艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
「始まったか」
航空機動艦隊の水上部隊による砲戦が始まり、戦艦からの砲撃音と爆発音が響く中、クリスらは役目を終えた赤城ら空母達を後方の護衛艦くらまへと送り届け、後方支援のため戦域へと戻る。
「熾烈だな」
「あぁ。現代戦じゃまずやらんからな船同士の有視界砲撃戦なんて」
偵察のため飛ばしたヘリから送られてくる映像に皆、目が離せずに居た。
「今のところ五分と五分っていった所かしら?」
「あぁ。まだ戦力は向こうが上回ってる」
戦闘は既に膠着状態を見せ、やがて敵に撃破された艦娘達が後退してくる。
「派手にやられたな?大丈夫か?」
「何とかね」
「よし、くらまに戻れ。そこで手当てと応急修理を受けてくれ」
「了解」
今のところクリス達は攻撃を行っておらず、敵からの攻撃も受けてはいない。しかし戦域に飛び込めず見ているしかできない事にもどかしさを感じていた。
「しかしこうやって見てるだけって言うのもな」
「ジョン姉さん落ち着いてくれ。俺達は飽くまでも後方支援だ。俺達の仕事だって大事な仕事なんだ」
「分かってる。しかし膠着状態が続けば」
しかし戦闘開始から数時間が経過したところで事態は動きを見せた。
「ん?」
「どうしたクリス」
「敵のボスのお出ましみたいだ」
クリスは艦隊からの救援信号を捉え、それを敵の親玉である泊地棲姫が出てきたと捉えた。
「救援信号に従って、俺達も行くぞ」
「OK」
3人は全速力で戦域へと走る。
硝煙の匂いと煙が濃くなっていき、戦域へ入ると異様な雰囲気に包み込まれる。
「大丈夫か!?」
航空機動艦隊の戦艦部隊旗艦を努めている大和の元へと駆け寄る。
「えぇ。此処までは」
「あれが敵のボスか?」
前方には異様な雰囲気を醸し出す泊地棲姫が佇んでいる。その回りを護衛が固めている。
「よし、奴を攻撃する!」
そう言うとクリス達は飛行場姫に向けてトマホークを放った。
「来タカ………」
泊地棲姫は向かってくるトマホークに向けて何かを放った。
「!?」
放たれたそれは迫ってきたトマホークを全て叩き落とした。
「トマホークを!?」
「甘ク見ルナ」
すると泊地棲姫はクリスに向かってまた例の物を放った。
すると、クリス、ジョン、バークの武器システムと連動しているコンピューターが警告する。
「ミサイルだと!?」
「敵もミサイルを使ってきた!?SM-6 salvo!」
迫ってくるミサイルに向けて3人はミサイルで迎撃し全て叩き落とした。
「コレガ私ノ切リ札ヨ……」
深海棲艦がミサイルを使ってきた事に驚きつつも平静を保ちつつ、次なる攻撃に備える。
「行キナサイ」
泊地棲姫の命令を受けた戦艦級と巡洋艦級、駆逐艦級が動き出した。
「来るぞ!」
敵が攻撃を開始し機動艦隊は応戦を開始する。クリス達は5インチ砲による砲撃に切り替えて、数が多い駆逐艦級の相手をする。
「fire!」
5インチ砲が砲撃を開始する。毎分45発の発射速度と命中精度を生かし敵水雷戦隊の駆逐艦級を1隻ずつ仕留めていく。
「やっぱり数が多い!」
敵水雷戦隊はクリス達を脅威とみなして集中攻撃を仕掛けてくる。魚雷や砲撃を回避しつつ攻撃を行うが、沈めても沈めても新たな水雷戦隊が現れてキリが無い。
「!?」
そんな中、魚雷を使い果たした敵水雷戦隊の1隊がクリスに向けて突撃を仕掛けてきた。
「数で押す気か!」
いくら高性能なイージス艦と言えど数で迫られたらどうなるかは分からない。距離が近いためトマホークによるミサイル攻撃は間に合わないためクリスは5インチ砲とCIWSのみで対処する。
「fire!」
5インチ砲が敵水雷戦隊に向けて連続砲撃を行い、薬莢を排出しながら敵艦を無力化していく。
「オーバーヒート!?」
あと2隻と言う所でMk45がオーバーヒートによって砲撃が停止、懐にまで接近されてしまう。
「まだ!!」
しかしクリスは諦めなかった。残っていた対艦火力である短魚雷を放った。本来は潜水艦用だが装甲の薄い駆逐艦相手なら効果を発揮できると踏んで、咄嗟に放ったのだ。
その予想は当たり3発のMk46が敵駆逐艦1隻に直撃して無力化、残り1隻に向けてはCIWSを放つ。
毎分3000発の発射速度を誇るM61バルカン砲の集中攻撃を受け、搭載していた魚雷に引火したのか爆発を起こし吹き飛ばされた。
「ふぅ……小笠原での失敗は2度としない」
自身に向かってくる脅威を排除したクリス。ジョンは敵の攻撃に物怖じする事なく砲撃で着実に敵を仕留めていき、バークも敵を排除していく。
今のうちに5インチ砲の冷却とCIWSの弾薬補給を行いたい所だが、敵はまだやってくるため5インチ砲の冷却に全力を注ぐ事にし、クリスは何とか泊地棲姫を仕留められないかを探る。
「…………………………もしかして」
何かを思い付いたのかクリスは大和へと駆け寄る。
「大和、敵はミサイルを使ってきているが単体での戦闘能力はどうなんだ?」
「ほぼ隙は無いかと」
「じゃあ奴の懐に飛び込んだ場合、奴は格闘戦は出来るか?」
「私たちと同じ体を持っていることを考えると格闘戦は出来る可能性はあります」
「そうか。ならまだ付け入る隙はある」
「何をするんです?」
「ミサイル艦であるイージス艦のプライドを少しの間だけ捨てるだけだ」
「無茶です!そんなの……」
「やってみなければ分からん!兎に角やるしかない!」
クリスは泊地棲姫を見据える。
「奴は倒せなくても隙くらいは作れる。運が良ければ撃破も狙える。大和、作戦はこうだ………絶対に勝つ!」
そう言うとクリスは泊地棲姫に向かって走る。
「全艦クリスさんの援護を!」
大和の指示で泊地棲姫の護衛艦に向けて艦隊は攻撃を開始した。クリスは後ろを振り返る事はせず、泊地棲姫に向かって一目散だ。
「無駄ナ事ヲ…」
泊地棲姫はミサイルを放った。
「ミサイルの撃ち合あいなら!」
クリスも負けじとトマホークとSM-6を対艦攻撃モードにして放った。泊地棲姫が放ったミサイルをクリスは紙一重で避け続け、泊地棲姫は艦娘程の素早い動きは出来ないため迎撃ミサイルを放って撃ち落とす。
「ミサイル撃ち続けろ!」
しかしクリスはミサイル攻撃を続け、敵のミサイルを避けたり弾薬補給が終わったCIWSや復旧した5インチ砲を使って接近する。
「あの馬鹿野郎!」
「クリスを援護する!」
バークとジョンもクリスの援護のたトマホークによる波状攻撃を開始する。
「手空きの人は泊地棲姫に集中攻撃を!」
大和や他の艦娘達も砲撃と雷撃で泊地棲姫を攻撃して援護する。
「小賢シイ!」
泊地棲姫はクリス以外の艦娘に対しても攻撃をミサイル攻撃を仕掛ける。
「伊達にイージス艦名乗ってないわ!」
バークがそのミサイルに対してもESSMを放って迎撃する。
「皆、ありがとう!」
クリスは泊地棲姫との距離を詰める。
流石の泊地棲姫もクリスにばかり集中は出来ないのか、先程よりクリスへの攻撃の手が弱まり、その間に距離を一気に詰める。
「もう少し……もう少し……あとちょっと」
クリスは全火器を放つトリガーに指を掛ける。しかし深海棲艦の上位個体なだけあり、接近してきたクリスへ対してはミサイル攻撃を諦めて砲戦を仕掛けてくる泊地棲姫。
砲弾はクリスを囲むように着弾し衝撃波が直撃する中、クリスは走りを止める事はない。
「何故ダ!何故止マラン!」
泊地棲姫は尚も向かってくるクリスを追い払えない事に苛立ちを隠せない。やがては砲撃だけではなく機銃まで使い始めた。
「ぐっ!」
流石に機銃の攻撃は避けられず何百発もの機銃弾がクリスを直撃し、マストやレーダーを破壊していく。
「まだ!」
クリスは痛みと衝撃に耐えながら泊地棲姫の懐にまで距離を詰めると全火器を泊地棲姫にロックする。
「Ready……now!」
VLS、5インチ砲、CIWS、魚雷、クリスの全ての火器が起動して泊地棲姫に向けて放たれた。至近距離で放たれた攻撃を防ぎ切れない泊地棲姫に全ての火器が直撃した。
「今だ!」
その瞬間、クリスは泊地棲姫に飛び付いた。
泊地棲姫が纏っている艤装は損傷し戦闘能力を発揮できない中、クリスは泊地棲姫に5インチ砲の砲口を突きつけた。
「Hello…そしてGod bye!」
5インチ砲による0距離射撃を受けた泊地棲姫は大爆発を起こし、クリスは大きく吹き飛ばされ海面に叩きつけられる。
「クリス!」
バークとジョンが駆け寄り、クリスの両脇に腕を入れて抱え起こす。
「大丈夫?」
「あぁ。何とかな」
ふと見ると、先程まで泊地棲姫が居た海上には破壊され泊地棲姫の艤装が炎上しながら浮いており、本体の姿は見えない。
「大丈夫ですか?」
そこへ大和が駆け寄ってきた。
「大和か。この通りさ」
「何とか無事みたいですね。下がってください、後は私たちが」
「頼む」
クリスは後の事を託してその場から離れた。
続く
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