艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第76話

マリアナ攻略作戦の第1段階が成功に終わり余韻に浸る間も無く、作戦の第2段階が実行に移される。

第2段階の作戦内容は国連軍によるバガン島、アラマガン島、ググアン島、サリガン島、アナタハン島、ファラリョン・デ・メディニラ島の占領である。これらの島はテニアン島とサイパン島、そして敵の本拠地であるグアム島攻略のために必要なのである。

 

無論、敵の反撃も凄まじいものと予想されるが深海棲艦の陸上型と陸戦型は通常兵器でも有効である事は小笠原諸島での作戦でも証明されている。そのためこの作戦は国連軍に割り当てられている。

攻略部隊本隊から進出した国連軍の上陸部隊を載せた強襲揚陸艦からAAV-7と揚陸艇、戦車揚陸艦は大挙を成して攻略目標の島へと向かっていく。

 

と言っても、上陸部隊が実際に上陸する島はバガン島とファラリョン・デ・メディニラ島の2つのみで、残りの島はクリスのトマホーク攻撃によって無力化する予定となっている。特にメディニラ島はサイパン島の目と鼻の先にあるため確実に抑えておく必要がある。

 

 

上陸部隊は敵の地上部隊の主力が居るメディニラ島を目指し、先ずは空母キティーホークから飛び立った航空部隊が島内の施設や目視で確認できる敵を爆撃で攻撃し、その混乱に乗じて上陸部隊が浜辺に取り付いた。

 

 

「行け!Go!Go!Go!」

 

 

AAV7からアメリカ海兵隊の兵士が次々と降りてきて浜辺に進んでいく。

 

 

「伏せろ!」

 

 

浜辺の奥にある森林から敵が砲撃と銃撃を仕掛けてきた。

 

 

「クソ!やっぱり火力が半端じゃねぇぞ!」

 

「戦車はまだか!?」

 

 

海兵隊員も応戦するが火力不足なためな有効打にはならない。

 

 

『待たせたなアメリカ人!Panzer vor!』

 

 

続けて浜辺に乗り上げた戦車揚陸艦のドアが開かれると、3色の森林迷彩が施された重厚な戦車が姿を表した。

重厚な車体に角張った箱形砲塔から突き出ている120ミリ砲を持つそれは今回の作戦に欧州から海を越えて参加しているドイツが開発した新型の第3世代主力戦車『レオパルト2』だ。

 

 

『Panzerwagen vor!』

 

 

続けて姿を表したのは、同じくドイツが誇る『マルダー』歩兵戦闘車だ。20ミリ機関砲と対戦車ミサイルを装備するそれは歩兵の心強い味方であり、苦戦していた海兵隊員達の前に立つと、森林に砲塔を向ける。

 

 

『Feuer!』

 

 

20ミリ機関砲が森林に向けて発砲し、大小の木々や藪を突き抜けて敵陸戦型と歩兵型を薙ぎ払う。

 

 

『我々も遅れを取るな!Feuer!』

 

 

レオパルト2も主砲で榴弾を撃ち出して、敵に砲撃を見舞う。

しかし敵も負けじと対戦車砲を放ってきた。

 

 

『3号車被弾!』

 

 

 

それは海兵隊員達の盾となっていたマルダーの右履帯を吹き飛ばした。

 

 

 

『こちらpanzer1号車、どこをやられた?』

 

『右の履帯を破壊された!動けない!』

 

『よし、Panzer2は被弾したpanzerwagenを守れ!他は前進!』

 

 

被弾したマルダーの前に1両のレオパルト2が滑り込む様に回り込み、乗員の脱出を援護。他の車両は歩兵と他のマルダーの前に展開し森林に向けて前進する。

敵は尚も対戦車砲を放ってきたがレオパルトに施されている複合装甲に完全に阻まれてしまい、前進を止めるまでには至らなかった。

 

 

『敵陸戦型だ!』

 

 

遂に痺れを切らせた敵の陸戦型が姿を表した。それは丸い球体に2本の足が生えた2足歩行のロボットのような見た目で、両腕には機関砲、球体の真上には戦車砲のような砲身が見える。

 

 

『落ち着け。見た目だけで動きはノロい!レオパルトの機動性を見せつけろ!全車、攻撃開始!』

 

 

するとレオパルトはエンジンを轟かせながら急に動きが早くなった。1500馬力のディーゼルエンジンが叩き出すパワーは55トンの車体を一気に加速させ、優秀なトランスミッションとサスペンションとの組み合わせにより、浜辺の上でもその見た目と重量からは想像できない機動性を産み出す。

陸戦型は砲撃と銃撃を仕掛けるが、その軽快な機動性に全て避けられしまい、新型の射撃統制システムに制御された120ミリ滑腔砲の砲撃を受けて一撃で破壊されてしまう。

 

 

『前進!!』

 

 

陸戦型を破壊された深海棲艦側は後退を開始し、戦車隊は左右にスラロームをしながら敵の標的にならないように前進、その後ろをマルダーと海兵隊が続き、ものの30分程で上陸地点である浜辺を中心に橋頭堡の確保に成功し、間髪入れず島全域の制圧を目指し前進を開始した。

 

 

 

 

 

その頃、マリアナ諸島グアム島内……

 

 

「ハワイ二目ヲ向ケテイタ隙ヲ突カレタワネ」

 

 

深海棲艦のマリアナ諸島方面担当の中枢悽姫は配下の姫級達にそう言い放つ。

 

 

「ダガ、敵ノ戦力ハ対シタ事ハナイ。メディニラ島ノ地上戦力ハ莫大ダ。ソコデ疲弊サセレバ勝利ハ出来ル」

 

「ソレニマダ、此方ノ航空戦力ハ健在ダ。疲弊シタ処ヲ叩ケバ」

 

 

戦艦水鬼と空母水鬼がそう言うが高速軽空母水鬼が異義を唱えた。

 

 

「ダガ、偵察機カラノ情報デハ、噂ノ新型艦ガ居ルソウダ」

 

 

その言葉に全員の表情が変わった。

 

 

「アァ、小笠原諸島デ確認サレタアレカ。噂デハミサイルヲ使イ、正確無比ナ砲撃、ソシテ泊地悽姫ヲ単独デ撃破シタトイウ…」

 

「最近此方ノ潜水艦ヤ水雷戦隊ガ次々ト消息ヲ絶ッテイルガ、マサカソイツガ原因カ?」

 

 

既に深海棲艦内でも断片的な情報からクリスの存在が知られている。だが、クリスに挑んだ自軍の戦力が返り討ちにあい帰還できていないためクリスに関する情報が非常に少なく、深海棲艦側も情報収集に躍起になっている。

 

 

「ダガ問題ハアルマイ。例エ此方ノ性能ヲ上回ッテイルト言ッテモタカガ1隻ノミ。総力を挙ゲテ掛カレバ……」

 

「ダガ油断ハ禁物ダ。今マデノ艦娘ト思ッテ掛カレバ痛イ目二逢う。此処ハ慎重ニダ……」

 

 

中枢悽姫は不敵に笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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