艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

36 / 118
第36話

哨戒機が接敵した敵の潜水艦部隊からの報告を受けた対潜任務部隊は現場海域に到着していた。

既に周囲には敵の潜水艦が群雄割拠しており、魚雷攻撃による接触を受けていた。

 

 

「来た!」

 

 

既にクリスはヘリを発艦させ、対潜警戒網を敷いており、早速ヘリのソナーが目標を捕捉、データリンクで敵の位置と深度に関するデータが送られてくる。

 

 

「皆、ヘリが敵の潜水艦群を捕捉した!」

 

 

送られてきたデータからクリス達と対峙する敵潜水艦の数は総勢20隻。周辺に大きく展開しているのが分かる。

 

 

「30隻か……」

 

「一杯居ますね…」

 

「普段の私達ならこんな数の潜水艦の相手なんて御免だが…今回は頼もしい味方が居るから怖くはない!」

 

 

秋月達はクリスと言う心強い存在が居ると言う事に自信をつけている。

 

 

(あまり頼られても困るが、頼られてるなら期待に応えない訳にはいかないか)

 

 

当の本人は喜んで良いのか分かりかねているが、指揮をしている身なら従ってくれている者への示しは見せる必要があるのは理解している。秋月達の期待に応えるため思考を切り替えて攻撃態勢に入る。

 

 

「ASROCK、stanby!」

 

 

 

そう言うとクリスはVLS内のASROCKに目標データを入力する。先ずヘリが捕捉した20隻は5隻で1つのチームを組んでいるため、その態勢を崩す意味を込めてその指揮をしている指揮艦らしき艦を目標を設定する。

 

 

「targetlock!ASROCK、fire!」

 

 

VLSからASROCKが連続して撃ち出されていく。夜間の海上にロケットの発射炎の光が広がり、暗闇の夜空を目標方向へ向けて飛び去っていく。

 

 

今回は付近一帯の潜水艦を相手にするため、クリス達だけではなく国連軍の対潜哨戒機部隊が総出で対処に当たるため広いフィリピン東海域をカバーしている。クリス達はそのうちの東南方向エリアを担当している。

敵潜水艦戦力は事前の偵察結果から太平洋方面からの増援を含めて100隻程の潜水艦がフィリピン一帯に駐留しており、そのうち1ヶ月前の輸送船団護衛任務でクリスがトマホークによる飽和攻撃とアリゲーターガーの攻撃により半数近くを損失しており、現在行動しているのが温存されている戦力を除けば半分程度とされている。

この数であればクリスら対潜任務部隊と哨戒機部隊でも対処できる。

 

 

 

クリスは自身が率いる部隊と哨戒機部隊の負担を少しでも軽くするため、対潜ヘリとデータリンクシステムの能力を生かし、ASROCKによるロングレンジ&サーチアンドデストロイ戦術、『遠くから目標を捕捉次第攻撃する』と言う戦術で敵潜水艦へ攻撃を実行、クリスから放たれたASROCKはヘリからのデータリンク情報に従い、敵潜水艦部隊の鼻先の海面に着水、弾頭部のMk46短魚雷が割り当てられた目標に向かって突き進む。

 

 

『爆発確認!』

 

 

海上に水柱が次々と上がっていく。

待機していたシーホークがティッピングソナーを降ろし、アクティブソナーが敵潜撃破を確認する。

 

 

『第1目標撃破確認!次の目標データを送る!』

 

 

敵に次なる動きをさせないため撃破確認から透かさず、次なる目標のデータをASROCKに入力する。

 

 

「fire!」

 

 

再びASROCKを連続して発射、数分後には5本の水柱が上がった。

 

 

『目標群A撃破確認!』

 

「目標の動きは?」

 

『目標群B、C、D、包囲を狭めてくる!』

 

「了解。俺はBに対処する!各自はCとDに対処!」

 

 

再びASROCKを発射、こちらに向けて前進してくる目標への攻撃態勢に入る。

 

 

 

 

クリスの傍ら、時雨達も敵潜狩りを実行しており、クリスからもたらされた情報を元に敵潜が展開している地点で水中探信儀を使用し、目標を発見次第、爆雷攻撃を行っていく。

 

 

「爆雷発射!!」

 

 

爆雷投射機かは爆雷が遠方に向けて発射され、着水、沈降しながら設定された深度で爆発していく。

爆発で生じた水圧は潜んでいた敵潜水艦を包み込んでいき、水圧で押し潰していく。

 

 

「照月!右舷魚雷接近!」

 

 

「え?」

 

 

敵潜水艦が放った魚雷が3本が照月に向けて接近し、全て照月への命中コースだった。

 

 

「照月姉さん、危ない!!」

 

 

初月が咄嗟に照月を突き飛ばし、長10サンチ砲と機銃を海面に向けてありったけ撃ち込む。

3本のうち2本に砲弾と機銃弾が直撃し撃破に成功したが、残りの1本が初月の目の前で爆発、大量の海水が初月に降りかかる。

 

 

「お初さん!」

 

 

側に居た涼月が叫ぶ。

 

 

「大丈夫だ!問題ない!」

 

 

全身に海水を浴びながらも初月は元気な声を挙げるが、右足の推進装置から煙があがり、黒のインナーが破け白い肌が見えていた。

 

 

「魚雷が向かってきたのはこの角度………爆雷発射!」

 

 

初月は魚雷が向かってきた方位と角度を確認して爆雷を発射した。放たれた2発の爆雷は照月に向けて魚雷を放ってきた敵潜1隻の至近距離で爆発、水圧で撃破に成功する。

 

 

「初月、大丈夫か!?」

 

 

攻撃を終えた初月にクリスがやって来た。

 

 

「大丈夫だ」

 

「診せてみろ」

 

 

クリスは初月の右足を確認する。破れたインナーの奥かな見えていた白い肌はよく見れば魚雷の破片が突き刺さっており、小さくない切り傷が出来てそこから出血していた。

 

 

「待ってろ」

 

 

そう言うとクリスは左腰のポーチからメディカルキットを取り出し、中からピンセットと消毒液、包帯を取り出す。

 

 

「少し痛むが我慢してくれ」

 

 

そう言うとピンセットで突き刺さっていた破片を抜いていく。

 

 

「っ!?」

 

 

初月は痛みを我慢する。クリスは手際よく破片を取り除き、傷口回りの血を拭き取る。

 

 

「次は消毒液をかけるぞ」

 

 

消毒液をガーゼにアルコールを染み込ませ傷口に貼り付けて、テープで固定、その上から包帯でしっかりと固定する。

 

 

「これで良い」

 

「ありがとう、助かったよ」

 

 

初月はそう礼を述べる。

 

 

「礼は作戦が終わってからだ。まだ敵はかなりの数が居るみたいだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、敵潜狩りは別の場所でも行われていた。

 

 

 

「fire!」

 

 

クリス達より先行していたアリゲーターガーが海中で敵潜狩りを行っており、空気圧の力で放たれた1本の長魚雷を敵に向けて放つ。

 

 

「shoot!」

 

 

数分後に遠くから4回の爆発音が聞こえてくる。

 

 

「これて6隻目か。クリス達も頑張ってるんだろうな」

 

 

孤独に戦い続けるアリゲーターガー。作戦開始から1人で行動していると、僅ながら寂しさのような感情を抱く。

 

 

「ん?またか」

 

 

そんな感情に浸る間も無く、パッシブソナーが敵の音を捕捉する。

ピンガーを放ち、敵の位置と距離を確認して再びMk48を発射する。

 

 

「モグラ叩きだな。魚雷が勿体無い」

 

 

Mk48は水上艦と潜水艦両方を攻撃できる高性能魚雷だが、その大きさ故、潜水艦の艦内スペースを圧迫しており、搭載数も多くなない。

アリゲーターガーが遭遇している敵潜水艦の殆どはカ級と呼ばれている数の上での主力ばかりであり、このフィリピン方面の潜水艦を率いている『潜水悽姫』と呼ばれる司令塔とはまだ遭遇していない。これを撃破すれば一帯の潜水艦級は制御を失い、より叩き易くなる。

 

 

「出てこい潜水悽姫」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




皆様からのご意見とご感想お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。