艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第50話

(お?来たかな?)

 

父島二見港から西へ10キロ地点の海中で息を潜めていたアリゲーターガーはパッシヴソナーが捉えた多数の航走雑音を聞き、戦闘態勢に入った。

 

彼は5航戦による攻撃で敵水雷戦隊を撃滅する作戦を行う上で重要な役割を担っている。

水深が比較的浅い二見港沖10キロ範囲内で敵の動きを阻害させ足止めを行い、そこを5航空戦による航空攻撃、クリスと第6駆逐隊が砲雷戦で仕留める。アリゲーターガーはその足止め役を行う役割を担っている。

 

 

 

(対潜警戒もしてないか……まぁ無理も無いな)

 

 

 

アリゲーターガーは魚雷に敵艦のデータを入れて、発射態勢に入る。

 

 

 

(Fire!Salvo!)

 

 

 

装填されていた4門の発射管からMk48が打ち出される。

直後、4発のMk48は敵イ級やロ級、ネ級軽巡に命中し大破の被害を負わせる。

 

 

 

(続けてfire!)

 

 

再び発射管から4発のMk48を一斉に放ち、全て命中させた。

此処でアリゲーターガーはプレーリーマスカーを起動し自身を大量の泡で覆い尽くさせ、全速力でその場から移動する。

 

 

攻撃を受けた敵も魚雷が向かってきた方向に向けて爆雷を放つが、既にそこにアリゲーターガーの姿はなく、またソナーも味方の爆音とマスカーによってエンジン音や航走雑音が消されてしまいアリゲーターガーを捕捉できず、貴重な爆雷を無駄にするしかなかった。

 

 

(無駄な努力だな)

 

 

アリゲーターガーは敵水雷戦隊の今度は真正面に移動しており、既に魚雷の発射態勢に入っている。

 

 

(fire!)

 

 

一斉に魚雷を放ち4隻の敵を仕留めた。

 

 

(これで12隻か)

 

 

敵は21世紀の科学力が生んだアリゲーターガーとMk48魚雷により完全に手玉にとられている。それどころか敵の潜水艦が複数居るのかと勘違いしているかのような動きを見せ、多方向に向けて爆雷を放っている。

 

 

(いいぞ。そのまま弾薬を使ってくれたら好都合だ)

 

 

アリゲーターガーはその場から潜航して深度を下げ、敵魚雷と機雷攻撃圏外に出て再度魚雷発射態勢に入った。

 

 

(行けっ!)

 

 

今度は深深度からの魚雷攻撃を慣行。真上に向かって突き進むMk48は敵の足元で爆発すると、強烈な水圧で敵のキールを叩き折るバブルジェット現象によりネ級は木っ端微塵に吹き飛ばされた。

 

 

(後は頼んだぜ)

 

 

海上が騒がしくなり、音が拾えなくなるとアリゲーターガーは此処で戦闘態勢を維持したまま待機に入る。

 

 

 

 

 

 

 

「偵察機から報告!」

 

 

瑞鶴が放った偵察機が敵水雷戦隊の攪乱に成功したとの連絡が入った。

 

 

「やってくれたか……よし!翔鶴、瑞鶴!敵が混乱している今がチャンスだ」

 

「言われなくても!」

 

 

敵の上空で待機していた攻撃隊はタイミングを見計らって敵水雷戦隊の真上から急降下で仕掛ける。彗星から敵駆逐艦級や軽巡級に向けて爆弾が投下され、流星も水平からの魚雷攻撃を行い敵水雷戦隊を叩いていく。

 

 

ここまでは作戦通り、順調に戦いを進めている。

 

 

しかし、イレギュラーが発生するのは世の常であった。

 

 

 

 

「ん?」

 

 

 

クリスのSPY-6が何かを捕捉した。

 

 

「これは………島陰に隠れてレーダーが届かなかったか」

 

 

レーダーが捉えたのは母島方向からやって来る多数の航空機と艦隊の影だった。

 

 

「レーダー捕捉!母島方向から多数のアンノウンを捕捉した!」

 

「アンノウン!?」

 

「あぁ。恐らく航空機と艦隊だと思う!」

 

「ちょっと待って!母島には敵の陸戦隊しか居ない筈じゃ………」

 

 

その直後、翔鶴の顔が曇る。

 

 

「皆、攻撃隊が敵航空機からの攻撃を受けたそうよ!」

 

「うそっ!?どうして!?」

 

 

攻撃隊は突如現れた敵戦闘機の攻撃を受けて、被害を受けていた。

 

 

「敵は切り札を持ってたみたいだ。SPY-6が捉えただけでも優に50は越えてる」

 

「母島には敵の航空機基地は無い筈。それだけの航空機を展開させるとなるとやっぱり、敵の空母機動部隊しか

居ない訳ね」

 

「でも偵察じゃ空母機動部隊なんて居なかった筈……まさか!?」

 

 

瑞鶴の反応にクリスは何か心当たりがあるのでは無いかと思い、瑞鶴に尋ねた。

 

 

「瑞鶴、何か心当たりが?」

 

「心当たりって程じゃないんだけど、南鳥島近海に敵空母機動部隊を見たっていう噂があったのよ。だけど噂程度で本当にそうかは分からなかったから無視してたけど」

 

「その噂が運悪く当たったって訳か………」

 

「どうするのよ!空母機動部隊が相手だなんて聞いてないわよ!」

 

 

暁がそう問いかけるが、現状では空母機動部隊が相手では戦力的に不利である。しかも空母機動部隊の規模が不明なため、下手に相手は出来そうになかった。

 

 

「仕方ないけど、此処は一度引くしか」

 

「いや………此処で引けば後方の味方が危険だ」

 

「じゃあどうするの?」

 

「敵は切り札を使ってきた。だったらこっちも切り札を使えば良い話だ」

 

 

そう言うとクリスは皆にある作戦を話す。

 

 

「成る程……現状だとそれしか手はありませんね」

 

「あぁ。迷ってる暇はない、瑞鶴!お前の持ってるアレを飛ばせるか?」

 

「勿論!待ってたのよ、コレを使うの!」

 

 

瑞鶴は1本の矢を上に向けて放った。

矢は空中で1機の偵察機に変化、そして従来のレシプロエンジンではなく雷のような轟音を放ちながら一瞬で敵が居る方向に飛び去っていった。

 

 

「新型の景雲改。念願のジェット機よ!」

 

 

新型機である景雲改は、史実では試作から初飛行の段階で終戦を迎えた旧日本海軍の試作機で、オリジナルは液例レシプロエンジンだったが、瑞鶴が放ったのは設計の途中でジェットエンジン搭載したジェット機として完成させた景雲改と呼ばれる物で、しかも空母で運用できるようにと艦載機として改造が施された機体であった。

 

 

 

「あの速度なら問題ないか……頼むぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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