艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第68話

久方ぶりに日本本土として復帰を果たした小笠原諸島は、予てより予定されていた太平洋における最前線基地である父島鎮守府の本格的に始動を開始していた。

 

父島の二見港では新たに設けられた父島鎮守府の開設記念式典も執り行われ、深海棲艦との戦時下という事もあり小規模の開催となったが、式典には招待された父島在住の民間人や警察関係者、国連軍部隊、そして伊勢を旗艦とした父島分遣隊のみであったが盛大に執り行われ、式典は何のトラブルもなく大盛況のうちに幕を閉じた。

 

 

そして式典の翌日より、本格的な業務に向けての準備が進められ、父島鎮守府内には洲崎飛行場から関連器材や物資が次々と運び込まれていき、鉄筋コンクリートで作られた父島鎮守府中央庁舎と工廠やドックはその日のうちに稼働を開始した。

そして、父島鎮守府開設に合わせて父島分遣隊の面々にも軍から新装備が支給される。

 

 

 

「これが新型銃が」

 

 

 

新たに設けられた射撃場の隣にある武器庫では、国防軍から艦娘向けの個人装備と基地警備のためとして新たに配給された新型の武器の御披露目が行われていた。

 

 

 

「そう、皆最新型だって」

 

 

伊勢が箱から取り出したのはドイツ製のMP5サブマシンガンとクリスも使っているイタリア製のM92拳銃だ。

 

 

「こんな最新型、よく回してくれたわね」

 

「一応ウチは最前線基地だからね。軍もケチや予算やらって言ってる場合じゃないって思ってるんじゃない?」

 

「早く撃ってみたい!」

 

「先ずは説明書読んでから!」

 

 

 

皆、付属の説明書を読み耽る。そんな中でクリスとアリゲーターガーはMP5とM92を射撃する。

惜しげもなく放たれる銃弾はターゲットに次々と穴をあけていき、全部の弾丸を撃ち切る頃にはターゲットは穴だらけになっている。

 

 

「良い腕してるじゃん」

 

「射撃には自信があるかなら」

 

「にしても2人とも、この銃を使い慣れてるみたいだけど?」

 

「嫌って程に撃った事があるからな」

 

「アメリカじゃ見慣れてる奴が多いしな。扱いは慣れてるし欠点も利点も知ってる」

 

 

 

クリスとアリゲーターガーの時代では両方ともアメリカ軍ではお馴染みの銃のため特に扱いには困ってはいない。

 

 

「じゃあ私達も」

 

 

伊勢達も説明書通りにMP5とM92にマガジンを入れて薬室に弾丸を押し込むと、しっかりと構えて撃ちはじめる。

 

 

「中々に撃ち易いな。よく当たるぞ」

 

「今まで使ってた45口径より全然マシだね」

 

 

銃を使い慣れている伊勢と日向、瑞鶴、翔鶴の4人は何の問題も無しに撃っているが、時雨以外の駆逐艦の面々は体が小さいためか撃つ毎にやって来る反動に四苦八苦している。

 

 

「ふぅ。何時やっても銃の射撃訓練をやっても緊張するわ」

 

「何時も砲弾や魚雷を撃ってるお前らが今更銃を怖がるのか?」

 

「艤装は普段から使ってるから体と頭が分かってるから何ともないけど、銃は普段使う物じゃないからね」

 

「それじゃ次に使う新装備なんて持てないんじゃないか?」

 

 

 

クリスが指差した方向を見ると、黄色塗料で至る所に英語が書かれたOD色のコンテナが積み上げられていた。

 

 

「まさかこんな物まで回ってくるなんてね」

 

「何なのこれ?」

 

 

瑞鶴が箱の中身を尋ねる。

 

 

「現代科学が産み出した驚異さ」

 

 

クリスがコンテナの蓋を開ける。

 

 

「筒?」

 

 

入っていた細長い筒と四角い箱と缶詰めの缶のような小さい筒が入っていた。

 

 

「武器には見えないわね」

 

「どう使うのです?」

 

「こう使うんだ」

 

 

クリスはコンテナの中から細長い筒に四角い箱を合体させると同時に四角い箱の網のような部分を上へ少し引っ張り上げると一気に広がって籠のような見た目になった。

 

 

「FIM-92スティンガー、携帯式の地対空ミサイルだ」

 

 

 

新たに基地防空用に配備されたFIM-92スティンガーミサイルは肩に担いで使用する携帯式の地対空ミサイルで、上述の四角い箱をから籠のような見た目になったのはIFFアンテナである。クリスは本体に缶状の筒、BCUと呼ばれるスティンガー用の電池を装着する。

 

 

「ミサイルも手持ちで撃てる時代になったのね」

 

「時代の進歩は著しいって事だ。持ってみるか?」

 

 

クリスに手渡され皆順番に肩に担ぐ。

 

 

「重っ!」

 

「15キロあるからな」

 

 

スティンガーはミサイル本体と照準器、IFFアンテナ等の全てを含めて15キロはある。下手な軽機関銃より全然重いのである。

 

 

「どう撃つの?」

 

「えぇと、撃つ時はBCUを装着して電源を入れて45秒以内に撃てって書いてるな」

 

「45秒以内!?早くない?」

 

「そのBCUと言う電池の寿命が電源を入れて45秒以内だかららしい。なんでもその電池はミサイルの誘導装置を冷やすためにも使うみたいだ。それと外す時は化学反応で高温になってるから手袋をつけるため必要もあるみたいだ」

 

 

説明書を読む日向の言葉に伊勢はスティンガーを使いこなすのは難しいと思った。

 

 

「素人じゃ無理ね」

 

「なら俺が使わせてもらおう。使い慣れてる」

 

 

クリスはそう言うと瑞鶴に指示を出した。

 

 

「瑞鶴、標的機を出してくれ」

 

「OK!」

 

 

瑞鶴は標的機を1機だけ打ち上げる。

クリスはスティンガーを肩に担いで、照準器を覗き込みながら電源ボタンを押し込むと、BCUがミサイルのシーカーを急速冷却し照準器が標的機を捕捉し電子音が鳴り響く。

 

 

「fire!」

 

 

引き金を引くと、筒からミサイルが一気に飛び出し、射出用の1段目のロケットモーターが外れ2段目の推進用ロケットが作動しミサイル本体は標的に向かって飛び上がっていく。そして十秒後、ミサイルは標的機に命中した。

 

 

「まぁこんな感じだ」

 

「成る程。使いこなせば凄い戦力になるわ」

 

 

無論、父島鎮守府の戦力強化は銃やミサイルに限った話ではなかった。

 

 

「よし、次はこっちよ」

 

 

そう言うと伊勢は洲崎飛行場へと皆を連れていく。

 

 

 

続く




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