、海上に頭部だけを出して周囲を確認。

 

 

(クリア)

 

 

周囲に敵の姿が無いのを確認してSDVから隊員が次々と浮上、目の前に見えるカウアイ島の浜辺へと向かって移動し、足が地面に付くと同時に手にしているHK416やM4A1を手に周囲を警戒し、波に打たれながらも上陸に成功した。

上陸と同時に砂浜の奥に見える洞窟へ移動し、そこで隊員達は身に付けていた潜水装備を外し、コンテナから陸戦用の装備を取り出して今度はそちらを装着する。

 

 

 

「誘導装置は無事か?」

 

「はい。パンドラは伊達じゃありません」

 

 

コンテナとは別の黒い箱『パンドラ』には今回の作戦の肝であるレーザー目標指示装置とその他の機材がセットで入っている。因みに、誘導装置が入っているこの箱も精密機材を劣化から守るために開発された優れ物で、箱は完全防水仕様なのは勿論、耐衝撃・耐水・耐熱・耐寒性能は厳しいテストを経ており使用できる環境を選ばず、箱の蓋もパスワードを入力しなければ開かない仕組みになっている。更には中に入っている精密機材を劣化から守るために箱内の温度や湿度を調整する機能も備わっている。

 

 

まさに、特殊部隊にはうってつけの代物と言える。

 

 

「これより移動する」

 

 

既にカウアイ島内の地図、移動・脱出ルート、目標に関する情報、攻撃時間の情報はチーム全員が記憶している。GPSが使えない中、チームはコンパス等の機材、ナイトビジョンの視界を頼りに暗闇の森林を素早く移動する。

 

 

「大尉、アレが目標地点です」

 

 

闇の中、指差された方向には島の中央に位置する場所にあるワイアレアレ山が見える。この山の山頂こそゴーストチームの目的地であった。

 

 

 

「行くぞ」

 

 

チームはそのまま山頂へ向けて歩き出し、地形に苦労しながらも何とか山頂へたどり着いた。そこは昼間ならカウアイ島一帯見回せるが今は夜な上に、光も無いため星空しか見えない。

 

 

「用意」

 

 

パンドラからレーザー目標指示装置が取り出される。この作戦に用意された装置は合計で3台あり、それぞれ各目標に対してのレーザーを照射するためである。3脚に装置を取り付け、バッテリーを接続すると、レンズを目標に向ける。

 

 

「このまま待機だ」

 

 

作戦開始時刻まで待機となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3時間………

 

 

 

(そろそろ時間か)

 

 

海中で待機していたアリゲーターガーが腕時計で時間を確認すると、注水音と共にVLS発射装置の蓋が開く。

 

 

(fire!)

 

 

VLSから空気圧によりトマホークが入ったカプセルが次々と打ち出され、海面に達すると同時にカプセルの蓋を突き破ってトマホークが発射された。トマホークは事前のプログラムに従い、カウアイ島に向けて飛行していった。

 

 

(タンク注水、急速潜航!)

 

 

 

手持ちのトマホークを打ち尽くしたアリゲーターガーは急速潜航で深深度に潜っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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