艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第104話

「隊長、時間です」

 

「照射開始」

 

 

ワイアレアレ山のゴースト小隊はレーザー目標指示装置の電源を入れ、レンズから不可視のレーザー光線が目標に向けて照射された。

 

 

「目標到達まで5分」

 

 

腕時計でトマホークの到達時間を確認する。攻撃目標に未だ目立った動きは見られず、こちらの作戦は悟られてはいない様子である。

 

 

「到達まで後1分」

 

 

トマホークの推進音が聞こえてきた。

 

 

「頼む。まだ動くなよ」

 

 

そう願いつつ、無事に全弾が着弾する事を祈る。

暗闇の中、12発のトマホークはカウアイ島に低空飛行で侵入、ゴースト小隊が居るワイアレアレ山を通過すると、一気にホップアップを掛け上昇、弾頭がレーザー光線を捉えると目標である敵潜水艦基地を捕捉し一気に降下を始める。

 

此処に来て敵もようやく異変を察知、敵潜水艦基地司令と思われる潜水凄姫flagshipと呼ばれる上位個体は急いで配下のカ級やソ級、ヨ級に対して退避を指示しようとしたが、指示の途中でトマホーク12発が潜水凄姫に突入、12発のうちクラスター弾頭の6発が子弾をばら蒔いて深海棲艦の上位個体が持っているとされているバリアーを展開した。

 

 

「コノ程度………」

 

 

最初に到達したクラスター弾頭型から放たれた大量の子弾はバリアーを激しく叩く。通常なら上位個体のバリアーの耐久力は砲撃に対して高い防御力を持っており、潜水凄姫も潜水艦級ながら高い防御力を持つが、大量に降り注ぐ子爆弾はバリアーに当たる度に次々と爆発、あまりにもの爆発量にバリアー本来の耐久力が大きく削がれる。

 

 

「!?」

 

 

そこへ残り6発の通常弾頭型がバリアーの弱った部分に直撃、クラスター弾頭の子爆弾よりも強力な爆発がバリアーを一気に削ぎ、6発中、2発が弱ったバリアーを突き破り潜水凄姫flagshipに直撃、潜水凄姫に大きなダメージを与えた。

 

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

今まで味わった事の無い苦痛に潜水凄姫が悲鳴を上げ、悶え、最早指揮を出来る状態ではなくなった。

 

 

「全弾HIT!」

 

「直ぐに第2次攻撃が来るぞ」

 

 

潜水凄姫flagshipが指揮不能となり配下の潜水艦級達がどうしたら良いのか分からず割拠するなか、次なる一手が打たれた。

 

 

「次、目標到達まで3分」

 

 

直後、島の北側と南側の方角から多数のトマホークが現れ、敵潜水艦基地に大挙として襲い掛かる。

突如現れた約60発のトマホークはクリス、バークから放たれた第2次攻撃によるものであり、潜水艦基地内に居たカ級、ヨ級、ソ級、更には基地の防空を担っていた防空凄姫に次々と直撃、次第に基地能力を奪っていく。

 

 

「ソンナ………私ノ………基地ガ………何故……何故……」

 

 

最早、ダメージにより動けなくなっていた潜水凄姫flagshipは未知の攻撃を受けて使用不能になっていく様子に失意と絶望を抱き、燃え盛る炎の中で意識は消え去っていった。

 

 

「通信管制解除。報告」

 

「了解」

 

 

ゴースト小隊は攻撃成功の暗号を送信、それを受け取った第1航空機動艦隊は直ちに、作戦第2段階に移った。

 

そしてこの作戦に欧州から大攻勢作戦に初参加となるポーランド軍を乗せた揚陸艦が第1航空機動艦隊の艦娘達による護衛を受けて、カウアイ島へと接近、そして先鋒を勤めるポーランド軍が動き出した。

 

 

 

「行くぞ!」

 

 

 

3隻の大型揚陸艦からポーランド陸軍所属のPT-76水陸両用戦車、BTR-50水陸両用装甲兵員輸送車、BTR-60装甲兵員輸送車、最新型のBTR-70兵員輸送車が多数の兵員を乗せて揚陸艦のウェルドックから海上へ出ると、カウアイ島へ向けて前進を開始した。

上空は赤城の航空隊が展開し、上陸部隊の近接航空支援は同じくポーランド空軍のMi-24ハインドと武装したMi-17が就いている。

上陸部隊援護のため赤城の航空隊に所属する艦上爆撃機がカウアイ島の敵基地に向けて爆撃を開始、敵の残存戦力にダメージを与え上陸地点の確保を行い、そこを上陸部隊が遂に到達した。

 

真っ先に上陸したPT-76水陸両用戦車が波を掻き分けて砂浜を履帯で踏みつけながらゆっくりと前進、その後を歩兵を載せたBTRが続く。

 

 

「敵襲!」

 

 

その直後、敵の地上型が姿を現した。しかしそれに対してもポーランド軍は恐れる事なく、突撃を開始した。

 

 

atak!(突撃!)

 

 

 

ポーランド軍はPT-76を盾に、後方のBTR-50とBTR-60、BTR-70から歩兵が展開し、主力小銃であるAK74やRPK軽機関銃、RPG-7と言った大火力を武器に応戦する。

 

 

 

「戦車が来たぞ!」

 

 

上陸第1陣の後続としてホバークラフトに乗せられたポーランド軍のT-55戦車、T-62戦車が次々と揚陸されてきた。これら主力戦車は歩兵の盾となっていたPT-76と交代し、ポーランド軍の盾となり前進を開始した。

上空からはMi-24ハインドとMi-17が火力支援を行い、地上部隊の脅威を排除しつつ、着実に前進していく。

 

 

 

「敵襲!」

 

 

しかし敵側も黙ってみているだけではなかった。防空凄姫が撃破される直前に放った戦闘機型と戦闘爆撃機型が多数襲来し、前進するポーランド軍に襲い掛かる。

 

 

「伏せろ!」

 

 

敵機からの機銃掃射と爆撃に見舞われるポーランド軍。投下された爆弾が車輌を破壊し、機銃掃射が歩兵を凪払っていく。

 

 

「クソ!対空射撃!」

 

 

ポーランド兵はAK74とRPK軽機関銃、無事な車輌が対空射撃を行うが、深海棲艦の航空機はサッカーボール並に小さい上にすばしっこい。目視での射撃での撃墜は非常に困難だ。

その間にも、運良くトマホークからの攻撃を逃れた深海棲艦の陸戦型が攻撃を仕掛けてくる。

 

 

『やれた!脱出する!』

 

『こっちもだ!』

 

 

 

先鋒を努めていたT-55とT-62にも損害が出始め、ポーランド軍の損害は増えつつあった。

 

 

「ガァッ!」

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「これじゃ島を占領する前にこっちがやられるぞ!」

 

 

上陸した時のポーランド軍の勢いは弱まりつつあり、その場に居る誰もが後退が脳裏によぎる。

 

 

『待たせたな!』

 

 

そこへ、3両の大型車輌が現れた。

それは、戦車のような車体に載せられた大型砲塔にはレーダーアンテナと4連装23㎜機関砲があり、砲身が上空に向けられていた。

 

 

「シルカだ!」

 

 

ポーランド軍の防空装備であるZSU-23-4『シルカ』はレーダーで目標を捉えると、直ちに射撃を開始する。3両のシルカから放たれる大量の23㎜弾は敵機を次々と凪払うように叩き落としていく。

 

 

「やれやれ!叩き落とせ!」

 

「もっと弾をくれてやれ!」

 

 

シルカの活躍に士気が下がっていたポーランド兵が歓声を挙げる。

機銃掃射開始から3分後には、シルカは損害を出す事なく敵機を軒並み撃墜し、残りの敵機もシルカを脅威と見なして距離をとって近寄って来なくなった。

 

 

「よし!このまま前進!」

 

 

「「「「「Hura!!!!」」」」」

 

 

勢いを取り戻したポーランド軍は突撃を再開し、シルカの護衛を受けながら前進。敵は徐々に島の南側に追いやられる。

 

 

そこへ、敵に止めを刺すべく新たな一手が打ち込まれた。

 

 

 

「主砲全門、斉射!」

 

「Burning fire!」

 

「fire!」

 

 

カウアイ島の南に展開していた第1航空機動艦隊の大和と金剛、アイオワの3人が艦砲射撃を加えた。次々と降り注ぐ砲弾に追い詰められていた敵は砲撃を前に次々と撃破され、1時間にも及ぶ砲撃の末、島の最南端から敵の姿は全て消え去った。

 

 

 

「やったぞ!」

 

 

上陸から僅か1日にてカウアイ島は占領、島を橋頭堡として確保に成功したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

続く

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