艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
上空直掩機の迎撃をすり抜けてきた敵機はクリス達に目掛けて突っ込んでくる。
翔鶴と瑞鶴は電と雷と共に後方へと下がり、響、暁、クリスの3人が迎撃態勢を取る。
「対空戦闘!」
「Sea sparrow、fire!salvo!」
クリスは残りのVLSに格納されているESSMを打ち上げる。ESSMは1セルにつきが装填されており、クリスは最大誘導数である6発を打ち上げ、対空機関砲や主砲の射程距離外の敵機を次々と撃ち落としていく。
先のSM-6同様、ESSMは発射の初期段階はミサイル本体部に内臓されているレーダーによる自律誘導を行い、最終段階ではMk99射撃指揮装置とリンクしているAN/SPG-62イルミネーターレーダーによるレーダー照射で敵機に命中する方式で、目標に命中する直前のほんの数秒だけ目標に向けてレーダー照射をするだけでESSMは目標に命中する事からクリスの同時対処数は多い。
それを証明するかのように攻撃開始から休む間も無くESSMを連続で打ち上げても、1発も外れる事なく命中していく。
イージスシステムのコンピューターにより脅威度の高い目標を自動で選出、そのデータをMk99にリンクさせているため効率的に迎撃できているため、敵航空機は中々接近できないでいた。
しかしそれも長くは続かなかった。
「ミサイル切れだ!」
装填されていたESSMを全て撃ち尽くしてしまった事により、ミサイルによる迎撃が終わってしまった。そのタイミングで残りの十数機が急激に距離を詰めてきた。
「全艦対空戦闘!」
後は対空砲による迎撃である。
「行くよ!」
「来るなら来てみなさい!」
響と暁が主砲と機銃による対空射撃を開始した。
「主砲、砲戦!」
クリスも滅多に使用しないMk45速射砲を用意し射撃態勢に入る。
「Fire!」
砲塔下のピストルトリガーを引くと、5インチ砲弾が放たれた。Mk34砲武器システムによる精密照準による砲撃は高い命中率を誇り、秋月型姉妹が使っていた長10サンチ砲やイタリアのOTO・メラーラ社製127ミリ砲に比べて発射速度は落ちるが、その精度は高く、Mk34との組み合わせで高い命中精度を誇る。
「もう直ぐだ!皆、頑張れ!!」
クリスはそう鼓舞する。
暁と響も弾幕射撃により数機を撃墜しており、もう残りは4機のみとなる。
「クリス!!直上!」
その時、響が声を上げた。
見上げると、90度数真上から2機の敵機がクリス目掛けて突っ込んでくる。敵機はクリスの主砲の死角である真上からの急降下爆撃を仕掛けようとしている様子である。
「Kill wlth CIWS!」
ファランクスのスイッチを入れると、1基のCIWSが自律起動で目標に向けてバルカン砲を放った。
毎分3000発の速度で放たれる20ミリ弾の直撃を受けて、 1機は粉砕、もう1機も粉砕したが直前に爆弾が投下され、クリスの頭上から迫る。
「弾切れ!?」
CIWSは弾切れを起こし射撃不能、もはや防ぐ手立ては無いに思われたがクリスは右足のホルスターからベレッタM9を取り出し落下してくる爆弾に向けて連射で放つ。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
連射で撃ち続けて、最後の1発が爆弾の信管に命中し爆発した。
「チィッ!被害報告!」
爆風と破片を直に浴びるクリスは直ぐに自己診断システムを起動させ、妖精達に被害を報告させる。
「浸水並びに火災なし!」
「艦長!イルミネーターレーダー、航海用並びに水上レーダー、衛星通信システムにエラー発生!!」
「全システム緊急停止!!」
「了解!」
直ぐに全システムを緊急停止。
原因は爆風と破片がイルミネーターレーダーと航海用、水上用レーダー、衛星通信用アンテナを破損させたらしい。
幸いにもクリスのもう1つの目とも言えるSPY-6は破損もなく、その他のレーダーや電子機器にも異常は無かったが念のため全てのシステムを落とす。
「イージスシステムに傷が付かなかったのが幸いか」
決して小さいとは言えないがイージスシステムが失われなかったのが幸いだった。これが失われると、この時代ではパーツが調達出来ないため修理が効かないのである。
破損した他のレーダーは何とか修理が出来る物で、衛星通信アンテナに関しては軍事衛星や通信衛星とリンクが出来ないこの世界では無用の長物である。
「大丈夫!?」
「あぁ。皆は無事か?」
「えぇ」
瑞鶴が駆け寄り心配する中、クリスは皆の被害を確認する。
「良かった。敵機は殲滅した、後は残った敵艦をどうするかだな」
「それなら心配無いわ」
瑞鶴が指差した方向を見ると、北の方向から爆装したA-6とF-14が上空を飛び去っていく。
「敵残存艦はアメリカが何とかしてくれるらしいから、私達は下がるわよ!」
「そうか」
後を米軍に任せてクリスら5航戦は現場より撤収し嫁島へと戻った。
そしてその日の夜………
「来たか」
嫁島の滑走路に国防陸軍所属のV-107輸送ヘリが着陸してきた。
「皆、お待たせ!」
後部のカーゴドアから皆の元に駆け寄ってきたのは、横須賀に残っている夕張だった。
機体からは整備機材が次々と降ろされていく。
「遅いよ夕張さん!」
「ゴメンなさい、出発に手間取ってね。取り敢えず整備始めるわよ!」
そう言うと夕張は整備妖精を連れて皆の艤装の整備作業を始めた。
「あぁ~……やっぱりクリスの艤装の損傷が激しいわね」
夕張は皆の艤装の中で一番損傷が激しいクリスの艤装を見てそう呟いた。
「成る程。電子機器がメインみたいね」
「直りそうか?」
「う~ん……………ハッキリ言うと此処じゃ完全な修理は無理ね」
「この際、イルミネーターレーダーと衛星通信アンテナの修理は後回しで構わない。何とか航海用の対水上レーダーだけでも何とかならないか?」
「それだけなら何とか…………分かった!明日の朝までには何とかするわ」
「頼む」
クリスは最低限の修理を頼み、夕張はそれらの修理に入った。
続く
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