艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第4話

無事に横須賀港に入港した第6駆逐隊とクリス。

艦娘専用の入港エリアに入り、工廠と直結しているスロープから陸上に上がると、そのまま工廠へと入った。

 

 

「此処で艤装を外すのよ」

 

 

暁にそう教えられクリスは身に纏っていた艤装をパージし、被っていたヘルメットを外した。

 

 

「ふぅ……」

 

 

艤装とヘルメットの圧迫感から解放されたクリスは体を大きく動かし凝り固まった部分の柔軟を行う。

 

 

「外した装備は何処に置けば?」

 

「そこに空いてる所があるから、そこに置けば良いわ」

 

 

雷が指差した先には、他の艦娘達の艤装がラックに立て掛けられており、クリスはその中の空いているラックに艤装を立て掛ける。

すると、中に控えていた小人達が姿を表す。

 

 

「おいおい」

 

 

小人達は出てくるや否やM4カービンやM9を手にプレートキャリアやヘルメットを身に付けて、艤装を守るように展開する。

 

 

「艦長、此処は我々に任せてください。誰1人近付けさせません」

 

「大げさじゃないか?」

 

「艦長は合衆国の最高軍事機密です。万が一を考えての事です」

 

 

小人達の言う事は一理ある。クリスは軍事機密の塊であるイージスシステムを搭載しており、同盟国にすらシステムのブラックボックスには触れさせてないのである。未だ敵か味方か分からないこの場では誰かに不用意に触られる訳にはいかないのは事実であった。

 

 

「分かった。後を頼む」

 

「了解」

 

 

クリスは小人達に後を任せて工廠を出た。

工廠の外に出ると、そこには広い敷地内にいくつもの木造宿舎が並び、運動場、赤レンガ倉庫、そして鎮守府の本庁舎らしき建物も見えた。

 

 

「ノーフォーク基地並みだな」

 

 

記憶にある自身の母港の事を思い出す。合衆国海軍最大の基地であるノーフォーク港には現役から退役してモスボールされている物も含めて多数の軍艦が停泊しており、その中にはかつての自分も並んでいた事を思い浮かべた。

 

 

「クリス、こっちよ」

 

 

暫く歩いていると鎮守府の本部が置かれている本庁舎の建物が見えた。正門を抜けて玄関から中に入る。

 

 

「伝統を感じるな」

 

 

木造の庁舎内は何処か懐かしさのような物に感じられるが、最新セキュリティにより強固に守られた国防総省とは比べられないがそれにも負けられない程の威厳を感じ取る。

暁達の案内で庁舎内を歩き続け、『司令室』と書かれたプレートが提げられた部屋の前にたどり着く。

 

 

「第6駆逐隊、入ります!」

 

『入れ』

 

 

響が中に居る人物にそう呼び掛け、扉の向こうからそう返答が来る。扉が開かれると、そこには執務机からこちらを見ているロングヘアーの女性、その側にボブカットの女性、そしてメガネを掛けたインテリ風の女性の3人が立っている。

 

 

「第6駆逐隊、帰還しました」

 

「ご苦労だった。報告は後で書類にて提出するように」

 

「了解」

 

「早速だが、そちらに居るのが報告のあった」

 

 

ロングヘアーの女性がクリスに目を向ける。

 

 

「男……?」

 

 

ボブカットの女性が少し驚いた様子でクリスを見る。

 

 

「はい。深海棲艦の水雷戦隊に包囲されていた所を助けられました」

 

 

響の言葉に第6駆逐隊の面々が頷く。

 

 

「そうか。君の名前と所属は?」

 

「合衆国海軍第5艦隊所属、DDG-145クリス・カイルです」

 

 

クリスは直立不動の姿勢で敬礼しながら自己紹介を行う。

 

 

「国防海軍横須賀鎮守府第1艦隊旗艦兼提督代行の長門だ」

 

「同じく、第1艦隊所属の陸奥よ」

 

「横須賀鎮守府秘書艦の大淀です」

 

 

3人の女性がそう名乗りクリスに敬礼で返す。

 

 

「ではこれより貴艦と話し合いに入りたいと思う。第6駆逐隊は退出を」

 

「了解」

 

「頑張ってねクリス」

 

 

そう言うと第6駆逐隊は退出した。

部屋に残されたクリスは3人の艦娘に囲まれた状態となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして暫く時間が経過した頃、工廠の格納庫では………

 

 

「艦長、遅いですね」

 

 

クリスの艤装を武装警備している小人達はクリスが中々帰って来ないのを心配していた。

 

 

「交渉が長引いてるのかもな。何せいきなり戦闘介入したんだから」

 

「ですが、もう2時間が経ちますよ」

 

 

腕時計で時間を確認する小人達。その中で副長を任されているリーダー格の小人は落ち着いている様子である。

 

 

「しかし、視線が痛いな」

 

 

ふと周りを見ると、自分達を奇妙な目で見てくる大勢の小人達の姿があった。興味津々なのか近付こうか迷っている様子である。

 

 

ふとそこへ、工廠の裏口から1人の女性が入ってきた。

 

 

 

「さて………今日も整備と行きますか」

 

「今日は第6駆逐隊の娘達のよね?」

 

 

ピンク色のロングヘアーが特徴の艦娘、工作艦『明石』と、グリーン色のヘアカラーが特徴の軽巡洋艦『夕張』の2人が自身の任務である艦娘達が使用する艤装の整備のため仕事に取り掛かろうとする。

 

 

「あら?こんな所に見た事の無い艤装が……ちょっと調べてみようかしら」

 

 

夕張は手は普段は空いているラックに見覚えの無い艤装を見つけ、手にしていた工具を取り出し誰の物か確認しようと近付いた。

 

 

「Stay away!」

 

 

その時、クリスの艤装を警備していた1人の小人が手にしていたM4を明石に向けて大声で叫ぶように警告する。

それを聞いた他の小人達もM4を明石と夕張に向ける。

 

 

「ちょ…ちょっと待ってよ!私達は」

 

「Go away!Go away! Go away!」

 

「お願い!そこは作業スペースだから退いてもらわないと困るのよ!」

 

「Stay away!事前に許可を得てない者は近付くな!」

 

「お願い!!せめて誰の物かは確認させてよ!結して壊したりしないから!」

 

「警告する!下がれ!」

 

 

副長の小人が強い口調で夕張に警告を飛ばす。

 

 

 

「本当にお願い!何もしないったら!」

 

 

 

夕張が数歩近付くと、副長がM4のセーフティーを解除して、天井に向かって1発発射した。

 

 

「!?」

 

「最後の警告だ!下がれ!」

 

 

 

副長の言葉に流石の夕張はそれ以上近付くのは危険と判断して後ろに下がる。

 

 

「手にしている武器を下ろせ!」

 

「武器じゃないわよ!れっきとした仕事道具じゃない!」

 

 

夕張は手にしていた工具を見せるが副長は譲る様子はなかった。

 

 

「言われた以外の動きはするな!!武器を置いて両手を上げてゆっくり下がるんだ!」

 

 

副長の強い怒気に夕張は工具を地面に置いてから後ろに下がった。

 

 

 

「何の騒ぎだ?」

 

 

そこへ、クリスが現れた。

 

 

「もしかして、アレってあなたの艤装?」

 

 

工廠に入るなりそう聞かれたクリスは頷く。

 

 

「お願い!あの子達を説得して!誰の艤装か確認しようとしたら銃向けられて、しかも1発だけど威嚇射撃されたわ」

 

「あぁ……それはそうする様に彼等に指示しておいたんだ。俺の艤装は機密の塊だから、おいそれと触らせる訳にはいかなかったんだ」

 

 

そう言うとクリスは目配せで小人達に指示を送る。すると銃を手にしていた小人達は銃を下ろした。

 

 

「ふぅ…………で、あなたは誰なの?うちの艦娘じゃなさそうね」

 

「あぁ。合衆国海軍、アーレイ・バーク級駆逐艦クリス・カイルだ。本日付けで此処に仮配属になった」

 

「そうなの?そんな話は聞いてないけど……」

 

「急遽決まった事だからな。今後ともよろしく」

 

「こちらこそ。私は工廠担当の工作艦明石よ」

 

「私は明石さんのアシスタント兼軽巡洋艦の夕張。よろしくね」

 

 

2人と軽い挨拶を交わしたクリス。

すると足早に小人達の元に寄って、話し合いの件について報告した。

 

 

「仮配属ですか………」

 

「あぁ。衣食住の保証と元の世界に帰れるまでとの条件で、一応此処の配属になった。もちろん合衆国海軍所属という地位は変わらないがな」

 

「良かったです。この世界で1人ぼっちにならずに済みましたね」

 

「あぁ。しかし此処からが大変だな…………」

 

 

 

 

 

続く




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