艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第32話

アリゲーターガーと合流を果たしたクリス。一気に戦力を上げた陽動部隊は作戦開始に向けて連日演習を繰り返していた。

演習海域の海中では潜水艦同士による魚雷戦が展開されており、海上には水柱が何本も上がる。

 

 

「Hit!」

 

 

作戦開始2日前の演習最終日。

アリゲーターガーを加えた演習は一層の激しさを見せ、最新鋭のバージニア級であるアリゲーターガーを加えた対抗部隊とクリスらの対潜艦隊との演習は一進一退の攻防を繰り広げ、最終的に一手の差でクリス達の勝利となった。

 

 

「演習終了!」

 

 

最後の演習終了の宣言が発せられ、作戦に向けた演習は終了した。

 

 

「よぉ、クリス」

 

「アリー」

 

 

鎮守府の岸壁で合流したアリゲーターガーら対抗部隊とクリスら対潜艦隊。

 

 

 

「やるな」

 

「伊達に原潜対策はしてないさ」

 

「いや。原潜相手にあそこまでやれるんだ。今度の作戦は上手く行くさ」

 

「そう願うけどな。そう言えば他の潜水艦の面々はどうした?」

 

「俺にメンツ潰されて何処か行っちまった」

 

「可哀想に。まぁ原潜と大戦当時の潜水艦とじゃ性能に差が有りすぎるからな」

 

 

アリゲーターガーが対抗部隊に加わってから伊201らはその性能面から完全に指揮や攻撃の主導権を彼に取られてしまい、自信とプライドに僅かな傷が入っていた。その結果、演習最終日のこの日に限っては対抗部隊誰とも顔を合わないまま何処かに姿を消してしまったのである。

 

 

「さて、演習開始は2日後だ。作戦参加部隊は鋭気を養うため、明日は休日とする。短い期間だが半舷上陸も許可する」

 

 

成田からの半舷上陸の許可が出た佐世保鎮守府の面々は早速半舷上陸を申請して町へと繰り出して行った。

一方でクリス、時雨の横須賀組とアリゲーターガーの3人は町の土地勘が無いため、鎮守府に残っていた。

 

 

 

実はこの日、横須賀からある物が届く事になっていたのであった。

 

 

 

「来たぞ」

 

 

佐世保鎮守府から少し離れた位置にある佐世保航空基地に集まっていたクリス、時雨、アリゲーターガーと成田の4人は、滑走路の端にある格納庫前で基地に向かってくる10機の大型機を見ていた。

基地の滑走路に向けて着陸態勢に入ろうとしている大型機、国防空軍小牧基地の第1輸送航空隊第401飛行隊所属のC-130H輸送機9機、国防海軍航空隊所属のC-130輸送機3機が1機ずつ基地に着陸。

 

 

 

12機は格納庫前に移動、停止。

最初に着陸した海軍所属を示す白色の塗装が施された機体の後部ドアが開き、タラップが降ろされると機内から明石が降りてきた。

 

 

 

「明石!」

 

「久し振り!元気にしてた?」

 

 

輸送機から降りてきた明石はクリス達にそう声を掛ける。

 

 

「話は聞いてるわ!」

 

 

明石はアリゲーターガーに目線を合わせる。

 

 

 

「あなたね?クリスの同郷の潜水艦て」

 

「あぁ。SSN-812 アリゲーターガーだ!」

 

「工作艦の明石よ!よろしく!」

 

 

2人は握手を交わす。

 

 

 

何故明石が横須賀から態々此処まで来たかと言うと、今回の陽動作戦で部隊が使用する装備の整備と修理支援、そしてクリスが依頼していたある物を届けるためであった。

 

 

「注文の品持ってきたわよ!」

 

 

そう言うと明石が乗っていた1機目のC-130のから木箱が次々と降ろされてきた。

格納庫に運ばれた木箱が開封されると、中には大量のミサイルとMk48長魚雷が詰まっていた。

 

 

「注文のミサイル100発と追加の長魚雷100本、これだけあれば良い?」

 

「充分だ。すまんな」

 

「良いのよ。資材にはまだまだ余裕はあるんだから。それと見せたい物があるのよ、着いてきて」

 

 

そう言うと明石は乗ってきたクリス達を自身が乗ってきた海軍仕様のC-130の機内へ案内する。

 

 

「これは!?」

 

 

機内に入った成田が驚きの声を上げた。貨物室内には多数の高性能無線機や逆探装置や電子妨害装置が設置され、それを管制する管制官用の座席や、明らかに上級指揮官用の机と椅子も設置されている。

さながら鎮守府内にある作戦室とほぼ同等の設備である。

 

 

「どう?」

 

「驚いたな。まるで作戦室じゃないか」

 

「そうです!これこそANB計画の第一歩です!」

 

「ANB計画?」

 

 

始めて聞く単語にクリスとアリゲーターガーが明石に質問する。

 

 

「えぇ。空中から艦娘による敵艦隊へ対する空中強襲と作戦海域への緊急展開に鎮守府が整備されていない遠隔地での作戦を迅速に行うためのSea infantry airborn operation plan 海上歩兵空中強襲作戦計画、通称SIAO計画の中に組み込まれているAir navel base plan、ANB計画で製作された試験用空中指揮機なんですよ」

 

「成る程。海軍版AWACSみたいなものか」

 

「良い例えね。アメリカ空軍のAWACSにヒントにして設計されてるの」

 

「成る程。となると残りの2機も?」

 

「えぇ。SIAO計画に組み込まれている残り2つの計画で作られた試験機です。こちらへどうぞ」

 

 

横に駐機していた2号機に案内する明石。

 

 

「この2号機はSIAO計画内の2つめのプラン、Sea infantry Air troop carrier 海上歩兵空中輸送機、SAC計画の試験機です。言うなれば、艦娘の輸送に特化させた輸送機ですね」

 

 

2号機の貨物室内は艦娘が総勢20人と艤装が収容できる様になっており、低空または中空から艦娘自らパラシュートを使って作戦海域に展開させるための機体になっている。

 

 

「こっちはオリジナルと殆ど変わらないんだな」

 

「2号機はレイアウトの変更だけで済んだのでオリジナルからは殆ど変わってません。じゃあ次に行きましょう」

 

 

続けて3号機へと向かう。

 

 

 

「これは!?」

 

 

 

3号機の機内は様々な機械で埋め尽くされており、天井クレーンがあり艤装の整備と修理に必要な大型機械、弾薬庫、更に奥のスペースには戦闘で負傷した艦娘を治療するための医務室と寝台、更には人1人分の小さな風呂場が設けられている。

 

 

「これこそSIAO計画の最後となるAir arsenal計画、AA計画の試験機です。正直これが一番開発に苦労しましたよ。先の1号機は電子戦仕様、2号機は通常の輸送機型に手を加えた奴なんですけど、この3号機は艦娘の運用に必須な工廠機能をそのまま輸送機に乗せるなんて無茶なコンセプトで作られた機体ですから」

 

「どう大変だったんだ?」

 

「先ず重くなった機体を支えるためにランディングギアとタイヤを徹底強化、エンジン出力の強化、機体を少しでも軽くするために飛行に必要な最低限の電子機器以外を降ろしたり、貨物室の消火設備の増設とか色々よ。お陰で最高速度が30キロも落ちたり、操縦性に少し難ありだけど運用に問題が無いレベルにはしてるわ」

 

「3機で空飛ぶ鎮守府の完成だな」

 

「えぇ、て言っても前線に出るのは1号機と2号機で、今回の作戦じゃ2号機が出る事になりそうね」

 

「1号機と3号機は?」

 

「3号機は鎮守府や工廠が整備されていない遠隔地での運用が前提だから今回は佐世保鎮守府に残って万が一に佐世保の工廠がキャパオーバーになった時に作戦参加の艦娘達の艤装整備支援。1号機に関しては今回の作戦の指揮が佐世保鎮守府で行われるから待機かもね」

 

 

3機の試験機は格納庫へと収容されていき、空軍の機体からは必要な物資が次々と降ろされていき、用意されていたトラックに積み込まれてく。

 

 

「じゃあ早速だけど皆の艤装の整備点検よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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