艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第12話

倉庫で偶然出会った2人の艦娘、扶桑型戦艦『扶桑』『山城』。2人はこの倉庫の中で何やら作業をしている様子だった。

 

 

「2人は何故此処に?」

 

「えぇ…今日は1日空きがあるから此処で自分の艤装の整備よ」

 

「ん?確か戦艦組は午後から演習じゃなかったか?」

 

 

それを指摘すると半ば諦めに近いような顔付きとなる2人。クリスは触れてはならないものに触れた感じがした。

 

 

「あぁ……すまない」

 

「良いのよ。いつもの事だから」

 

「本当に不幸だわ………昨日あんな事しなければ今頃は」

 

 

山城がそう呟くが内容は聞かない事にした。

 

 

「まぁ…なんだ………気休めかもしれないが、気をしっかり持ってくれ」

 

 

クリスはそう言葉を掛ける。

 

 

「本当に気休めね………同情されるのって本当に辛い」

 

 

山城は段々と表情が暗くなる。

 

 

(成る程。一度落ち込めば徐々に落ち込むタイプみたいだな)

 

 

そう察し、これ以上はこの話題には触れず、別の話題に切り替える。

 

 

「すまない……暫く匿ってくれないか?」

 

「どうしたのよ?」

 

「実は夕立と島風に追われてて」

 

「どうして?」

 

「何かは知らんが、夕立に目を付けられたらしくて……勝負を挑まれて、それを断ったら」

 

「成る程、あの娘らしいわ。まぁゆっくりしていきなさいな」

 

「すまん」

 

 

 

暫く匿われる事になり、クリスは時間が許す限り2人と親交を深めようとする。

 

 

「そう言えば2人は時雨とは友達か?」

 

「友達?まぁ……彼女とは長い付き合いだから、友達?とも言えるのかしら」

 

「山城は特に時雨の事を目に掛けてるのよね」

 

「別に……単に同期ってだけで。そう言う貴方は時雨とはどんな関係なのよ?」

 

「グレとは今日知り合った。今朝、起床時間の時に世話になった」

 

 

その時、山城が驚いた様な表情になった。

 

 

「グレ?」

 

「あぁ…時雨の事はグレって呼ばさせてもらってる」

 

「あらあら、仲が良いのね」

 

「まだ知り合って1日目だが、彼女は何処か放っておけないんだ」

 

「あの娘は何でも抱え込む娘だから………気を付けなさいよ」

 

「随分詳しいんだな」

 

「言ったでしょ?彼女とは付き合いが長いって」

 

 

そんな話をしていると午後の訓練開始時間が迫っていた。

 

 

「もう時間か……ありがとう!」

 

「えぇ…ー午後も頑張ってね」

 

 

 

そう言うとクリスは倉庫から走って出た。

 

 

 

 

 

 

それから10分して訓練場に戻ってきたクリス。

 

 

「全員集まったわね。午後からの訓練は対潜訓練よ」

 

 

午後からのプログラムは船団護衛任務に於いて最も重要な任務とも言える対潜水艦警戒任務。敵からの攻撃に脆弱な輸送船や貨物船を守る役目を持つ駆逐艦にとっては非常に重要な任務であり、それはクリスを含めたアーレイ・バーク級も同様である。

そのために、アーレイ・バーク級には対潜任務用にソナーと連動した水中攻撃指揮システムが搭載されており、その制御下には魚雷やASROCK VLAが搭載されており、高い対潜能力を保有している。

 

 

 

今回行われる訓練は実戦を想定した本格的な物で、複数の駆逐艦による船団護衛任務中に敵潜水艦からの接触を想定した内容である。

クリス達は海へ出ると、演習海域に設定されている東京湾沖へ移動し、此処でいくつかのグループに分かれる。

 

 

 

「やぁ」

 

「グレか……それに其処に居るのは」

 

 

クリスが属するグループには時雨の他に2人の艦娘が居る。

 

 

「初めまして。白露型駆逐艦1番艦の白露だよ!」

 

「白露型駆逐艦5番艦の春雨です!よろしくお願いします!」

 

「クリス・カイルだ、よろしく頼む。グレ、2人は姉と妹か?」

 

「うん」

 

「グレだって!?」

 

 

その時、白露が声を挙げた

 

 

「時雨、いつの間に仲良くなったの?しかもグレなんて呼ばせちゃって~」

 

「今日の朝にね……道に迷ってたから僕が案内したんだ」

 

「成る程ね~。中々ハンサムじゃん」

 

 

白露が時雨を茶化す。

 

 

「クリスさんてアメリカの男の艦娘さんなのに日本語が上手なんですね。何処で日本語を?」

 

 

春雨がクリスに尋ねる。

 

 

「まぁ俺は任務上、祖国の英語は勿論だがロシア語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、インド語にアラビア語、ベトナム語、日本語、中国語は一通りはマスターしている。勿論それらの字も書ける」

 

 

 

暫くそんな雑談をしていると、訓練開始の番がやって来た。

 

 

 

「さて一番手になったからには一番を目指すよ!」

 

 

 

白露が声を挙げ張り切った様子を見せる。

 

 

「今日の訓練は潜水艦の娘達から輸送船役の最上さんを守るんでしたよね?」

 

「そうそう。でも肝心の最上さんは……」

 

「おーいっ!!遅れてごめん!!」

 

 

そこへ、今回の訓練で輸送船役を勤める巡洋艦『最上』がやって来た。

 

 

「じゃあ今日はよろしくね」

 

「よろしく!」

 

「よろしくな」

 

「よろしくお願いします!」

 

「よろしく」

 

 

訓練開始時間となりクリス、白露、時雨、春雨は最上を守るように円陣を組みながら展開する。

 

 

「さてと。哨戒機を出すぞ」

 

 

訓練開始と同時にクリスは格納庫のMH-60Rを発艦準備を始める。

今回は潜水艦が仕掛けてくる事が前提のため対潜水艦戦闘に重きを置いた戦術を取り、MH-60Rを発艦させる。因みにクリスにはもう1機、MH-60Sと呼ばれるMH-60Rの兄弟機が搭載されているが、この機体は掃海任務と戦闘捜索救難機であるため今回の訓練では待機となる。

 

甲板に引き出されてきたMH-60RのスタブウィングにはMk50短魚雷2発が装備されており、明らかに対潜水攻撃を前提にした装備だった。

 

 

「ホワイトシャーク発艦準備完了」

 

「発艦せよ」

 

『了解。ホワイトシャーク発艦』

 

 

 

甲板からホワイトシャークが発艦し、潜水艦が潜んでいると思われる海域の捜索に入った。

 

 

「いいなぁ~……オートジャイロ。僕も欲しいなぁ~」

 

 

 

最上は飛び去っていくシーホークを羨ましそうに眺める。

 

 

 

「あれは重さだけで6tはあるぞ」

 

「零戦より重いんだ………」

 

「そうだ。さて、我々も備えるか」

 

 

クリスは艤装からAN/SQR-20曳航式ソナーのワイヤーを引き出してワイヤーの先にあるソナー本体を海面に海面に落とし、ワイヤーをギリギリまで引き伸ばす。

 

 

「ソナーとのリンク確認」

 

 

AN/SQR-20が水中攻撃指揮システムとリンクし、ソナーが得た情報はリアルタイムでシステムを経由しクリスのHUDに表示され、また飛行中のホワイトシャークへもAN/SQQ-28データリンク装置によりリアルタイムで送られている。

それと同時に、潜水艦からの攻撃に備えてMk54短魚雷が装填されたMk32短魚雷発射管とVLS内に装填されているRUM-139VLAアスロックも何時でも撃てるようにスタンバイする。

 

 

これで空と海中からの襲撃に対して万全の態勢を敷く事が出来た。

 

 

「海中と空は任せてくれ。他の皆は目視による警戒を頼む」

 

「「「「了解」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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