艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第55話

上陸作戦開始より日米の部隊は損害を受けながらも、夜明山の要塞の敵を引き付けていた。

その間、クリス、あきつ丸、神州丸はUH-1Bに乗り込み父島の南側から接近していた。

島の南側にある亀之首は既に敵の姿は無く、レーダーも監視も無いのが確認されているため、ヘリは低空飛行で接近し、岩壁から一気に高度を上げて島内へと入った。

 

再び低空に入り、衝立山、時雨山、中央山を越えて、やがて夜明山の後ろにある傘山が目に入る。

ヘリは傘山の開けた場所でホバリング、ドアが開かれるとロープが降ろされると、クリス、あきつ丸、神州丸の順に降下、ヘリは全速力で離脱していった。

 

 

「現状確認だ」

 

 

地面に降り立った3人は地図で現在位置を確認しつつ神州丸は自身の艤装から陸軍所属の妖精、クリスはSealsチームを展開させる。

神州丸の陸軍妖精は国防陸軍で様々な訓練を受けた特殊部隊で編成されており、Sealsチームは言わずもながら世界最高レベルの能力を持っている。今回の作戦で隊の主力を担う双方の妖精は父島の深海棲艦部隊を指揮している泊地凄姫の拘束または排除を行うクリス、あきつ丸、神州丸の支援を担う。

 

 

「さて、行くか」

 

 

地形を頭に叩き込んだ3人は夜明山へ向けて移動を開始した。

3人は人間の数倍と言われている体力や、それを補助する艤装のパワーアシストを受けながら、叢や木々を巧みに掻き分けながら走り、妖精達も余裕の表情で続く。

 

 

「見えてきた!」

 

 

移動開始から僅か1時間で、夜明山の麓にまでやって来た。双眼鏡で夜明山にある敵戦力を確認する。

 

 

「やっぱり敵は父島要塞を使ってるな。山の中腹の砲台から平射砲や高射砲が覗いてる」

 

「おまけに対空機関砲も相当数見えます。ヘリや航空機は迂闊に近付けませんな」

 

「待って、他にも見える」

 

 

神州丸は山の中腹には敵の歩兵型と砲撃型の姿が見えた。海兵隊の砲撃で吹き飛ばされているが数が多いのか、それとも砲撃を受けても効いていないのか数が一向に減る様子はない。

 

 

「凄い数が見える。これは少し手取そうだな」

 

「ですが連中の注意は完全に前に行っている今がチャンスなのでは?」

 

「あぁ。骨は折れるが山登りと行こうか」

 

 

 

3人はその場から夜明山を登り始める。

山登りと言っても、山頂まで登る訳ではなく要塞内へと続く秘密の入り口があるのである。

 

 

 

「確かこの先の斜面に隠されてる筈ですが……」

 

 

 

地図を広げながら先導するあきつ丸。地図には旧陸軍が作成した父島要塞の見取り図が書かれており、その中に要塞建設の際に土砂を外に出すための搬出口があり、その後に緊急脱出口として整備された箇所がある。脱出口は敵に見つからないよう岩や土を積み上げて、落ち葉や植樹により巧妙に隠されている。

 

 

しかし、たった一つだけ目印が設けられている。

 

 

「えぇと………」

 

「これじゃないか?」

 

 

クリスが指差した方向を見ると、小さな墓石が見えた。

 

 

 

「間違いありません。これであります」

 

 

墓石は平べったい石の上に、小さな石が乗っているかなり質素なもので、名前も何も刻まれておらず、石も苔が生えて、半分ほど落ち葉に埋まっているため、目立ちにくい。

 

 

「だが近くに入り口みたいなものは見当たらないが」

 

「いや、これが入り口でありますよ」

 

 

あきつ丸はそう言うと、上の墓石をずらす。

 

 

「なるほど」

 

 

そこには地下に続く深い穴が開けられている。

 

 

「ロープを降ろすぞ」

 

 

下に向けてロープを降ろして、いよいよ要塞内部への潜入が始まる。

まず最初にSealsチームが先行して中に入っていき、その後に神州丸の陸軍妖精、そしてあきつ丸、神州丸、クリスが続く。

 

 

「暗いな」

 

 

地下へ降りると、そこにはひと1人が通れる広さの通路だった。照明は無く、真上の入り口からの光しかない。

皆その場でナイトビジョンを用意し装着する。

 

 

「この見取り図ではここから左右に分かれています。敵を指揮している泊地凄姫は必ずこのどちらかに居る筈ですが」

 

「この広さだと探すのは時間が掛かるな。もし居るとしたら、ここから左に向かって幾つかの経路を伝った先にある中央発令室の可能性がある」

 

「よし、そこに的を絞ろう」

 

 

 

3人は中央発令室へ向けて動き出した。

クリスはHK416、あきつ丸と神州丸はXM177E2を手に狭い通路を足音を立てないように進み続ける。

 

 

「!?」

 

 

その途上で歩兵型と遭遇したが、反撃させる隙を与えない間にクリスがヘッドショットを決めて倒す。

そして複雑な通路を潜り抜けて、ようやく中央発令室へと到達した。

 

 

「この先に敵の親玉が」

 

「よし、突入用意だ」

 

 

 

中央発令室は厳重に閉じられているため、SealsチームはドアにC4プラスチック爆弾を仕掛ける。

 

 

「用意よし」

 

「行くぞ」

 

 

点火スイッチを押すと爆弾は爆発し扉を吹き飛ばす。同時にクリスがスタングレネードを放り込み爆音が複数回響いたと同時に中に入る。

 

 

ナンダ!?

 

貴様ラ……!

 

 

中には3人の戦艦級上位個体と歩兵型が5人が居たが、クリス達は一瞬で制圧する。

 

 

そして………………

 

 

 

 

キタカ……忌々シイ艦娘ドモメ……

 

 

 

 

発令室の奥には、泊地凄姫が鎮座していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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