艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
マリアナ攻略作戦は多少の損害は受けたものの、国連軍側の勝利の末に幕を閉じた。国連軍地上部隊はグアム、テニアン、サイパンの敵地上部隊の掃討を行っており、数日中にも完全占領は完了すると試算されている。
「撃て!」
地上部隊は残された敵地上部隊の掃討任務を行っていた。
戦車部隊は歩兵部隊を引き連れながらグアム島奪還に向けて作戦を続けている。
「クソ!抵抗が激しいな!」
指揮する者が居ない敵地上部隊は統率も何もなくバラバラに動いており、国連軍は充分な指揮系統の元、次々と敵を島の奥に追い詰めていく。
「Feure!」
「fire!」
多連装ロケットと自走榴弾砲による長距離攻撃は絶大な効果を発揮し、効率的に戦いを進めていく。
最新の戦車や歩兵戦闘車を備えたドイツ軍は特に進撃速度が早く、共に行動する海兵隊員もその練度に驚く。
「流石陸軍大国だな」
「俺たちだって世界一の軍隊だって事をドイツの連中に見せてやれ!」
ドイツ軍の活躍に対抗心を燃やした海兵隊の戦車隊のM60とM48パットンも砲撃しながら前進し、その後ろを歩兵部隊が続いていく。
「撃て!」
マルダーの銃撃の中、海兵隊員達は対戦車ロケットやグレネードを放ちながら前進していく。
マリアナ攻略が地上部隊に引き継がれ、父島分遣隊と第2艦隊は作戦を終え、第2艦隊はMI攻略の横須賀鎮守府の艦隊の合流のためマリアナから離れ、マリアナの守備は父島分遣隊に委任された。
マリアナの守備を任された父島分遣隊はグアム島アプラ湾に停泊しているしらねに守備隊司令部を置いてマリアナ防衛の任に就いていた。
「えぇ。それで構わないわ」
しらねの艦内にある医務室ではクリスの姉であるアーレイ・バークが居た。
あの戦いの後、アーレイ・バークは国防海軍の『D案件対処要項』と言う戦闘海域からサルベージ又は深海棲艦の捕虜となっていた艦娘の扱いについての決まり事に従い、事情聴取を受けており、今回は本人へ今後についてどうするかの意思確認が行われる。
「分かりました。ではこちらの書類を確認の上、サインをお願いします」
伊勢にそう促されアーレイ・バークは書類にサインした。この書類にサインをすると、当該の艦娘の帰属先や復帰の意思確認が行われた証明となり、今の時刻を取って彼女は国防海軍父島分遣隊の預かりとなった。
「確かに確認しました。ではこれからよろしくお願いします」
「こちらこそ」
伊勢はアーレイ・バークと握手を交わす。
「ところで、早速なんだけど必要な物を受け取ってきて。此処から1区画先に明石って工作艦がやってる酒保があるから」
「PXね、了解」
医務室を出たアーレイ・バークはPXへと向かい、日常生活に必要な物を仕入れる。
「では、どうぞ」
「ありがと。ところで聞きたい事があるんだけど」
「はい?」
「My brotherは何処に?」
「My brother……あぁ、クリスさんなら飛行甲板で射撃訓練中ですよ」
「Thank-you。ありがとね」
アーレイ・バークは階段を上がり、格納庫から甲板に出た。そこではクリスが海上に浮いている標的に向けてHK416を構えながら射撃訓練を行っていた。
標的に向けてホロサイトのドットを合わせながら、様々な姿勢での射撃をしながら、それを何度も繰り返す。
一通り撃ち終えたタイミングでアーレイ・バークはクリスに話し掛けた。
「クリス」
「バーク姉さん」
「久し振りね、元気だった?」
「あぁ。この通りさ」
「そう。そう言えばアリーから聞いたけど、あなたこの世界に来る直前の記憶が無いんだっけ?」
「あぁ。だからバーク姉さんと一緒にこの世界来た事なんて覚えてないんだ。すまない」
「いいのよ。記憶が無くたって、貴方が無事だったんなら」
「ありがとう。ところで姉さんはこれからどうするんだ?」
「私も貴方と一緒に戦う事にしたわ」
「意外だな。アイオワと一緒にアメリカに行くと思ったんだが」
「その選択肢もあったけど、弟放っておいてアメリカには帰れないわよ。それにアイオワさんも私達の事は口外しないって約束してくれたし、貴方と思い切り戦えると思うとね」
アーレイ・バークは今や100近い兄弟を抱える姉であり、この世界で深海棲艦になってしまい記憶を失うその直前まで一緒に居た弟であるクリスの事は誰よりも心配していた。その上で共に戦う選択肢をとり、伊勢の前で書類にサインしたのである。
「姉バカだな」
「弟思いなのよ」
それから数日が経過した。
国連軍によるマリアナ諸島の深海棲艦の残敵掃討が終わり、マリアナ攻略作戦の終了が宣言された。
マリアナ諸島を国連軍に託し父島分遣隊は帰路に就いた。
「そう言えば伊勢、MI攻略は俺たちは参加しないのか?」
「一応、ウチからは第6駆逐隊と5航戦が参加する事になって、父島で私らを降ろした後にしらねに乗ったまま本土に戻るんだって」
「留守番か」
「そう言う事。アイオワとホーネットもしばらく居てくれるって言ってくれてるし戦力に困りはしないけど」
父島分遣隊はその足で父島に戻ると第6駆逐隊と5航戦不在のまま、しばらく父島を留守にしていた分の仕事に取り掛かった。
「アーレイ・バーク、出るわよ!」
「クリス・カイル、行くぞ!」
2人は哨戒任務に出ていく。
続く
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