艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

21 / 118
第21話

射撃場を離れて、鎮守府内を歩き回っているクリス。

鎮守府内には自主練で残っている艦娘達も居れば、クリスと同じように暇を持て余している者も居る。

 

 

そんな中、クリスは気付けば工廠へとたどり着いていた。

 

 

「やっぱり此処か」

 

 

特に用は無いが、暇潰しで中に入る。

 

 

「あ、クリスさん」

 

 

中では夕張が他の艦娘達の艤装の手入れをしていた。

 

 

「艤装の手入れか?」

 

「えぇ。作戦前の貴重な時間だから。ところで何か用?」

 

「まぁ……暇だから、ちょっとな」

 

「じゃあ時間あるなら艤装の手入れしたら?」

 

「そうだな………分かった。その方が時間が潰せるからな」

 

 

 

そう言うとクリスは自分の艤装が格納されている場所へと向かう。

現在、クリスの艤装は工廠の奥にある特別に設けられた格納庫に厳重に仕舞われており、扉の前にはクリスの部下の妖精が完全武装で歩哨に立っている。

格納庫へ入るには入室許可証を提示するか、クリスと長門の2人から許可を取らなれけばならないようになっている。クリスは手にしていた許可証を提示する。

 

 

「艦長、お疲れ様です」

 

「あぁ。艤装の整備に来たんだ」

 

「分かりました」

 

 

妖精が扉の鍵を解錠し扉を開ける。

 

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

 

扉を越えて中に入ると、クリスの艤装が台に置かれている。

 

 

「さて」

 

 

早速整備のため、クリスは艤装の収納入れからPCと端末を取り出すと、コンピューターに接続し電源を入れる。

 

 

「やるか」

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後…………

 

 

「こんなものかな」

 

 

PCを使ってのシステムのアップデート作業とデータのバックアップを終えてデータが保存されたUSBを仕舞い、PCを閉じる。

 

 

「艦長」

 

「どうした?」

 

「艦長、差し出がましいようですが、お顔が優れない様で」

 

 

副長からの言葉にクリスは驚いた。

 

 

「そうか?」

 

「えぇ。艦長、此処に来てから一度も外へ出てませんよね?」

 

「あぁ」

 

「それは精神的に良くないです。少し気分転換に外に出掛けてみては?まだ一週間は休みがあるんですよね?」

 

「まぁ………でも此処が現代なら兎も角、別世界の過去の日本の町は土地勘が無いんだ。地形や町の情景だって横須賀に居た時とは全然違うし」

 

「でも何もしないよりは良いですよ。どうせなら誰かを誘っては?」

 

「誘ってか……………それも悪くないかな」

 

 

 

副長の言葉にクリスは手入れを終えて工廠を出ると、顔見知りの中で誰を誘おうか迷う。

 

 

「誰を誘うべきか………」

 

 

 

顔見知りの艦娘の大半は外出してしまっているため、誰かを誘うにも、誘う艦娘が居ないのである。

 

 

 

暫く歩いていると……

 

 

 

「あれ?クリスじゃないか」

 

 

 

後ろから声を掛けられて振り替えると、そこに居たのは、朝から外に出掛けていた筈の時雨だった。

よくみれば珍しい私服姿であった。

 

 

「グレか。外に出ていったんじゃないのか?」

 

「うん。ちょっと用があってね…………じつは夕立が『クリスとお出かけしたい』って言ったから探してたんだよ」

 

「夕立が?」

 

「うん。夕立、クリスの事気に入ってるみたいだから」

 

「そうか………ちょうど気分転換に町にでも出掛けようかなって思ってたから、誘いに乗らせてもらおうか」

 

「じゃあ行こう。入り口に夕立が待ってるから」

 

 

 

クリスと時雨の2人は鎮守府の正門へと向かう。

 

 

「あ、クリス!時雨!」

 

 

正門で待っていた夕立が時雨とクリスに手を振る。

 

 

「お待たせ。ちゃんと連れてきたよ」

 

「夕立、お前が俺を誘ってくれたと聞いたが」

 

「そう!クリスとゆっくりお話がしたかったし、友達になりたいと思ったっぽい!」

 

「友達か………嬉しいな」

 

 

夕立の言葉にクリスは素直に嬉しさを感じる。

 

 

 

「じゃあ時間も無いし、正門前に停めてある僕の車で行こう」

 

 

 

その言葉にクリスが驚いた。

 

 

 

「グレ、お前車持ってたのか?」

 

「うん。今日が納車だったんだ」

 

 

そう言って正門を越えて外へ出ると、そこに一台の車が止まっていた。

黒いボディーに2ドアのC210系スカイライン、通称ジャパンと言われている車である。

今日、時雨が朝から外に出て行ってたのはこの車をディーラーに受け取りに行ってたからなのであった。

 

 

 

「新車だよ。近くのディーラーで安く買えちゃった」

 

 

 

時雨は少し誇らしげに、そして嬉しそうな表情で話す。よく見ると車体左後部下に『2000GT-TURBO』とゴールドのステッカーが貼られており、ドアにもゴールドのストライプが描かれている。

どうやらこの車はターボ仕様らしく、クリスは時雨に問い掛ける。

 

 

 

「これターボ車だろ?大丈夫なのか?」

 

「心配ないよ、運転には自信はあるんだ」

 

 

 

時雨は自信満々に言うがクリスはまだ少し不安はあった。

 

「因みに運転歴は?」

 

「3年」

 

「じゃあ大丈夫そうだ」

 

 

 

 

夕立はクリスを車の助手席に押し込み、用意していた荷物をトランクに入れてから後部座席に乗り込んだ。

 

 

「そう言えば時雨」

 

「ん?」

 

「前の車、どうしたっぽい?」

 

「あのセドリック?なんか明石と夕張が欲しいって言ってたからあげたけど」

 

「何で?」

 

「さぁ?」

 

 

時雨はサングラスを掛けて、ステアリンググローブを両手に嵌めてステアリングを握る。

MTシフトレバーを1速に入れて、ゆっくりとアクセルを踏み込む。

 

 

「うおっ!」

 

 

一気に走り出し、クリスはドアノブを掴む。

 

 

「安全運転で頼むぞ!」

 

「分かってるって」

 

 

 

 

続く




皆様からのご意見とご感想お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。