艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第63話

シーコブラからはつるべ撃ちに放たれたTOWは、半自動指令照準線一致誘導方式と呼ばれる方式で誘導され、射撃手が照準器を相手に向け続ける事により誘導される有線式ミサイルである。

 

相手の火器の射程距離外から撃てば高い命中精度を誇り、数発のTOWはプラントから植物のように生えている採掘用の機材や倒壊寸前だったクレーンを直撃し次々と破壊していく。

海賊側も黙っておらず、ストレラとレッドアイを使って対抗しようにも肝心のミサイルは使い切ってしまっており、ミサイルと共に手に入れていたZU-23-2対空機関砲とDShK38重機関銃を使って反撃してくるが、今度はハイドラ70ロケット弾により返り討ちに逢い無力化されていく。

 

 

「良いぞ海兵隊!」

 

 

敵側の対抗手段をある程度潰すと、シーコブラに代わりアメリカ陸軍所属のOH-6観測ヘリが猛スピードでプラントに接近、周囲を高速で旋回しながら状況を確認する。

 

 

『こちらタイガーアイ、敵の無力化を確認』

 

 

敵の無力化が確認され、フォースリーコンを乗せたUH-1NとCH-53がプラントに接近し、着陸地点に設定されていたヘリポートへ向かい、先ずはヘリポート周辺の安全確保のためUH-1Nがヘリポート上でホバリング、ロープが降ろされるとフォースリーコンの隊員達が次々と降下していきヘリポート周囲を確保の後、CH-53が着陸し乗せていた本隊の隊員達を降ろしていく。

クリス達を乗せた国防陸軍のUH-1Hもヘリポート上でホバリング、クリス達もロープ降下でプラントに降り立った。

 

 

「先ずは上陸成功でありますな」

 

「あぁ。行くぞ!」

 

 

クリス達はフォースリーコンの隊員達と共に女ボス確保のためプラント内に展開する。

プラント内にはリーコンの隊員達と海賊との間で銃撃戦が巻き起こり、クリス達も海賊達を無力化しながら女ボスの部屋へと近付いていく。

 

 

「此処は通さ…」

 

「邪魔だ!」

 

 

攻撃してくる海賊に対してクリスはMP7A2に装備しているホロサイトのドットを合わせて1人の海賊に対して3発ずつ撃ち込んでいく無力化していく。

リーコンの隊員達も海賊に対して容赦なく無力化、確実に女ボスへと近付いていく。

 

 

「この部屋だ!」

 

 

女ボスの部屋の前にたどり着き、扉に爆薬を仕掛ける。

 

 

「点火!」

 

 

扉が爆薬で吹き飛ばされると同時にリーコンの隊員達が部屋に飛び込んでいく。

 

 

「ターゲットが居ないぞ!」

 

 

突入したリーコンの隊員が叫ぶ。クリスも部屋に入ると、あの女ボスの姿は無かった。居たのは、爆風に吹き飛ばされ怪我をした状態でリーコンの隊員によって拘束された幹部とおぼしき海賊が1人だけだった。

クリスはその海賊の胸ぐらを掴んで、女ボスの居場所を聞き出そうとした。

 

 

「お前らのボスは何処だ?」

 

「……………………」

 

「何処だと聞いている!答えろ!」

 

「………………………」

 

 

幹部は意地でも喋ろうとはしなかった。

クリスはホルスターからM9を抜くと、海賊の額に銃口を突き付けた。

 

 

「もう一度聞く…奴は何処だ?」

 

「もう逃げ出している頃だろうさ」

 

『こちらタイガーアイ!プラントから脱出した小型船舶を確認!』

 

 

無線から聞こえてきた偵察ヘリからの報告にクリスは窓から外を見る。

報告通り、1隻の中型クルーザーが猛スピードで去っていくのが見えた。

 

 

「逃げられる!」

 

「あきつ丸、神州丸、時雨、着いてこい!」

 

「了解!」

 

「わかった!」

 

 

クリスはあきつ丸と時雨を伴ってヘリポートへと戻る。自身達が乗ってきたUH-1Hに乗り込むとパイロットに例のクルーザーを追跡するように指示、ヘリはヘリポートから離陸し逃げ出したクルーザーを追跡する。

 

 

「ん?」

 

 

離陸後、後ろを振り返ると、海兵隊のシーコブラ2機と海兵隊員を乗せた1機のUH-1Nが続いていた。

 

 

『こちらアウル1、貴機を援護する』

 

『こちらタイガー1、加勢する』

 

「協力感謝する」

 

 

クリス達と海兵隊は逃亡したクルーザーを探す。

暫くしていると、双眼鏡を使ってクルーザーを探していた時雨が叫んだ。

 

 

「居たよ!あそこだ!」

 

 

時雨が指差した方向に高速で移動するクルーザーが見えた。

 

 

「どうする?」

 

「此処で逃がすと不味い!此処で抑える!」

 

『なら俺たちに任せろ!注意を引き付けるから、乗り込め!』

 

 

シーコブラ2機が前に出て、クルーザーに接近する。

 

 

「ボス、海兵隊のヘリが!」

 

「追い払って!」

 

 

ボスの指示で海賊達がブルーシートを剥ぐと、ZU-23対空機関砲が姿を表した。弾倉に23ミリ弾を装填すると2名の海賊が接近してくるシーコブラに向けて射撃する。

 

 

『おっと」』

 

 

シーコブラのパイロットは巧みな操縦で手動操作のZU-23の弾幕を回避し、高速機動でクルーザーに当てないようハイドラ70ロケットで攻撃する。

 

 

「流石、海兵隊だ!」

 

 

ロケット弾はクルーザーの周囲の海面に着弾し派手な爆発を起こし、水柱と衝撃を生んでクルーザーを足止めする。

 

 

「よし!あのクルーザーの後ろから近付いてくれ!」

 

 

クリスはヘリをクルーザーの背後から近付けさせると、ワイヤーを体に巻いて、ヘリと自身の体を繋ぐと、半身を乗り出してMk11を構える。

スコープのレティクルをZU-23の射手に合わせてトリガー引き、2名の射手を立て続けに狙撃し無力化した。

 

 

「今だ!」

 

 

クルーザーからの反撃が止まり、シーコブラが前方に回り込みボートの速度を落とし、クリスらを乗せたUH-1Hがボートの上でホバリング、クリスはそのまま飛び降りるようにヘリに乗り移り、後の面々もそれに続いた。

 

 

「行くぞ!」

 

 

MP7を構えながらクルーザーを探索、AKを携えた海賊が立ち向かってきたが素早く4・6ミリ弾を撃ち込んで制圧し、操縦室を抑えた。しかしそこにボスの姿は無かった。

 

 

「皆、此処は任せる!俺は船室を!」

 

「僕も行く!」

 

 

クリスはその場をあきつ丸達に任せると、時雨と共に船内へと入る。

 

 

「!?」

 

 

ハッチから船内に入ると、狭い空間が広がっており、所狭しと武器弾薬、アルミ製のトランクケース、そして大量の木箱がびっしりと積み込まれており、少しでも衝撃を与えると今にも崩れそうになっている。

 

 

「どうかしら?私の資産は?」

 

 

 

部屋の奥からあの女ボスの声が聞こえてきた。銃口をその方向にむけてライトの光を照らしてみると、そこには巨大な鏡を背にソファーに腰かける女ボスの姿があった。

 

 

「そこいら辺の金持ち並だな」

 

「あら?此処にある物は全て金に変えれば、そこいら辺の金持ちなんか一瞬で追い越せるわ。下手したらアメリカの大富豪の仲間入り?」

 

「汚い金なんて持ってても身の破滅を招くだけだぞ」

 

「汚いなら洗えば良いのよ。アテは幾らでもあるわ」

 

「そんなに金に拘る所を見ると、かなりの強欲だな」

 

「強欲だなんて………これは成功した者の特権よ」

 

 

女ボスとクリスによる言葉の応酬が始まり、緊張感が高まる。

 

 

「だがそんな特権の時間は終わりだ。これからお前はブランド物も宝石も金も自由もない暗く寒い鉄格子に行く事になる」

 

「あなた、私を捕まえる気?できるかしら?」

 

「できるさ」

 

「どうかしら?後ろを見てみなさい」

 

 

クリスは後ろを振り返る。

 

 

「!?」

 

 

そこには、いつの間にか海賊の1人が時雨を人質に首筋にナイフを突き付けていた。

 

 

「どう?改めて取り引きしない?」

 

「取り引き?」

 

「えぇ。あなた達には此処にある全てをこちらの言い値で買い取って貰う。そうすればあなた達は大事な仲間と財産を手に入れて私はまた事業を起こして大儲け………どちらにも得がある」

 

「事業を起こしても指名手配されたんじゃ大儲けどころの話じゃないだろ?」

 

「そんな事は無いわ。あなたの思ってるより世界は複雑に出来てるのよ。そんな複雑な所をうまく活用すればたとえ指名手配されていようとも、幾らだって手はあるし既にプランはある。どうする?此処で取り引きに応じるか、断って後悔するか?」

 

「生憎、俺は人質をとってまで交渉を迫る汚い奴等と手を組んだり取り引きや交渉する程落ちぶれちゃいないよ」

 

「本当に良いの?なんなら私の愛人にでも……」

 

「いい加減にしろ!何処まで性根が腐ってるんだ!!」

 

 

女ボスの言い様にクリスは怒りをぶつけた。

 

 

「いいか、これだけは言っておく!お前はそこいら辺のマフィア……否、ギャング以下だ!」

 

「………………どうやら交渉決裂ね。自分の判断に後悔するがいいわ」

 

 

その合図と共に海賊が時雨の首筋に向けて大きくナイフを振りかざそうと、ナイフを持っている手を大きく振り上げた………

 

 

「今だ!」

 

「ふっ!」

 

 

時雨は恐怖に満ちた顔から一転、ナイフを振り下ろそうとしていた海賊の手首を掴むと人間の数倍のパワーを引き出して手首をへし折り、そのまま背負い投げで床に思い切り叩き付ける。

 

 

「!?」

 

 

女ボスは懐からワルサーPPK/Sを取り出してクリスに向けたが、クリスはMP7から弾丸一発を発射し、ボスの手からワルサーを弾き飛ばす。

そして武器を失った女ボスを床に倒し両腕を結束バンドで拘束、口に猿轡を噛ませる。

 

 

「後悔するのはお前の方だったな」

 

 

その一言に女ボスは項垂れた。

 

 

「やれやれ………時雨、大丈夫か?」

 

「うん。この海賊、思ったより弱かったね」

 

 

時雨に制圧された海賊の男は時雨にへし折られた腕の痛さから叫び声をあげながらのたうち回っている。

 

 

「流石だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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