艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第51話

瑞鶴が打ち上げた景雲改は、ネ330改ターボジェットエンジンを響かせながら、高高度を敵空母機動部隊が居ると思われる方向へ向けて飛行していた。

 

 

『間も無く目標地点上空』

 

 

予想地点に到達すると、一気に高度を下げて雲の中に入り、数秒の後、雲を抜けるとそこには驚きの光景が目に入った。

 

 

『こりゃ………』

 

 

景雲改を操縦する妖精は海上を我が物顔で突き進む艦隊を見て驚いた。予想通り敵は空母機動部隊だったが、それを率いていたのは深海棲艦の上空個体である『空母凄鬼』だった。

パイロットは直ぐにカメラを使って空母凄鬼を撮影し、直ぐ様踵を返してその場から全速力で退避した。

 

 

 

『こちら偵1、空母機動部隊を発見!旗艦は空母凄鬼と確認!目標は多数の航空機を発進させている模様!』

 

 

 

その報告を聞いた翔鶴と瑞鶴は驚いた。

 

 

「空母凄鬼……鬼級ね」

 

「姫級程じゃないけど厄介な奴だわ」

 

「そんなに不味い相手か?」

 

「うん。アイツに私ら何度も痛い目に合わされてるから、ちょっとね………」

 

「因縁の相手か………上位個体の空母級となると、航空機の数も?」

 

「半端じゃないわよ。なにせ数が多いから、その前に仕留められれば良いけど」

 

 

 

その言葉を聞いてクリスは思い付いた。

 

 

 

「翔鶴、瑞鶴。その空母凄鬼って奴、俺が相手をしよう」

 

「え?」

 

「無茶よ!相手は数百単位で出してくるのよ!」

 

「瑞鶴、確かいま、向こうが航空機を出して数で押し切って来る前に仕留められれば良いって言ったよな?」

 

「そうだけど………」

 

「向こうは少なくともまだこっちを捕捉していない今がチャンスだ」

 

 

そう言うとクリスはMk41VLSを見せる。

 

 

「トマホークの有効射程距離は約3000キロ。目標との距離は1500キロ……向こうは既にこっちの有効射程距離に入ってる。予定には無かったが、今VLSには30発のトマホークが入ってる。そのうちの20発、海中のアリーの分を含めて波状攻撃をすれば撃破できる」

 

 

そう言うとクリスは海中のアリーに向けてアクティブソナーを等間隔で数回放つ。

 

 

「でも空母凄鬼を撃破できても奴はもう100機近い航空機を放ってるんでしょ?それも相手しなけりゃならないのよ!」

 

「心配するな。そのためのイージスシステムだ…………時間がない。この場の指揮官は翔鶴だ、どうするか決めてくれ」

 

 

クリスは翔鶴に判断を委ねる。

 

 

「…………………分かりました。攻撃を許可します」

 

「翔鶴姉!」

 

「瑞鶴。クリスさんの言う通り、迷ってる暇は無いわ」

 

 

翔鶴の言葉に瑞鶴は渋々だが納得したのか、それ以上何も言わなかった。

クリスは翔鶴から許可を受けてトマホークの発射態勢に入った。

 

 

「Tactical tomahawk、volley!fire!」

 

 

Mk41VLSの蓋が開き、装填されていたタクティカルトマホークが次々と打ち出されていく。

海中のアリゲーターガーからもトマホークが打ち出され、合計で30発以上のトマホークが同時に目標に向けて飛び去っていく。

 

 

「頼むぞ」

 

 

クリスのイージスシステムに組み込まれているTWSシステムはレーダーからの情報を元にトマホークを目標に向けて誘導していく。

30発のトマホークはレーダー探知を避ける低空飛行をしながら、ターボジェットエンジンによる亜音速を保ちながら目標へと接近していく。

 

 

 

 

 

アレハ………

 

 

 

 

空母凄鬼は偵察機からの報告を受けて、自身の配下にある姫級を含めた護衛艦艇に迎撃態勢をとるよう指示し、全艦はトマホークが向かってくる方向へ向けて砲を向けて待ち構える。

 

 

 

来タワネ…………

 

 

 

水平線の向こうから30発のトマホークが姿を現した。

 

 

 

 

沈ミナサイ……!

 

 

その合図で全艦が対空砲を打ち上げる。

しかし、海面ギリギリを亜音速で超低空飛行をするトマホークの速度は非常に早く、照準が追い付かないのか1発も当たらなかった。

そしてトマホークが目標を捕捉、護衛艦艇を無事に潜り抜けたトマホークは空母凄姫向けて最終段階に入った。

 

 

 

クルナ……クルナ……クルナ!来ナイデ!来ナイデ!

 

 

トマホーク見て空母凄姫はなけなしの対空砲を打ち上げて航空機を打ち上げるが時既に遅し。30発のうち15発がホップアップ、残り15発は水平飛行を保ちながら突入する。

 

 

「intersept、5、4、3、2、1!Now!」

 

 

秒読みの後、30発のトマホークは空母凄姫に次々と命中していく。

 

 

 

アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

 

 

 

1発1発が強力な破壊力を持つトマホークの直撃を受ける空母凄姫は聞く者におぞましさを感じさせる悲鳴に似た声をあげながら黒煙に包まれる。

 

 

アァ………アァ………

 

 

攻撃が終わると空母凄姫は満身創痍になっていた。身体のあちこちから火が湧き出て、意識を失いながらも空に向けて手を伸ばす。やがて炎の向こうに消えていく。

 

 

 

 

「target lost!空母凄姫撃沈!」

 

「やったわね。でもまだ安心できないわよ」

 

「分かってる」

 

 

空母凄姫を仕留めた喜びに浸る間も無く、次なる脅威である敵の航空機群を何とかしなければならない。

既にクリスは次なる脅威に備えての準備を整えていた。

 

 

「今のうちに迎撃機でも出しとけ」

 

「言われなくても!」

 

 

続けて瑞鶴は直掩機を上げる。上空を戦闘機で固めてからクリスは次なる手だてを打つ。

 

 

「SM-6、salvo!」

 

 

続けて放たれたのはSM-6。イージスシステム搭載艦であるクリスがイージス艦と言われる由縁であるこのミサイルは破砕弾頭による破片効果で目標を破壊するため数で押してくる敵に対しては非常に有効である。

 

 

「intersept!」

 

 

発射から1分も経たず、SM-6は敵機の手前で爆発し破片を撒き散らし、一気に十数機が撃ち落とされる。

 

 

「まだだ!行くぞ!」

 

 

クリスは装填されている全てのSM-6を使い、少しでも多くの敵機を撃ち落とそうと次から次へと発射していく。

 

 

「これで最後だ!」

 

 

最後のSM-6を打ち上げてVLSの約半分が空になった。放たれた6発のSM-6は再び20機を撃墜した。

 

 

「半数は落とした!残り50機!」

 

「50機なら何とかなりそう!」

 

 

クリスが100機のうちの半数を撃墜し、そこを瑞鶴の航空隊が襲い掛かる。

零戦が敵機との空中戦を繰り広げ、一進一退の攻防を繰り広げ、そんな迎撃をすり抜けた敵機がクリス達に迫ってきた。

 

 

「敵機接近!対空戦闘!」

 

 

 

 

続く




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