艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第62話

「そろそろ時間か」

 

東の方角の水平線に朝日が登り、夜が明ける。

洲崎飛行場の先端部に立って朝日の光を浴びるクリスの背後では、滑走路に並べられたアメリカ海兵隊のUH-1NとCH-53、AH-1Tシーコブラ、アメリカ陸軍のOH-6観測ヘリが暖気運転を行っていた。

その傍らで、武装した海兵隊武装偵察隊『フォースリーコン』の隊員達がUH-1NとCH-53に次々と乗り込んでいく。

 

 

「クリス、行くよ」

 

 

背後から時雨に声を掛けられ、クリスは国防陸軍のUH-1Bに乗り込む。

 

 

 

「すまんな、あきつ丸、神州丸」

 

 

ヘリにはあきつ丸と神州丸が乗り込んでいる。

 

 

「いいえ。クリス殿からの頼みでは断れないでありますよ」

 

「それに、私たちが使っている資源を勝手に金儲けの手段に使われるのは許せない」

 

 

2人ともやる気は満々であった。

 

 

「時雨、これを渡しとく」

 

 

クリスは時雨に予備のM9とM4を渡す。

 

 

「いいの?」

 

「あぁ、俺には本命がある」

 

 

クリスは懐からMP7A2を見せる。

 

 

「UZIに似てるね」

 

「ドイツ製の最新型。奴等にはこれで充分だ」

 

 

MP7のグリップに4・6×30ミリ弾が詰まっている50連マガジンを差し込む。

 

 

『トレジャー!GO!』

 

 

その合図と共に海兵隊のヘリ部隊が一斉に離陸、その後ろをクリス達を乗せたヘリが続き、空を多数のヘリが埋め尽くす。

 

海賊達によって奪われたプラントの奪還作戦『トレジャーキャプチャー』が発動され、日米の合同部隊はプラントに向けて移動を開始した。

今回は速度と機動性を重視してヘリボーンによる作戦が展開され、作戦の主力はフォースリーコンが勤め、今回の事件の当事者であるクリスと時雨はプラント内の敵戦力と女ボスの顔を熟知している事から、海兵隊の作戦支援と捕獲対象とされる女ボスの確認のために同行する。

 

 

 

 

「まだ敵はあそこに居るかな?」

 

「居るさ。最上の偵察機と俺のスキャンイーグルが敵がプラントに留まってるを確認している」

 

 

クリスはスキャンイーグルから送られてくるLIVE映像をタブレットに表示する。

プラント脱出からプラントは最上とスキャンイーグル、そしてアリゲーターガーが24時間監視している。それらの情報から敵はプラントから脱出した気配はなく、ヘリにより破壊されたクレーン等の機材の修復をしていると確認している。

 

 

「敵も必死になるだろうな。抵抗も相当なものになる」

 

「だが幸い敵はこっちの動きに気付いていない。フォースリーコンなら余裕で相手できる。だが懸念がある」

 

「懸念?」

 

「コイツだ」

 

 

タブレットのフォルダを開いて、中に入っていたある画像を見せる。

 

 

「バズーカでありますか?」

 

「似てるが違う。これはストレラ2とレッドアイ。携帯式地対空ミサイルだ」

 

「ミサイル!?何故そのようなモノを1海賊が」

 

 

画像は携帯式地対空ミサイル9K32ストレラ2であった。

クリスの居た世界でも存在し、この手の兵器としては最も初期の頃に開発されたもので、アメリカ製のFIM-43レッドアイと同世代の代物である。

性能的にはレッドアイと同様に初期の頃に開発されたミサイルで、フレア等の熱に惑わされ易く、命中精度は悪いが、低空を低速で飛行するヘリには脅威となる。

 

 

「恐らく資源を売った金で闇ルートから手に入れたんだろう」

 

「厄介でありますな」

 

「あぁ。命中精度は悪いがヘリには脅威だ、迂闊には近付けないな」

 

「ではどのようにして乗り込むでありますか?」

 

「それについては考えてある。ミサイルは砲弾に比べればコストが高い上に維持管理が大変だ。それ程の数は無いと考えると、敢えて使わせた方が良い」

 

「つまり?」

 

「1機数万円の囮を1発何千万もするミサイルで撃ち落とすって言う事はどういう言う事か分かるか?」

 

「成る程………で、その囮には何を使うの?」

 

「そこは5航戦に任せてる。そろそろだな」

 

 

 

 

その頃、ヘリ部隊に先立って翔鶴と瑞鶴の2人と第6駆逐隊はプラント近くの海域で待機していた。

 

 

 

「時間よ、瑞鶴」

 

「OK。発艦用意!」

 

 

翔鶴と瑞鶴は腰の矢筒から黄色く塗られた矢を取り出し、上に向けて放つ。

放たれた矢は一瞬炎を纏い、次の瞬間には黄色く目立つ塗装が施された対空標的用に旧式の零戦を改造した無人機に姿を変えて飛び立っていく。

 

 

「さあ、どんどん行くわよ!」

 

 

2人は次々と無人機を発艦させていき、2人で合計60機を打ち上げた。万が一に備えてまだ余分にストックがあるので、場合によってはまた打ち上げる。

放たれた無人機は無線操縦により、プラントに殺到していく。

 

 

 

「敵だ!?敵だぁぁ!!」

 

 

 

プラントの屋上に居た見張りの海賊がそう叫ぶ。

海賊達は大騒ぎとなり、慌てて戦闘態勢に入った。

 

 

「アレを持ってこい!返り討ちにしてやる!」

 

 

海賊達は武器庫からコンテナに納められたストレラとレッドアイを用意する。

電池を接続し、電源を立ち上げて標的機をロックする。

 

 

「発射!」

 

 

一斉にミサイルが放たれた。ミサイルは標的機を次々と撃ち落としていく。

 

 

「よし!次だ!」

 

 

海賊は訓練通り、次弾を装填し次々とミサイルを撃ち落としていく。

 

 

「大盤振る舞いね。アイツら残弾の事考えてるのかしら?」

 

 

その様子を見ていた瑞鶴は次々とミサイルを打ち上げていく海賊に呆れていた。

 

 

「でもそうやって次々と撃ってくれた放が好都合なんだけどね」

 

 

翔鶴と瑞鶴は相手が不自然に思わない程度に無人機を小出しにしながら申し訳程度の攻撃を行い、ミサイル攻撃を受けなかった機体は爆弾とロケット弾を撃ち込んでいく。

海賊側も自分達の住み処をお構いなしに攻撃してくる無人機に対して怒り狂って冷静さを失っているのかミサイルを次々と撃ちあげていく。

 

 

 

「良いわよ。そのままドンドン使いなさい」

 

 

2人の思惑通り、プラント側から打ち出されていたミサイルは次々と少なくなっていき、30分もしないうちに全く打ち上げられなくなり、手にしていた銃や対空用大口径機関砲を持ち出して攻撃しはじめた。

 

 

「ようやく使い切ったみたいね。じゃあそろそろ」

 

 

瑞鶴の通信妖精が暗号通信を送信する。

 

 

『ジパングハ、輝キニ満チテイル』

 

『コレヨリ、宝探シヲ行ウ』

 

クリスが居た世界で使われていたドローンを使ったの対ミサイル戦術が成功し、脅威が取り除かれるとヘリ部隊は戦闘態勢に入った。

TOWミサイルで武装したAH-1Tシーコブラが編隊の前に出ると、左右に横列隊形をとりプラントに機首を向ける。

 

 

『ターゲット捕捉、Ready……fire!』

 

 

数機のシーコブラからTOWが一斉に放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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