艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
横須賀を出発して2日後、第6駆逐隊とクリスらの姿は目的地である東南アジアにあるベトナムのハイフォン港にあった。
「大きいこの貨物船なのです」
ハイフォンに駐留している日本国防海軍とベトナム海軍合同のハイフォン基地が所有する埠頭から、タンカー3隻が見える。
「日本船籍のタンカーの中では最大級の大きさだ。アレには8万トンの石油が搭載できる」
「おまけにアレには戦艦が優に5隻が建造できる大量のボーキサイトが入っとる。それが3隻分………大量やね」
「あの量の資材を手に入れるのに2ヶ月掛かったし、ベトナム海軍のフリゲートが3隻と駆逐艦1隻大破航行不能になってドック入り。おまけにウチら第17駆逐隊4人全員負傷」
「向こうさんの司令官が顔を青くしてたぜ」
「これ程の量の資源の引き換えがこの損害ですからね」
ハイフォン合同基地司令官と第17駆逐隊の『浦風』『磯風』『谷風』『浜風』がそう説明する。
「頼むよ。これを沈められよう物ならベトナムと日本との関係にも大きく影響するからね」
「はい。色々とご迷惑をお掛けしました」
クリスは第6駆逐隊と自分の名前入りの物資引き取りの書類を基地司令官に渡す。
「じゃあ頑張ってくれ」
「はい」
出港準備が整い、貨物船が岸壁を離れる。
「じゃあ私達も行くわよ!」
暁の指示で第6駆逐隊とクリス達も海に出る。
「鎮守府の皆によろしく言っといてね!」
「ウチの事も忘れんといてな!」
「また来いよ!」
第17駆逐隊に見送られながら、輸送船団はベトナムから離れた。
そしてハイフォン港から沖に出た輸送船団は海南島と西沙諸島と間を通過し南シナ海へと出た。敵の勢力圏内に出た第16駆逐隊は貨物船3隻を囲むように展開しクリスは前方に出た。
此処からは何時敵に遭遇しても可笑しくない場所のため、バシー海峡を越えるまではこの態勢で進む事になる。
そして数時間後、いよいよバシー海峡に近付いてきた。
「やっぱり飛んでるな」
SPY-6(V)1レーダーの探知範囲ギリギリにイトバヤット島が僅かに写っており、その回りを哨戒機と思われる目標が飛び回っている。
「大丈夫そうかい?」
「敵は今は油断している。やるなら今しかない」
「じゃあ予定通り?」
「あぁ。トマホークを発射したら全速力でバシー海峡を越えるぞ。輸送船の船長達にもそう伝えてくれ」
「分かった」
響が無線を使って貨物船の船長達に指示を送った。
「良いか皆?輸送船を守りながら海峡を越える事だけに集中してくれ。他には構うな」
「えぇ」
「もし敵の迎撃が出てきたら俺が全て引き受ける、良いな?」
「はいなのです」
「分かったわ」
「よし」
腕時計を確認する。
「時間だな。トマホーク攻撃準備!」
クリスはトマホーク武器システム(TWS)に目標の細かい座標入力を開始する。本来ならGPS等の支援があるためデータ入力は容易だが、この世界にGPSは無いのは勿論、他の航空機や地上部隊による支援は受けられない。
そのためTWSに手動で座標を入力してから、ミサイル本体の誘導装置に諸元を入力して発射するしか方法はない。
「諸元入力完了。トマホーク攻撃準備完了!」
皆に視線を合わせてから、トマホークの発射ボタンに指を掛ける。
「トマホーク、攻撃開始!」
発射ボタンを押すと、VLSからタクティカルトマホークが発射される。今回は敵を一時的に無力化させる必要があるため、搭載している30発全てを発射する。
VLSから次々と撃ち出されていくタクティカルトマホークの発射煙によりクリスが覆われていく。
「トマホーク全弾発射完了!」
放たれたタクティカルトマホークは低空飛行で南の方向へ向けて飛び去っていく。
「全艦、機関出力最大!!このままバシー海峡に突入、一気に離脱するぞ!」
トマホーク発射完了と同時に船団は速力を上げる。
「頼むぞ……」
続く
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