艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第60話

遠征任務でとんでもない事態に巻き込まれたクリスと時雨。資源の取り引きを持ち掛けられた上に時雨を人質に取られたクリスは今、時雨と隔離されており、宛がわれた部屋に事実上軟禁されていた。

 

 

「…………」

 

 

相手側が客室と言っていた部屋はプラント作業員の居住区画の端にあり、恐らく彼らの手によってであろうが、外が見える窓には鉄格子、ドアには鍵が設けられている。無論、装備していた艤装とM9は没収されている。

 

 

「まるで牢屋だな」

 

 

しかし、幸いにも部屋には監視カメラは無く、盗聴器の類いも仕掛けられていない。

クリスは幸いとばかりに、服のポケットに2回叩く。

 

 

「いいぞ」

 

「やれやれ。やっとですか」

 

 

服のポケットから次々と小笠原諸島での任務で活躍しかSealsチームが姿を表した。

 

 

「状況は分かってると思う。先ずは敵の人数と戦力、俺達の装備の居所、そして白露にとの接触。それが当面の任務だ」

 

「了解。ではチームを3つに分けますか?」

 

「そうしてくれ」

 

 

Sealsチームは3手に分かれて、妖精ならではの小さな体と艦娘と提督でしか目に見えない特性を生かした彼らは、プラント内に散っていく。

 

 

 

その頃………

 

 

「大丈夫かな」

 

 

白露はプラントの中央を走っている支柱の根元に座っていた。真上から死角となっているこの場所を陣取っていた白露はクリスと時雨の通信機から流れてくる音声から、クリスの妖精と接触するため待機していた。

 

 

「そろそろかな」

 

 

その時、迷彩服を着た妖精が彼女の前に姿を表した。

 

 

「あ、やっと来た。状況は?」

 

「今別のチームがプラント内を調べてる所だ」

 

「2人はどう?」

 

「大丈夫だ。2人とも部屋は別々だが元気だ」

 

「良かった」

 

「それでだ、艦長から指示とある物を預かってきた」

 

 

妖精は白露にクリスからの白露への指示の内容を話した。

 

 

「えぇと、これを伊勢に渡して、救援を呼んでこいって事だね」

 

「そうだ」

 

「分かった。行ってくる」

 

「気を付けて」

 

「そっちも」

 

 

白露は封筒を懐に仕舞うと、その場から全速力でプラントを離れていった。

 

 

 

 

また別の所では…………

 

 

「あった」

 

 

プラント内の機材の修復を行う作業場の天井裏の通風口の穴からSealsチームの妖精が作業場を覗き込んでいた。作業場には没収されたクリスと時雨の艤装が置かれており、作業場には武装した3人の見張り員が居る。

クリスと時雨の艤装に居る妖精達に接触する必要があるため、見張り員を何とかしなければならない。

 

 

「どうする?」

 

「睡眠ガスがあれば良いんだがな」

 

「催涙ガスがあるが一時的だし、我々の存在を露呈する事になる。何とか不自然にならないように奴らの気を反らせる方法は無いか?」

 

 

チームは作業場内を見回す。

 

 

「この作業場に繋がってる電気配線とネズミを探そう」

 

「了解」

 

 

チームは天井裏内を回って電気配線を探す。

 

 

「あったぞ」

 

 

運良く電気配線を発見した。

 

 

「よし、次はネズミだ」

 

「もう用意しました」

 

 

別の隊員がネズミを用意した。そのネズミは既に息は無く、冷たくなっている。

 

 

「よし、配線を切れ」

 

「了解」

 

 

ニッパーとナイフを使ってで配線を切っていく。

但し、一気に切る訳ではなく、ネズミが齧って切れたように見せかけるための一工夫だった。息の無いネズミを用意したのもそのためであった。

 

 

「よし、切れ」

 

 

最後にニッパーで一気に切断すると作業場内の電灯が消えて真っ暗になった。

 

 

「おい!なんだ!?」

 

「また停電かネズミの仕業ですよ。ちょっと電源室に行ってきます」

 

 

見張りは完全に停電と勘違いしている。

 

 

「ロープ!」

 

 

通風口からロープが降ろされると、チームはナイトビジョンを装着してから次々と室内へ降下する。

丁度通風口の真下はクリスの艤装の一部であるヘリ甲板だったため降下と同時に乗り込む事が出来た。

 

 

「こっちだ!早く!」

 

 

ヘリ格納庫のシャッターが少しだけ開き、整備員達が手招きすると、そこからチームはヘリ格納庫へと飛び込む様に乗り込む。そしてシャッターが閉まると同時に作業場内に電気が点いた。

 

 

「ギリギリだったな」

 

 

格納庫内には2機のシーホークとクリスからの極秘通信で情報を受け取っていた副長以下のクリスの乗員達と時雨の艤装から移ってきた一部の乗員達が居た。

 

 

「取り敢えず艦長からの指示を受け取ってきた」

 

 

チームはクリスからの指示を皆に知らせる。

 

 

「分かった。奴らは幸い艤装には一切手を触れてないし、整備は万全だ」

 

「こっちもだ。時雨艦長の指示があれば何時でも」

 

「よし、明日に備えよう」

 

 

 

そして更に別の場所では………

 

 

 

「……て言う訳だ」

 

「成る程。分かった、こっちも準備しておくよ」

 

 

時雨が軟禁されている部屋にSealsチームが現状とクリスからの指示を伝えていた。

 

 

「えぇと明日の0900時ジャストだね」

 

「あぁ。それまでは俺達が側に居る」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 

そして夜が明けて………

 

 

「出ろ」

 

 

部屋の鍵が解錠されドアが開けられる。

 

 

「居ない!?そんな馬鹿な!」

 

 

室内にはクリスの姿はなかった。部屋には逃げ出せるような穴や空間は何も無く、まるで神隠しか煙のように忽然と姿を消しており、クリスを迎えに来た彼は部屋に入る。

 

 

「動くな」

 

 

その時、背後から両腕を強い力で捕まれ、喉に冷たい物が突き付けられた。

 

 

「!?」

 

「そのまま黙ってろ」

 

 

クリスはそのまま後ろに一歩下がり、ナイフのグリップで殴り倒して気絶させた。そして男の懐から鍵を取り出すと、男をそのまま部屋に残してドアを閉めて鍵をする。

 

 

「艦長!」

 

 

そこへ待機していたSealsチームの一人がクリスを時雨が捉えられている部屋へと案内する。

 

 

「クリス!」

 

 

其処には、既に部屋を脱出していた時雨がおり、時雨の見張りをしていたであろう男達は既にSealsチームによって倒されている。

 

 

「さて、次は俺達の装備を取り戻すぞ」

 

「艦長、こちらです!」

 

 

チームの案内で作業場へと急ぐ。作業場は居住区から一段下の場所にある。

そしてたどり着くと、既に作業場内は滅茶苦茶になっていた。

 

 

「派手にやったな」

 

「えぇ」

 

 

クリスと時雨の妖精達が作業場内で大暴れしており、見張り員は完全に倒されていた。

2人は急いで艤装を装備し、特に異常がないのを確認し、プラント脱出に向けて動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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