艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第27話

呉に到着し、秋月と照月と合流したクリスと時雨は呉鎮守府で一泊した後、夜明け前の早朝、九州へ向けて呉港を出港した。

 

 

「凄い霧だな」

 

 

クリス達が航行する瀬戸内海は濃霧が発生しており、10メートル先も見えない程の濃さだった。船舶にとっては濃霧は事故の要因となり、それは艦娘でも同じである。

 

 

「秋月、此処じゃ何時もこんな濃霧が起こるのか?」

 

「時々あるんですよ。特に春から夏にかけてが特に多くて、困りますよ。なにせこの霧ですから視界が効きませんし、大型船なら兎も角、漁船や個人のボートとかと接触すれば大惨事です、まぁ関門海峡を抜ければこの霧も晴れますよ」

 

「レーダーは?」

 

「電探だけを宛には出来ません。やっぱり自分の目が頼りですよ」

 

 

秋月は先頭に立ちながら濃霧の中を進んでいく。クリスもレーダーの出力を上げ、目視による警戒を続ける。時雨も双眼鏡を使って他の船と衝突しないように航行する。

 

 

「現在位置は?」

 

「間も無く周防灘に入ります」

 

 

山口県沖に到達しそのまま周防灘へと入る。

今回、佐世保がある長崎県へは関門海峡を抜けて日本海側からの最短ルートを辿る事になっている。

周防灘へと入ると、そのまま関門海峡へ向けて北上、そして海峡を抜けると日本海へと出たクリス達は長崎へ向けて南下する。

そして正午頃にクリス達は今回の目的地である長崎県沖へ到達、九州と五島列島との中間に位置する長崎県佐世保へと入港した。

 

 

「やっと着いたか」

 

 

佐世保港へと入港し、佐世保鎮守府へと入った。

 

 

 

 

 

呉の時と同じように、クリス達は鎮守府庁舎へと入り、提督との面会を果たした。

 

 

 

「横須賀鎮守府所属、駆逐艦時雨です」

 

「合衆国海軍所属、駆逐艦クリス・カイルです」

 

「呉鎮守府所属、駆逐艦秋月です」

 

「同じく呉鎮守府所属、駆逐艦照月です」

 

「遠路遙々、よく来てくれた。私は当鎮守府を預かる成田だ。よろしく頼むよ」

 

 

佐世保鎮守府提督、成田は一人一人と固い握手を交わす。

 

 

「さて、今回の陽動作戦だが………君たちも分かっている思うし今更こんな事を言う必要は無いが、国防軍を含めたアメリカ、ロシア、イギリスの4ヶ国が参加する大規模な作戦となる。今回当鎮守府は呉と横須賀と共同で陽動作戦を実行する。今回の陽動作戦は敵の注意を出来る限り東シナ海へと向けさせるのが目的だ」

 

 

成田は東シナ海全体を記した海洋図が貼られた黒板の前に立った。

 

 

「皆も知ってる事だが、東シナ海は深海棲艦の潜水艦戦力が集中している海域だ。従って今回の陽動作戦は潜水艦並びに魚雷を装備した高速艇が相手となる、そして東南アジア方面からの敵航空戦力も敵は投入してくる可能性が充分に有り得る。今回の陽動作戦には沖縄の国連軍の支援も入る予定だ」

 

「提督、1つ伺ってよろしいか?」

 

「なんだ?」

 

 

クリスが成田に質問を掛ける。

 

 

「沖縄の国連軍の戦力は?」

 

「あぁ。国防海軍の第6艦隊とアメリカ海軍からは第7艦隊所属のミサイル巡洋艦ロングビーチ、フォレスト・シャーマン級駆逐艦4隻が居る」

 

(ロングビーチ級……また骨董品だな。まぁこの時代なら最新鋭艦と言ったところかな)

 

 

クリスが作られた2020年代ではロングビーチ級は退役している骨董品だが、この時代の基準から見れば充分な性能を持っている。だがクリス自身は資料でしか知らないため、どれ程の期待できるかは分からなかった。

 

 

「その他に国防海軍とアメリカ海軍の戦闘機部隊にP-2と最新鋭のP-3Cを装備した対潜哨戒部隊が駐留している。今回の作戦では我々と共に主力を勤める事になっているぞ」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

 

クリスは質問を終えて1歩下がった。

 

 

「凄いですね。どの艦も高性能艦や新鋭機ばかり……陽動作戦でこれだけの戦力が揃うなんて」

 

「陽動作戦をやるんだから見せ掛けでもそれだけ揃えないと敵を欺けないのさ。特に今回の編成は対潜を意識しているから、敵の潜水艦戦力を考えての事なんだろうけど」

 

 

秋月は国連軍側の戦力に驚き、時雨は納得した上で今回の戦力編成について作戦内容を冷静に分析した。

 

 

「それと秋月と照月には必要ないが、クリスと時雨には今回の作戦で君達と行動を共にする事になる初月と涼月の2人を紹介しよう」

 

 

成田がそう言うと同時に部屋のドアが開くと、2人の艦娘が入ってきた。

 

 

「初月、涼月!」

 

「久し振りだね秋月姉さんに照月姉さん」

 

「お二人ともお元気そうで何よりです」

 

 

秋月の妹である『初月』『涼月』。2人とも秋月と照月と服装は似ているが初月は黒、涼月は白一色の制服の下に着用しており肌の露出が少ないのが秋月と照月との違いであった。

 

 

「君達が初月と涼月で間違いないのかな?」

 

 

姉妹同士で話をしている中、時雨が声を掛ける

 

 

「あ、はい。秋月型駆逐艦の涼月と申します」

 

「僕は初月だ。よろしく頼むよ」

 

 

2人は時雨と握手を交わす。

 

 

「俺はクリス・カイルだ。よろしく頼む」

 

「初月だ」

 

「涼月です」

 

 

クリスとも握手を交わす。握手を追えると早速、初月がクリスに問い掛ける。

 

 

「クリス…と呼べば良いのかな?」

 

「あぁ」

 

「噂で聞いたんだが、お前は本当に男の艦娘なのか?」

 

「お初さん、いきなりそんな質問……」

 

「あぁ、本当だ」

 

 

土直球な初月の質問に涼月が止めようとするが、クリスは直ぐに答える。

 

 

「意外とあっさり答えるんだな」

 

「事実だからな。それが何か?」

 

「いや。ちょっとお前に興味があったから、それだけさ。まぁ何はともあれ、よろしく頼むよ」

 

「こちらこそ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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