艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
輸送船団護衛任務を終えて鎮守府へ帰還した第6駆逐隊とクリス。
この世界での初任務を損害なく終える事が出来たクリスは内心安堵し、入港後直ぐに工廠へ向かった。
「お帰り!」
工廠で作業をしていた明石や妖精達が出迎える。
「どうだった?異国での初任務は?」
「まぁこんなものだ。相手が潜水艦や魚雷艇だけだったからな。兎に角、装備の整備を頼む」
「了解!さぁ皆、作業よ!」
艤装を切り離すクリス。台の上に置かれた艤装に整備担当の妖精達が一斉に押し寄せ、整備作業に入った。無論、クリスの妖精達の厳重な監視の元ではあるが、誰も文句を言う事なく整備作業を進めていく。
「明石、消費した分の弾薬の補充をしたいんだが」
「OK。じゃあ此処にリストを書いて」
明石から手渡されたリストを受け取ると、今回の戦闘で使用したトマホーク30発、アスロックと弾頭部のMk54短魚雷6発のリストを記入する。
「これで良いか?」
「ちょっと待ってね………………」
明石はリストを確認する。
「記入漏れはなし。問題ないわ」
そう言うと、クリスが以前使用した全自動開発製造機にリストの内容を入力し、スイッチを入れる。
機械が動き出し、弾薬の製造が開始された。
「中々の量の資材を使うのね。特にこのトマホークって奴は」
「そいつは1発で億単位はするからな、無理もないだろ」
トマホークは決して安いミサイルではない。本来トマホークは敵の重要目標を攻撃するためのミサイルであるため、おいそれと使える代物ではない。クリスに搭載されているタクティカルトマホークは従来のトマホークの能力向上とコスト削減のために開発されたもので値段は従来よりは下がったものの、やはり高価なミサイルである事には変わりはない。
「今度からは考えて使わないとな」
クリスはそう言うと何時ものデータ入力作業に入る。今の彼にとってはコンカイ任務は非常に重要なデータになりうるため、記録された各種戦闘データを解析に掛けて、コンピューターに打ち込んでいく。こうする事でイージスシステムや関連システムの精度と能力が向上し、次回からの任務や戦闘に大いに生かす事が出来る。
それと同時に問題となった点も出てきたため、解決策も考える必要がある。
今回の任務では元々問題となっていたGPS等の支援が使えない事が敵基地攻撃までにかなりのタイムラグ発生を招いており、また自分以外の艦にはデータリンクが無いため味方の細かい動きや命令伝達に若干の難がある事も判明した。
前者に関しては敵目標の事前情報を出来る限り集め予めTWSに読み込ませておけば多少はマシにはなる。
後者に関しては明石か夕張と共同でデータリンクシステムを新たに開発し、他の艦娘達の艤装に後付けで装備出来るような物を作るか、或いは別の手段を考える他は無い。
「どうするべきか…………」
「何悩んでるの?」
作業をしていた夕張が話し掛けてきた。
「あぁ……実はな」
クリスは夕張にデータリンクシステムに関する案を話す。
「これを皆の艤装に装備する事ができれば、リアルで精度の高い情報を一斉共有できて戦闘面でも高いアドバンテージが得られる筈なんだが」
「確かに。これからの時代は情報がなによりも大きな武器になるから開発してみる価値は大いにあるわね」
「だがそうなると決して外せないのがコンピューター技術者だ。こればかりは専門の技術者じゃないと」
「それは問題ないわ!」
そう言うと夕張は側に居た妖精達の中から1人の妖精を呼び出した。
「彼、実は帝大とアメリカの大学でコンピューターを学んで、コンピューター技術者の資格を持ってるのよ!」
手のひらに乗っている白衣と眼鏡を掛けた1人の妖精が胸を張って任せろ言わんばかりに自信を見せる。
「私と明石さんも多少の知識はあるし、あなたと私達が力を合わせれば出来ない事はないわよ」
「成る程……これだけの人材が居れば不可能じゃないな。明石っ!」
クリスは明石を呼び寄せる。
「どうしたの?」
「実は」
事情を話すと、明石の表情が変わった。
「良いわね…………私もその話に乗らせてちょうだい!」
2つ返事で了承した明石も加わり、工廠内で極秘裏に開発が始まった。
続く
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