艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第108話

Ghost小隊の潜入から3日が経過した。

潜入から特にこれと言って非常事態も起こらず、小隊は時間が許す限り敵情偵察を続けている。

 

 

「かなり集まりましたね」

 

「あぁ。しかし敵もこちらが潜入する事を想定していないのでしょうか?」

 

「さぁな」

 

 

小隊の拠点となっている民家の地下室に設けられた簡易的なブリーフィングルームでは、ハワイ島の地図にはヒロ港やレイブンが撮影した島内に居る敵の陸戦型の画像や写真を元に配備状況を記した配置図が作成される。

 

 

「敵の動きは大きな変化は見られません。まるで余裕です」

 

「こっちが潜水艦基地を壊滅させたからな。こちら側のの戦力が抑止力になっているんだろう」

 

 

既に小隊の手元には多くの情報があり、それらは1個のUSBに集約されている。

 

 

「そろそろ撤収時間だ。全員撤収準備!」

 

 

その指示に全員、装備を身に付けて撤収準備に入った。食べた食糧の容器や缶は地面に埋め、生活の痕跡を徹底的に隠滅していく。

 

 

「大尉、艦長、撤収準備完了」

 

「よし、引き上げるぞ!全員車両に乗り込め」

 

 

小隊は隠していたジープに乗り込む。その場から離れる前に数人が周囲の安全を確保し、レイブンで撤収地点であるグリーンサンドビーチまでのルートの確認を行う。

 

 

「大尉、撤収ルートに敵影なし!」

 

「よし!撤収地点に向かうぞ!」

 

「了解!」

 

 

ジープのエンジンが掛けられると、小隊全員を乗せたジープは無灯火のまま倉庫から発進して11号線に出ると、そのまま南へ向けて走り出す。

 

 

 

「全員周囲を警戒。敵襲に備えろ」

 

 

 

皆、手にしている銃を周囲に向けて警戒する。

 

 

「兵曹長、レイブンはどうだ?」

 

「周囲に敵影は見られず」

 

「よし」

 

 

小隊は速度を維持しながら11号線を南下し続け、撤収地点まで後10キロの地点にまで到達した。

 

 

「大尉!」

 

「どうした!!」

 

「6キロ先に敵の陸戦型が居ます!」

 

「何っ!?」

 

 

大尉は兵曹長のタブレットを見る。レイブンからのカメラ映像には6キロ先で敵の陸戦型が道路を封鎖しているのが見えた。

 

 

「俺たちの存在がバレたか?」

 

「どうする大尉?」

 

「敵から3キロの地点で停車しろ。敵を強制排除する!」

 

「了解!」

 

 

と、その時………

 

 

「後方より敵機接近!」

 

 

後方上空からナイトビジョン越しに深海棲艦の艦載機5機が向かってくるのが見える。

 

 

「速度を上げろ!」

 

「はい!」

 

 

運転手の隊員がアクセルを目一杯踏み込み、ジープの速度を上げる。そこで敵の艦載機2機が迫ってくる。

 

 

「機銃攻撃が来る!ジグザグに走れ!」

 

「了解!」

 

 

その直後、2機は機銃を撃ってきた。

 

 

「伏せろ!」

 

 

地面に機銃弾が突き刺さり、アスファルトが捲り上がり、派手な土煙が上がる。

 

 

「止まるな!走り続けろ!」

 

「大尉どうします!」

 

「落ち着け!近寄らせるな!MG持ちは対空射撃で追っ払え!」

 

「「「了解!」」」

 

 

Mk48を装備した小隊員が真上に向けて撃ち上げる。

しかし敵艦載機は怯む事なく、車列に機銃攻撃を仕掛けてくる。

 

 

「俺に任せてくれ!」

 

 

クリスはそう言うと愛銃である50口径ライフルに装着しているナイトビジョン機能付きのスコープを使い敵艦載機を狙う。

引き金を引くと豪快な発射音と共に50BMG弾が撃ち出された。

 

 

「Hit!」

 

 

弾丸は敵艦載機の主翼基部を破壊し、翼が折れた敵艦載機は錐揉みしながら墜落した。

 

 

「次っ!」

 

 

クリスは間を置かずボルトハンドルを引いて空薬莢を排出し、再びボルトハンドルを押して次弾を装填する。

 

 

「Go!」

 

 

引き金を引いて再び50BMG弾が撃ち出される。今度は敵艦載機の胴体下部の機銃に直撃し破壊した。直後、敵艦載機は急にバランスを崩して墜落した。

 

 

「次っ!」

 

 

同じ操作を繰り返し行い次弾を装填して、さらに敵機を狙うが残りの3機は危険だと判断して距離を取ってしまった。

 

 

「大尉!俺の右ポケットにスティンガーがある!使え!」

 

「了解!」

 

 

チーフはクリスのスボンの右ポケットに潜り込むと中からFIM-92スティンガーを取り出し、ランチャー本体にBCUと呼ばれる電池を挿し込み、トリガーの側にあるスイッチを親指で押し込んで、照準器で目標を狙う。

 

 

 

「target lock!撃ちます!」

 

 

 

引き金を引くと、ランチャーから細長いミサイルが飛び出した。10メートル程飛び上がるとロケットモーターがが作動し一気に上昇し、敵艦載機1機に直撃し空中で爆発した。

 

 

「続けて撃て!」

 

 

別の隊員がスティンガーを発射し、残りの敵艦載機2機を撃墜、空からの追っ手を排除した。

 

 

「空は片付けた!次は目の前のだ!」

 

 

まだ奥には敵の陸戦型が居る。まだスティンガーの残弾はあるが、敵の陸戦型相手には破壊力が小さすぎる。しかし彼らはこうなる事を想定していたのだ。

 

 

 

「LAWを用意!」

 

 

数人の隊員がバックパックに提げていたM72LAWロケットランチャーを手にすると、カバーを外して砲身を延ばし、安全装置を解除する。

 

 

「前方に敵を視認」

 

 

 

やがて敵の陸戦型が待ち受けている地点へと接近する。

 

 

 

「走り続けろ!発射用意!」

 

 

 

隊員が肩にM72を担いで、前方に居る敵陸戦型へ照準を合わせる。

 

 

「撃て!」

 

 

合図と共に発射トリガーが押されるとランチャーから66ミリのロケット弾が発射され、敵陸戦型に直撃する。

ロケット弾が直撃した陸戦型は大爆発を起こし炎上する。

 

 

 

「撃て!」

 

 

続けて放たれたロケット弾は別の陸戦型にも命中し破壊に成功する。

 

 

「そのまま突っ切れ!」

 

 

車列は破壊された陸戦型の残骸を押し退けてバリケードを突破、ビーチへと直行する。

 

 

「よし!ジープは放棄、走れ!」

 

 

ビーチにたどり着くと、小隊はジープを棄てるとそのままビーチを走り、上陸に使用したボートを隠している浅瀬へと急ぐ。

 

 

「大尉、ボートは無事です!」

 

「よし!全員乗り込め!此処から離れるぞ!」

 

 

皆がボートに急いで乗り込む。

 

 

「全員居るな!?」

 

「居ます!」

 

「よし!エンジン始動!」

 

 

推進機のモーターを始動させ、全速力でビーチから離れていく。

 

 

「油断するな。周囲警戒!」

 

 

後ろを振り返り、離れていくハワイ島を見ながらボートを操縦するチーフ。

 

 

 

「何とか危機は脱しました」

 

「家に帰るまでが任務だ。この辺は敵の勢力圏内だから直ぐにでも追っ手がやってくる」

 

「では直ぐに邂逅地点に向かいましょう」

 

 

 

小隊を乗せたゴムボートは暗闇の中をほぼ全速力で駆け抜け、味方による回収地点へと急ぐ。

 

 

 

「そろそろ邂逅地点だ。止めろ」

 

 

 

邂逅地点へと到達しボートをその場で停止させ、クリスはヘリコプター誘導用ビーコンを発信する。

 

 

「来た」

 

 

数分後、邂逅地点に1機のHSS-2Aが現れた。機体には国防海軍と書かれている。この機体は長門から密命を受け、護衛艦くらまから飛んできたのであった。

 

 

「乗り込め!」

 

 

機体からワイヤーが降ろされボートに括り着けてから、ワイヤーを伝って1人ずつHSS-2Aに乗り込んでいく。

 

 

「姉さん!」

 

「お先にクリス」

 

 

機内には既に回収されたバーク率いるFlog小隊が居た。

 

 

「ん?誰だ?」

 

 

バークの側に見知らぬ人影が横たわっている。機内の赤色灯に照らされた人影を確認するクリス。

 

 

「女性か?」

 

 

その人影は自分達とほぼ同じ背丈の女性だ。しかもよく見れば、自分達が身に付けているのと同じ迷彩作業服を着ている。

 

 

「パールハーバーからのお客様よ!」

 

「何だって!?」

 

「訳は帰ってから話すから!」

 

 

 

クリスは目の前の女性を見つめ、何者なのかと言う視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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