艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
木暮に連れられクリス達は、木暮の愛車であるオープンカーに乗っていた。
「いやぁしかし、1年前に初めて出会った時の事を思い出すな時雨」
「うん。あの時は大変だったけど」
突然始まった話にクリスは何事かと興味を持つ。
「1年前に何があったんです?」
「聞きたいか?」
「はい。それに時雨がどうしてあの人達と知り合ったのかが気になってましたから」
「よし、聞かせてやろう」
木暮はガゼールを運転しながら話を始める。
「あれは私が丁度署に赴任しててきて直ぐの時だ。あの日も丁度今くらいの時期だったんだが、薬物密輸関連の事件を署が総出で追ってた時だ。当時、都内に流れていた東南アジア製の純度の悪い安いヘロインが暴力団を通じて大量に流れてたんだ。捜査の結果、横浜の港に入港していた貨物船から国内に流れていた事が分かったんだ。そこで当時の警視庁は国防軍と共同で捜査をすると言う事になって、そこで当時の横須賀鎮守府の協力する事になったんだ」
「今は居ないけどウチの提督が木暮さんと旧い知り合いで、その時、提督からの指示で僕と夕立が西部署の指揮下に入って知り合ったんだ」
「いやぁ懐かしいねぇ。いざ貨物船の臨検する時にその組織が激しく抵抗して、中々手が出せなかったんだ。その時、時雨と夕立の2人が銃弾が飛んで来る中を飛び出して奴等に噛みついた。そして奴等が混乱した中を我々が取り押さえて組織は壊滅、いつ見てもあの時の2人は凄かったね」
武勇伝のように語る木暮の言葉にクリスは言葉が出なかった。
「銃弾の中を飛び出す………無茶するんだな」
「あの時は、夕立が急に相手に向かって突っ込んで行ったからそれを僕が止めようとしたんだよ!そしたら相手の懐に飛び込んじゃってなし崩しに………」
「だってぇ~……」
そんな話をしているうちに目的地に到着した。
到着したのはこじんまりとした感じのバーで、玄関の壁には英語で店名が書かれている。
「さぁ、入った入った」
木暮に促され、ドアを開けて中に入る。
「いらっしゃいませ」
そこには、スーツを着こなした店主の男がバーのカウンターの奥に立っていた。
「やぁヒナさん」
「やぁグレさん。お久しぶりですな!今日はお連れ様が居るそうで」
「そうなんだよヒナさん。時雨と夕立は知ってると思うが、今日はそんな2人の新しい仲間なんだ」
「お二人の新しい仲間ですか!?」
「そうだ。紹介しよう、アメリカからやって来たクリス・カイルだ」
「合衆国海軍、駆逐艦クリス・カイルです!」
「私は当店の店主の朝比奈と申します」
クリスと朝比奈は握手を交わす。
「いやぁ、懐かしいですな。実は私もアメリカに居た時があるんです」
「そうそう。ヒナさんが外交官、俺がFBIに研修に行っていた刑事。お互い若かったね」
そんな話をしながらカウンター席に座る。奥から木暮、時雨、夕立、クリスの順だった。
「じゃあヒナさん俺は何時もので」
「分かりました。3人は何にいたしましょう」
「夕立はオレンジジュースっ!」
「僕は梅酒」
「俺は……バーボンをロックで」
「分かりました」
注文を受けた朝比奈は早速、酒を作り始める。
「しかし、アメリカにも艦娘が居たんだな。俺は仕事柄、艦娘の事を知ってるつもりだったんだがな……」
「えぇ。アメリカに居た時に艦娘さんには色々あった事はありますが、クリスさんは初対面ですね」
2人が知らないのは当然である。クリスはこの時代、そしてこの世界の産まれではないため、当然会ったこともない。
「まぁ、クリスは最新鋭艦だからね。2人が会った事が無いのは当然だよ」
すかさず時雨がフォローを入れる。
「………最新鋭艦ねぇ。まぁそう言う事にしておきましょ」
クリスは内心、木暮が自分の正体に薄々勘づいているのではないかと思ったが、これ以上自分の話題に触れさせないように、それ以上の事は話さず、注文していたバーボンが来たためそれを飲み始める。
すると………
「課長!」
そこへ、遅れてやって来た大門達が店内に入ってきた。
「おう!先にやってるぞ!」
「課長!大門君達が例の組織の構成員を全員逮捕、麻薬は全て押収したとの事です!」
「そうですか………いやご苦労さん。今日は俺の奢りだ、皆じゃんじゃん飲んでくれ!」
「「「「「「ごっつぁんです!」」」」」」
大門達も加わり、店は一気に活気に包まれた。
それから数時間後………
「皆、今日はありがとうね!」
「おう!気をつけて帰れよ!」
帰る時間となり、時雨の車に乗ったクリスと夕立を大門達が見送る。
「じゃあ、ありがとうございます!!」
大門達に見送られながら西部署を時雨の運転するスカイラインが出ていく。
「いやぁ飲んだ飲んだ。しかし門限に間に合うか?」
「間に合わせるさ」
そう言うと時雨は高速に乗ると、アクセルを踏み込んで車を一気に加速させる。
「おい!安全運転で頼むぞ!!」
「分かってる!」
3人を乗せたスカイラインはそのまま神奈川方面へと走っていった。
続く
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