艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
第6駆逐隊配属を命じられたクリスは一旦寮へと戻り、第6駆逐隊の面々が居る部屋へと向かった。
「此処か」
『第1水雷戦隊第6駆逐隊』と書かれた札が貼られた部屋の前に立ち、数回ノックする。
『どうぞ』
「クリスだ。入るぞ」
ドアを開けると、部屋には暁、響、雷、電の4人が居た。
「クリス!?どうして此処に?」
「長門からの命令でな、鎮守府のピンチヒッターとして働く事が決まったんだ。それで今度の輸送作戦の間、第6駆逐隊への配属が決まったんだ」
「そうなのね!よろしく」
「ハラショー。歓迎するよクリス」
「よろしくなのです」
「よろしく!」
クリスは暁、響、電、電と握手を交わす。
「一緒に仕事できて嬉しいわ!頼りにしてるわね!」
「クリスが居ればもう潜水艦も航空機も怖くないわ!勝ったも同然よ!」
「あまり期待しないでくれよ」
皆が仲良く話している間、蚊帳の外だった阿武隈が声を揚げた。
「あの……私を忘れないで!一応、私この娘達の旗艦なんだけど!」
「あぁ、すまない。知ってると思うがクリス・カイルだ」
「第1水雷戦隊旗艦の阿武隈よ。よろしく!」
クリスは阿武隈と軽く握手を交わす。
「所で第1水雷戦隊には他にも駆逐隊が居ると聞いてるが、居ないのか?」
「17駆と21駆は他の鎮守府に応援行っちゃったりとか他の任務で出払ってて、今この鎮守府に居るのは私と6駆と27駆だけなの」
「成る程な。他の任務で合うかもしれんな」
「じゃあ作戦は伝えたから、またね」
阿武隈は第6駆逐隊に今回の輸送作戦を伝える用事を終えた所であり、用を終えると部屋から出ていった。
残された第6駆逐隊とクリスは早速、ブリーフィングを始める。
「ところで作戦開始の時期と内容をは?」
「来週の今ごろに鎮守府を出て、ベトナムの基地から物資を受け取った輸送船3隻を本土まで護衛するのが今回の任務だって」
「航路上の敵の配置は?」
「台湾とフィリピンとの間にあるバシー海峡が厄介よ。フィリピン最北端にあるイトバヤット島に敵の高速の水雷戦隊が3、魚雷艇隊が10、潜水艦隊が最低でも5あるみたい」
暁の説明にクリスは敵の戦力を分析する。
「高速高機動を中心とした編成か。厄介なのは魚雷艇と潜水艦だな。北上して大陸と台湾との間にある台湾海峡向けに航路を大回り出来ないか?」
「行きは大丈夫だけど、帰りは時間が無いから大回りは避けて欲しいって」
「となると、魚雷艇と潜水艦だけでも何とかする必要があるな」
と、クリスはある事を思い付いた。
「敵の潜水艦と魚雷艇の基地の場所は分かるか?」
「うん。此処に写真があるよ」
暁は作戦指示書の中に同封されていた敵の基地の航空写真を見せる。どうやら台湾に面しているフィリピン最北端にある敵前線基地の写真らしい。
写真には基地には魚雷艇と潜水艦が複数停泊しているのが刻名に写っている。
「良い案がある、聞いてくれるか?」
「勿論」
クリスは自分の考えを話す。
「まず此処に写ってる敵の潜水艦、魚雷艇基地を直接叩こうと思う」
「え!?此処を直接?」
「そうだ」
「叩くって言っても、私達の戦力じゃ無力化なんて出来ないし、他の部隊も手が回らないと思うし、それに今からだとそんな余裕は……」
「心配はいらない。実は皆には話してなかったが、こう言う事に備えて俺には秘密兵器がある………トマホークを使う」
初めて聞く単語に暁達は頭に?を浮かべる。
「RGM-109E タクティカルトマホーク。対地攻撃用巡航ミサイルで射程は3000キロを誇る」
「3000キロ!?」
「えぇと46センチ砲の最大射程は42キロだから………」
「71倍だね」
「71倍っ!?」
「成る程。それなら航空戦力も追加の水上戦力も必要無いわね。で、そのトマホークの破壊力は?」
「弾頭重量450キロ、1発で駆逐艦級なら轟沈、重巡洋艦級なら大破にまでは持ち込める」
「何発搭載してるの?」
「30発だ。数に任せた飽和攻撃でなら一時的にだが目標の無力化は出来る」
「問題なしね!じゃあクリスの案で行きましょう!」
クリスの案が採用され、作戦開始に備えて第6駆逐隊とクリスは作戦開始日に向けての準備に入った。
そして、輸送作戦前日の夜……
「暗い」
日が暮れて日付が変わる直前の軍港は灯火管制により、殆ど明かりがない。
そんな港の岸壁で第6駆逐艦隊とクリスは海上に立っていた。
「深夜の出港なんて久し振りだから緊張するわね」
「でも真っ暗なのです」
「他の船と衝突が怖いわ」
灯火管制下の東京湾は真っ暗で他の船の衝突を心配するが、クリスはその点に関しては抜かり無かった。
「皆、これを使ってくれ」
そう言って皆に手渡したのは、両眼式のナイトビジョンだった。
「双眼鏡?」
「ナイトビジョン、暗視装置だ」
「どう使うの?」
「このベルトを頭に巻いて、暗視装置本体を額のベースにマウントするんだ」
一人一人にヘッドギアを装着させナイトビジョン本体をセットする。
「後はここにあるスイッチを押せば良い」
「こう?」
スイッチを押すと両面の先に緑色の景色が浮かび上がった。
「うわぁ!」
「よく見えるのです!」
「これなら衝突の心配は無いわね!」
「安心できそうだ」
ナイトビジョンを装着した第6駆逐隊とクリスは誰にも見送られる事なく、横須賀の海を出発した。
「取り敢えず東京湾を出て沖に出たら針路を南東に取って、九州沖から大陸に北上、台湾海峡を越えて、そこから南下のルートで行くわよ」
「「「了解」」」
「OK」
続く