艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
嫁島上陸から間も無く1週間が経過し、あきつ丸とクリスは交代で偵察を続け、黒い靄についての情報が集まりつつあった。
「あきつ丸、見てくれ」
「これは?」
クリスがあきつ丸に手渡したのは、2日間の間で集まった情報について纏められたレポートだった。
「現状で分かっている事を纏めたみた」
「えぇと………」
そこに書かれていた黒い靄について判明した事が纏められていた。
内容を簡潔に話せば……
『黒い靄は周囲の温度とほぼ同等だが、靄の中心部に僅かながら熱源が確認されている』
『靄からは有毒物質や化学物質は検出されず』
『靄自体に深海棲艦との関連は未だに不明だが、靄の周囲を敵の厳重な警戒網が貼られており、重要目標である事は確実である』
との内容だった。
「一週間でこれだけ分かれば収穫だな」
「しかし黒い靄の正体と、靄の中に何が隠されているのかの決め手にはなりませんな」
「そこなんだよ。やっぱり直接目で確認するしかないかな」
「しかし上空には敵の航空機、回りには敵の陸戦型が群雄割拠している中、どうやるので?」
「それについては考えがある。もう出てきても良いぞ」
クリスがそう言うと、バックパックから次々と妖精達が出てきた。
「クリス殿、その子達は」
「俺の自慢の部下で選りすぐりの精鋭を連れてきていたんだ」
クリスが連れてきた妖精達は皆、アメリカ海軍の特殊部隊『Navy seals』に所属している隊員達であり、皆マルチカム迷彩服にプレキャリやfastヘルメット等の特殊部隊と言った装備を身に付けている。
「艦長、我々は何時でも行けます」
「よし。やる事は分かってると思うが、皆くれぐれも無理はしないように。危険だと判断したら直ぐに撤収してくれ」
「「「「了解!」」」」
そう指示されたSealsチームは黒い靄へ向けて徒歩での移動を開始した。チーム全員のヘルメットに装着されているカメラ映像はデータリンクによりクリスのタブレットにもリアルタイムで送られてくるが、靄との距離が縮まる度にカメラ映像にノイズが発生する。
「映像が乱れますな」
「靄自体に電波を乱す何らかの作用があるのかもな。となると通信も危ないかもな」
Sealsチームは平原の中を姿勢を低くしながら徐々に靄へと接近していく。しかし靄の周囲を敵の陸上型がうろついており、チームは岩や草村を隠れ蓑にしながら敵の監視を潜り抜けていく。
「そろそろだな」
敵の監視を抜けて。いよいよ目の前に靄が立ちはだかる。そこでチームの無線にクリスからの通信がはいった。
「こちらクリス。其処からはガスマスクを着けていけ」
『了解』
万が一に備えてクリスはチームにそう指示を送り、チームはガスマスクとナイトビジョンを装着する。
『こちらトールハンマー、これより靄の中に入る』
「了解。これより映像が完全に見えなくなる、通信による連絡を密にせよ」
『トールハンマー、了解』
チームは一列になり靄へと突入した。そこでカメラ映像は完全に途切れてしまった。
「真っ暗だな」
チームを率いる大尉の階級を持つリーダーは銃を構えながら、ナイトビジョンを使って歩みを進める。
赤外線モードの映像には、奥に進む度に熱源を持つ白い物体が写し出される。
「動いてる?」
白い物体は人型のシルエットを持ち、動いているように見える。
「ギリギリまで接近する」
チームはそのシルエットに向けて慎重に距離を詰めていく。
「間違いない。奴だ」
彼らが目にしたそのシルエットは、事前の予測通り、深海棲艦が使用する物資の管理を行う集積地凄姫だった。
『ダカラモウ、物資ノ大半ハ枯渇シツツアルノ』
「誰かと話してるのか?」
集積地凄姫は誰かと通信をしている様子で、かなりイラついている様子だった。
『東南アジア方面ノ味方ガ壊滅シテ、只デサエ供給ガ滞ッテルノニ、コレ以上物資ノ浪費ハ無理ナノ』
どうやら相手側の要請にだいぶ渋っている様子である。
「どうします?」
「このまま監視してみよう」
続く
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