艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第110話

ハワイ諸島潜入偵察作戦から2日が経過した。クリス達が持ち帰った各島の敵状を元に作戦内容の修正や戦力配置が着着と進められていく。

 

そんな中で、オアフ島でバークが保護した新たな艦娘は意識を取り戻していた。

 

 

「おはよう。気が付いた?」

 

「あぁ。ありがとう、助かったよ」

 

 

褐色に黒髪のショートヘアのその艦娘はバークとクリスに礼を述べる。

 

 

「改めて聞きたいんだけど貴女の名前と所属を教えてちょうだい」

 

 

バークがそう尋ねると、彼女はアメリカ海軍式の敬礼で名乗る。

 

 

「合衆国海軍、アーレイ・バーク級駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズだ」

 

 

そう名乗る艦娘。彼女はバークにとっては3番目の妹であり、クリスにとっては姉の1人でもあった。

 

 

「そう。じゃあ私の妹になる訳ね」

 

「俺にとっては姉だな」

 

「妹に姉………じゃあまさか2人は!?」

 

「えぇ。私はアーレイ・バークよ」

 

「俺はクリス・カイルだ」

 

 

それを聞いた瞬間のジョン・ポール・ジョーンズ(以降ジョン)は戸惑った様な表情となる。

 

 

「あぁ…その……なんだろう………すごく申し訳ないんだが、姉貴の事は分かるがクリス・カイルって妹は俺には居ないんだが」

 

 

その言葉にクリスとバークは驚いた。

 

 

「何だって?俺を知らない?」

 

「ウソでしょ?クリスが就役した時は貴女も私も現役の筈よ!知らないなんて有り得ないわ」

 

 

ジョンは2人の言葉に更に戸惑う。

 

 

「だが本当にクリスなんて名前の妹を俺は知らないんだ。もしかしたら俺が沈んだ後に作られたんだと思うんだが」

 

 

 

噛み合わない会話に3人とも言葉が出ない。確かにジョン・ポールジョーンズはアーレイ・バーク級の3番艦であり、クリスが作られた当時はバークと共に就役から30年以上経過しており歳もかなり離れてはいるがバークと共に現役のミサイル駆逐艦である。

 

 

 

「ちょっと待って!あなた今"沈んだ"って言った?」

 

 

 

『沈んだ』と言う言葉にバークが反応する。

 

 

 

「あぁ、オアフ島沖でな」

 

「待って待って!私もクリスもあなたが沈んだなんて聞いてないわよ!」

 

「はぁっ!?そんな筈は無いぞ!俺は確かにオアフ島沖で奴らに引き裂かれた沈んだんだ!それを知らない筈は無い!」

 

「奴ら?奴らって誰の事?」

 

「冗談だろ………奴らの事を知らないのか?世界規模の出来事だったんだぞ」

 

 

 

一向に話が進まない事にクリスは一旦話題を変える。

 

 

「ジョン姉さん、あなたが沈んだのは何年の何月だ?」

 

「2012年の6月だ」

 

「確かその時ってリムパックがあった時期ね」

 

「そうだ。俺はリムパック中に起きたある事件の調査に出向いたんだ」

 

 

ジョンの言葉に2人は説明を求める。

 

 

「分かった、話そう。俺はリムパック演習に参加していたんだが、その最中に宇宙から地球に飛来した謎の隕石が世界の主要都市に降り注いだ。俺達が演習をしていた演習海域から少し離れた場所にもそれが着水して、艦隊司令からの命令で俺とサンプソン、そして日本の護衛艦みょうこうの3隻と共に調査に出掛けたんだ」

 

 

ジョンは水を一口飲む。

 

 

「……そこで俺達はその着水した物体を見つけたんだが、これが見たことも無い奴で、船なのか何なのかが分からなかった。そこで当時の俺に乗っていた戦術士官が臨検調査に向かったんだが、その直後にその物体は動き始めた。最初は演習の一環かと思ったが、突然それは3隻に増えて攻撃を仕掛けてきたんだ。サンプソンからの命令で俺は威嚇射撃したんだが敵がミサイルなのか爆弾なのかを見舞ってきて、1発がブリッジ右舷ウイングに直撃して艦長と副長が戦死したんだ」

 

 

その時点でバークとクリスは信じられないと言った表情だった。

 

 

「ねぇ、それってまさかエイリアンとか?」

 

「多分な。そこでサンプソンの艦長は臨検に向かった戦術士官の援護のためにその物体に攻撃したんだが、奴はサンプソンに向かって俺が受けたのと同じ爆弾を撃ち込んでそのうちの1発が直撃して大破、その後に更に撃ち込まれて文字通りサンプソンは木っ端微塵に完全に吹き飛ばされた」

 

「サンプソンが!?」

 

「沈むのもあっという間だった。艦長含めて生存者は無く、しかも臨検に向かった戦術士官の兄はサンプソンの艦長だったらしい」

 

 

 

それから話は続き、戦死した艦長職を引き継いだジョンの戦術士官が撃沈されたサンプソンに乗っていた兄と乗員の仇討ちをしようとしてその物体に突撃しそれを援護しようとしたみょうこうがサンプソンに続けて撃沈された事、相手が地球外生命体ではない事とその弱点を発見した事、みょうこう艦長の極秘戦術を用いて3隻のうち2隻を撃沈した事、残り1隻も戦術士官とみょうこう艦長、乗員の巧みな連携により撃破したものの直後に自身も敵が放った無人兵器に破壊された事がジョンから語られた。

 

 

「俺の記憶は此処までだ」

 

「なんて言うか凄い話ね」

 

「あぁ」

 

 

なんとも壮大な話に2人は中々に聞き入ってしまったと同時にジョンの言っていた事に合点がいった。

 

 

「成る程、バーク姉さんと俺、ジョン姉さんの認識が違う理由が分かった」

 

「どういう言う事だ?」

 

「ジョン姉さん、これは仮説になるが俺とバーク姉さん、ジョン姉さんは別世界から来たんじゃないかと思うんだ」

 

「別世界?」

 

「あぁ。ジョン姉さんの言うエイリアンなんて俺とバーク姉さんが居た世界には存在しなかったし戦闘もなかった、ジョン姉さんもサンプソン姉さんも沈んでいないんだ」

 

「えぇと……つまり……俺達は同じアーレイ・バーク級だが世界が違う姉弟って事になるのか?」

 

「そう言う事になる」

 

「まさか………だが、確かに俺はお前の事は知らないし、姉貴も俺やサンプソンとエイリアンの事は知らない………訳が分からんな」

 

 

ジョンは頭を抱える。

 

 

「まぁそんなに深く考えた所で真実なんてわからないわ。それに私達は同じアーレイ・バーク級でしょ?て言う事は3人とも姉弟なわけ。たとえ世界が違ってもそれは変わらない事実なんだから」

 

 

バークはクリスとジョンを抱き寄せる。

 

 

「姉さん」

 

「姉貴」

 

「まぁ、こうしてお互いに姉妹艦同士出会えたのも何かの縁よ。仲良くやりましょう!」

 

 

前向きなバークの性格にクリスとジョンはもう何も言うまいと思った。

 

 

「さてジョン、あなたは今のこの現状は理解してる?」

 

「あぁ。長ったらしい理屈は抜きにして、俺をこんな目に合わせた挙げ句、海を乗っ取ってるあの化け物共を倒せば良いんだろ?」

 

「そうよ。大丈夫?」

 

「勿論だ。エイリアンと戦ったんだ、あんな化け物共なんて全く怖くないね!」

 

 

ジョンは拳を突き出して応える。

 

 

「じゃあ、あなたの事を長門に報告してくるわ!」

 

「ソイツって此処の責任者か?だったら俺も挨拶を兼ね連れてってくれ」

 

「分かった。クリス、あなたも着いてきて」

 

「OK」

 

 

2人は医務室から長門が居る作戦室へと向かう。

 

 

「気が付いた様だな。気分はどうだジョン・ポール・ジョーンズ」

 

 

部屋に入るなりそう言葉を掛けられたジョンは直立不動の姿勢でアメリカ海軍式の敬礼で返す。

 

 

「はっ!」

 

「そう畏まらないでくれ。私は横須賀鎮守府提督代行兼ハワイ諸島奪還作戦司令の長門型戦艦1番艦の長門だ」

 

「伝説のビッグ7とは。改めて、自分は合衆国海軍ミサイル駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズであります」

 

「よろしく。さて早速だが、君の今後について」

 

「もう決めてあります。自分はバーク姉さんとクリスと共に協力させて頂きたいと思います」

 

「話が早くて助かるな。説明する手間が省けたよ」

 

 

長門はそう言うと一枚の書類を取り出す。

 

 

「これに名前を書いてくれ。飽くまで形式的なものだが、志願書だ。この書類があれば私と提督、そして日本国防軍が貴艦を責任を以て受け入れよう。勿論、貴艦に無理強いするような事はしない事を確約する」

 

「はっ!ありがとうございます!」

 

 

ジョンは書類に名前を書いた。

 

 

「確かに確認した。ようこそ!」

 

 

 

長門はジョンと握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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