艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
クリスから放たれた30発のタクティカルトマホークはターボジェットエンジンを全開しながら事前の諸元入力に従って海面を超低空飛行しながら、目標へ向けて真っ直ぐ飛翔していた。
トマホークに搭載されている誘導装置TERCOMは入力されている飛行計画に従い、逐一針路を変えながら飛翔していく。
そして目標となるイトバヤット島に近くに達すると、30発のトマホークは最終段階に入った。30発のうち15発はその場でホップアップ、10発はそのままの高度を維持し、残りの5発は針路を少し変えて突入態勢に入った。
搭載されてるデジタル式情景照合装置が作動し電子光学センサーが事前に登録されている敵の潜水艦、魚雷艇、そして敵の航空基地を画像認識し割り振られた目標に向けて突入していく。
十数秒後、島に爆音が響き渡り、爆炎が上がった。
トマホークは目標に次々と命中し、魚雷艇や潜水艦を破壊し、飛行場の滑走路にも大穴を開けていく。また魚雷艇と潜水艦用の弾薬庫にも引火したのか、攻撃が終わったと同時に大爆発が起きた。
島上空を哨戒していた敵の航空機は蜂の巣を突っついたように激しく飛び回り、何処から攻撃を受けたのか、どの方向からの攻撃なのかを探るため他方向に向けて飛び去った。
「トマホークシグナルロスト、全弾命中確認!」
「やったわね!」
「あぁ。敵は今ごろ大慌てだろうな」
船団はバシー海峡に入っており、敵の勢力圏の中を突き抜けようとしていた。
「もう少しだな」
後30分で海峡を抜けるタイミングで通信が入る。
『こちらホワイトシャーク!敵潜水艦を捕捉!』
「了解!皆、哨戒機が敵潜水艦を捕捉した!」
「あなたの勘が当たったわね!何隻かがこの辺りをうろついているかもしれないって」
作戦開始前からクリスは島に敵戦力が全て停泊しているとは考えておらず、必ず哨戒に出ている敵の潜水艦が潜んでいると想定し、海峡突入前にヘリを使って対潜警戒網を敷いていたのである。
「ホワイトシャーク、敵潜水艦の数は?」
『こちらで捕捉できた限りでは6隻です』
「分かった。目標はこっちが対処する、ホワイトシャークは目標の現在位置を送ってくれ」
『了解』
ホワイトシャークからデータリンクで送られてくる敵潜水艦の現在位置と、これも事前にコンピューターに入力していた深海棲艦のデータと照合し確認する。
「敵潜水艦は『カ級』と言う敵側の主力潜水艦か」
HUDにカ級の画像とデータが投影される。カ級のその見た目はガスマスクを着けたゾンビのようなビジュアルだった。情報では艦娘側のソナーでは捕捉が難しいとの事だったが、静粛性の高い原子力潜水艦との戦いを想定したクリスとシーホークのソナーの性能の前では敵ではなく、クリスが知っているロシア海軍のヤーセン級やタイフーン級、そしてアメリカ海軍のバージニア級と比べれる程の性能ではない。
「成る程、針路上を扇型に待ち構えてるな。だが艦同士の距離が近いのならこっちのものだ」
クリスは直ぐにRUM-139VLAアスロックに目標との距離を入力し発射態勢に入った。
「Asroc、fire!」
VLSから6発のアスロックが発射された。
慣性誘導により目標方向へ向けて低空飛行を行い、目標近くでロケットブースターが切り離されると、弾頭部であるMk54短魚雷が海上に落下、海中に潜ると同時にMk54は目標捜索用アクティブソナーを放ちながら目標に向けて走り出す。
そして、海中に潜んでいた敵潜水艦『カ級』6隻を捕捉、魚雷を察知し潜航して逃げようとするカ級を完全に捉え突き進んでいく。
その直後、海上に6発の水柱が上がった。
『やった!目標全艦に魚雷命中確認!』
「了解!直ぐに離脱しろ!」
『了解!』
「皆、敵潜は全部仕留めた。後は海峡を抜けるだけだ!」
船団はバシー海峡を全速力で通過していく。もうこれ以上の敵が来るのは御免だと皆は必死で祈る。
そして30分後。バシー海峡を抜けて安全地帯である東シナ海へ入った。
「良かった……バシー海峡を抜けたわ」
暁のその言葉に皆が安堵した。
「ふぅ………」
クリスも緊張の糸が解ける。
「此処まで来ればもう安心ね。後は鎮守府に直行よ!それまでは気を抜かないでね!」
「あぁ」
無事にバシー海峡を越えた船団は東シナ海に入り、沖縄諸島を越えてから九州より劣等沿いに北上、そしてその日の夜には鎮守府に帰還する事が出来た。
続く
皆様からのご意見とご感想お待ちしております