艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第6話

工廠で整備と弾薬の補充を終えたクリス。これから居候の身となるため、此処で生活する上で、横須賀鎮守府内の地理や立ち入りが出来る所と出来ない所の案内をする必要がある。

 

 

 

「これから鎮守府内を案内する」

 

 

 

その役を長門が引き受ける事になり彼女はクリスを呼びつけていた。

 

 

「よろしく頼む」

 

「では着いてきてくれ」

 

 

長門の後に続くクリス。先ず最初に案内されたのは艦娘達が寝泊まりする宿舎エリアだった。

横須賀鎮守府は他の軍事施設の例に漏れず全寮制となっており、艦種によって宿舎が分けられている。

 

 

「各宿舎はそれぞれ、戦艦、巡洋艦、駆逐艦の4つに分けられているが人数が多い駆逐艦達が寝泊まりしている駆逐艦寮の部屋の数が多く特に宿舎は見た目が同じだから最初は間違える者が多い。これからクリスが寝泊まりするための駆逐艦寮に一部屋用意した。そこに案内するから着いてきてくれ」

 

 

宿舎エリアの奥にある駆逐艦寮に入る。確かに長門が述べた通り、駆逐艦寮は兎に角部屋の数が多く、クリスに割り当てられた部屋に到達するまで数分掛かった。

 

 

「此処が君の部屋だ」

 

 

鍵を解錠してドアを開ける。

 

 

「此処が……」

 

 

中は窓が南向きになっており、二段ベッドが1つと机が2つあるだけのシンプルな部屋である。

 

 

「元々予備の部屋として用意されていた場所だから家具の位置を変えたり、飾り付けをしてもらっても構わない」

 

「了解」

 

 

クリスは中に入ると、机の上に私物の銃と最低限の荷物最低限の荷物を置いた。

 

 

「次は浴室と食堂へ案内する」

 

 

部屋に荷物を置いてから次に向かったのは、鎮守府所属の艦娘達が使用する共同浴場と共同食堂だった。先ず最初に通されたのは浴場だった。

 

 

「此処への入浴は時間制だ。戦艦、巡洋艦、駆逐艦と入浴できる時間が決まっていて、駆逐艦は基本的に21時から22時までだ。但し此処は男女に分けられていないから入浴する場合は少し不便かもしれんが2230から2330までの間だけにしてくれ」

 

「分かった」

 

 

簡単な説明の後、浴場から少し離れた場所にある食堂へと向かった。

 

 

「此処がこの鎮守府の食堂だ。アメリカと同じバイキング形式になっていて、受け付けで好きなメニューを頼むといい。そして彼女が此処の総責任者をしている『鳳翔』だ」

 

 

 

受け付けに立っていた食堂の総責任者兼艦娘の『鳳翔』はクリスに向けてお辞儀する。

 

 

「鳳翔です。あなたの事は長門さんから伺っています」

 

「合衆国海軍、アーレイ・バーク級駆逐艦クリス・カイルだ。よろしく頼む」

 

「はい。因みにクリスさんは何か好物はありますか?」

 

「そうだな………ステーキ、焼き加減はミディアム。チーズたくさんのピザ、後はビールだな」

 

「えぇと、ステーキミディアム、チーズたくさんのピザ、ビール…………分かりました。新しいメニューに加えますね」

 

 

そう言うと鳳翔は厨房へと戻っていった。

 

 

「彼女は料理研究に余念が無いんだ」

 

「成る程、なら期待できそうだ」

 

 

鳳翔の料理の腕に期待するクリス。

 

 

 

食堂の案内を終えて、2人は再び外に出る。

 

 

「次は射撃場に行くぞ」

 

 

いよいよ軍事施設ならではの射撃場へと通される。

射撃場へたどり着くと、既に何人かの艦娘が射撃訓練を行っており、岸壁から海上に浮いている的に向けて小銃射撃を行っている。

 

 

「またレトロチックな銃だな」

 

 

彼女達が手にしているのは国防軍制式の64式小銃だ。7・62ミリ弾の発射音が射撃場に響き渡り標的に穴を開けていく。

 

 

「レトロとはな……」

 

「俺の世界ではの話だ。俺自身も数回程度しか見た事がない」

 

 

海上で戦う筈の艦娘達も一応は軍人扱いとなるため、小銃と拳銃の扱い方は一通りマスターする事が義務付けられており、また艦娘は自身が所属する鎮守府の警備任務をも担っている事から週に1度はこうして射撃訓練が行われているのである。

流石に動く目標値との戦い慣れしているだけあり、止まっている標的には全て当てている。

 

 

しかしその中で、1人だけ標的に銃弾が当たっていない艦娘が居た。

 

 

「あの娘は?」

 

「気になるか?」

 

「あぁ。構え方は良いが肩に力が入っていて、体も震えが見られる。恐らく緊張で上手く銃の制御が出来ていないんだ」

 

「分かるのか?」

 

「銃の腕に自信はあるんでね。で、誰なんだ?」

 

「白露型駆逐艦4番艦の『夕立』だ。実戦じゃかなりの戦果を叩き出してるが銃の腕前はあの通りだ」

 

「成る程」

 

 

そう聞いたクリスは夕立に歩み寄る。

 

 

「夕立……でいいかな?」

 

「ぽい?」

 

 

夕立は声を掛けてきたクリスに目を向ける。

 

 

「銃弾が当たってないみたいだったが」

 

「うん……何回やっても当たらないっぽい。銃が壊れてるっぽい?」

 

「貸してみてくれ」

 

 

クリスは夕立から64式を受け取ると空になったマガジンを取り出して新しいマガジンを装着し、チャージングハンドルを引いて初弾を送ると標的に向けてしっかりと構える。

 

 

「!!」

 

 

引き金を引くと弾丸が単発で発射され、標的の真ん中から少し外れた場所に命中する。

クリスは再び続けて引き金を引いて発射し弾道を確認する。

 

 

「成る程」

 

 

クリスはリアサイトとフロントサイトを調整しながら射撃を繰り返す。

そして1マガジン分20発を撃ち尽くし再び新しいマガジンを装着し標的に向けて射撃する。

今度は標的のほぼど真ん中に命中していき、引き金を引いて撃つ度に同じ場所に命中していく。

 

 

 

「うわぁ……」

 

「全部当ててる……しかも同じ場所に」

 

 

他の艦娘達もクリスの射撃の腕前に感嘆し、夕立も驚きと憧れのような表情を向ける。

 

 

「サイトの調整ミスだったみたいだ」

 

 

夕立に64式を返すクリス。銃を受け取った夕立は再び構えて標的に向かって撃った。

すると、今まで当たらなかった筈の銃弾が標的に命中し、撃ち続ける度に命中していく。

 

 

「凄い!当たるっぽい!」

 

「良かったな。それとその銃は汚れに弱い筈だ、分解清掃はしっかりやっておけ」

 

 

 

そうアドバイスし立ち去る。

 

 

「64式の扱いなんて何処で習ったんだ?結構癖が強い代物だぞアレは」

 

「日米合同演習の時に見た事があったんだ。その時に覚えた」

 

 

 

そう言いながら射撃場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射撃場の次に案内されたのは、鎮守府の中で奥まった処にある格納庫だった。

 

 

「また古い戦車だな」

 

 

格納庫内にはこれまた骨董品レベルのM26パーシングやM46パットンや装甲車、トラック、ジープが所狭しと並べられている。

 

 

「えらく埃だらけだな」

 

「此処にあるのは砲弾の製造や艤装の修理の時の資材にするための資材だ」

 

「じゃあ使わないのか?」

 

「使い物にならないのが殆どだからな」

 

 

 

特に見るべき物は無いため直ぐに別の場所へと向かう2人。

 

 

 

 

「此処が、この鎮守府唯一の娯楽施設だ」

 

 

2人がやって来たのは、酒場、ゲームセンター、ビリヤード場、ボーリング場、サウナ、トレーニングジム、そしてPXが置かれている娯楽施設だった。

 

 

「またえらく設備がいいな」

 

「深海棲艦との戦いが長引いてるからな。やはり我々も心身ともに疲弊するから、それを出来る限り和らげるという意味で去年出来たばかりなんだ。次いでだが、お前の日用品を仕入れるぞ」

 

 

 

そう言うと長門はクリスを連れてPXへ向かう。

 

 

「いらっしゃい」

 

「あ」

 

 

案内されたPXのレジに居たのは、明石だった。

 

 

「さっきぶりね。私、此処の店長もやってるのよ」

 

「成る程」

 

「一応来た理由は分かるけど、注文は?」

 

「下着類を10着ずつ、タオル10枚と石鹸3個と歯ブラシ2本と裁縫セットを頼む。支払いはドルで大丈夫か?」

 

「えぇ。ポンド、ドル、フラン、ルーブルー、ルピー、ペソ、クラウン、リラ、マルク、ウォン、元、円、世界中のが使えるわ」

 

「ありがたい。じゃあ俺の世界のドルで」

 

 

クリスは明石に代金であるドル紙幣を手渡す。

 

 

「こっちの世界のドル紙幣と変わらないわね、問題ないわ。後で部屋に届けるから」

 

 

必要な物も手に入ったため、2人は外に出た。

 

 

「クリス、これで鎮守府内の案内は終わりだ」

 

「ありがとう」

 

「じゃあ次の指示があるまでは部屋で居てくれても構わん。私は残りの仕事を片付けるから此処で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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