艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第5話

クリスとの会談を終えた長門は、少し疲れた様子で椅子にもたれる。

 

「手強かったわね」

 

「あぁ……中々頑固な奴だ」

 

 

余程、クリスに意見を押し通されたのか長門は少し頭を抱える。

 

 

「でも良かったんじゃない?あれ程の強大な戦力をウチに引き込めて」

 

「そう単純な話じゃない。第6駆逐隊の報告とクリスの能力は戦力向上にはなる。だが問題はそこじゃない………彼が私達艦娘のような女性じゃなく正反対の男である事と彼の経歴を何処まで隠し通すか……悩みどころだ」

 

「さながら艦娘じゃなくて艦息ね。でも提督には話すんでしょ?」

 

「あぁ……しかし今提督は南方地域での反撃作戦の指揮で当分は帰ってこれない。提督の事だからクリスを悪い様にはしないだろうが……この鎮守府で男である彼をどのように扱うか……経歴はいくらでも誤魔化しが効くんだがな」

 

 

基本的に女性しか居ない、ある意味男子禁制な横須賀鎮守府。そんな中で今まで存在が確認されていない男性の艦娘であるクリスはハッキリ言ってイレギュラーそのものであり、彼の衣食住は保証すると約束はしたが艦娘達と生活に関して何処まで線引きすべきか、長門にとっては悩ましい事態である。

 

 

「まぁ当面の間は部屋を専用の個室に分け、入浴に関しても時間をズラすとかして、他の娘達の心情に影響が無い様に配慮するしか無いんじゃない?」

 

「そうだな。生活面に関してはそれで話を進めるとして、もう一つの問題は彼を何処の部隊に配属させるかだ」

 

 

 

鎮守府に仮にとはいえ配属させるならクリスを何処の部隊に配属させるかについても非常に重要な事である。

 

 

「第2艦隊の適当な部隊に配属させる?」

 

「だが第2艦隊は既に戦力が揃ってる状態だ。そこへクリスと言うイレギュラーを配属させても部隊が混乱するだけだ……………大淀」

 

「はい」

 

 

長門は大淀に一枚の紙を手渡す。

 

 

「提督に極秘の特級通信を頼む。D案件でな」

 

「D案件ですね?分かりました」

 

 

大淀はそれを聞いて真剣な表情で無線機を起動させる。

 

 

 

 

 

 

その頃、工廠では………

 

 

「うわぁ……これは……」

 

 

クリスの艤装の整備のため明石と夕張がクリスの監視を受けながら整備を行っていた。

整備と言ってもイージスシステムやレーダー、コンピューター関連の高度な電子機器に関しては機密が絡むため、明石と夕張が触れているのはそれらの機密が絡まない機械的な部分の整備のみに限られている。

 

 

「流石はコンピューターの塊……機械的な部分の制御も全部電子制御なのね」

 

「これは私達の手に余るわ」

 

 

2人はクリスの艤装に高度な技術が使われているのを痛感する。

 

 

 

 

その一方でクリスは小人(明石と夕張により小人は妖精と教えられた)と共にPCと格闘していた。

艤装から伸びる多数のケーブルはクリスのノートPCに繋がっており、深海棲艦に関するデーターと最新情報をPCに読み込ませいる。

 

 

「………………」

 

 

クリスと妖精らは無言のままキーボードを高速でタップし必要な情報をPCに送り続ける。

 

 

「艦長、入力完了」

 

「よし、データをインストール」

 

「了解」

 

 

PCの画面がインストール表示に変わり、入力したデータがコンピューターに送られていく。

 

 

「インストール終了」

 

「了解」

 

 

電子機器関連の作業が終わり、繋がれていたケーブルが外される。

クリスは次なる問題に取り掛かかる。

 

 

「馬鹿な質問かもしれないが、ここでは武器弾薬の製造は出来るか?」

 

「えぇ。そこにある全自動資材開発製造機に必要な情報を入力して資材を入れてからボタンを押せば大抵の物はできるわ。自由に使っていいから」

 

「でもその機械、ちょっと不安定で、情報と資材を入れても望み通りの物が出来なくて外れが出る時があるから気を付けてね」

 

「分かった」

 

 

そう言うとクリスは開発製造機に必要な情報を入力すると、機械のコンピューターが示す量の資材を製造機の中に放り込む。

 

 

「これか」

 

 

赤いボタンを押すと機械が動き始め、製造完了までの時間がカウントされる。

 

 

「10分か」

 

 

カウントダウンが始まった。

そして10分待ってからカウントが終わると機械が停止した。

 

 

「終わったのか」

 

 

 

恐る恐る蓋を開けると中から、クリスの望んでいた物が出てきた。

 

 

「おぉ……」

 

 

機械から出てきたのは、SM-6が4発とヘルファイアが4発、ミニガンの7・62ミリ弾が入ったケースが1ダースで、全て今回の戦闘で損耗した分であった。

 

 

(武器弾薬の補給は問題ないか)

 

 

懸念事項だったミサイル類の補給の目処が立ちひと安心するクリス。ミサイル駆逐隊である彼にとってはミサイルは非常に重要な物である。

 

 

「ふぅ~……」

 

 

兎に角、1日の間に色んな事がありすぎたためクリスは少し横になりながら休憩をとった。

 

 

 

続く




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