艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第84話

1978年8月中旬、マリアナ攻略から1ヶ月後に大反抗作戦である凄地MIことミッドウェー諸島で実行され、その結果、作戦はミッドウェー島の深海棲艦の駆逐に成功、作戦は人類側の勝利で幕を閉じた。

 

作戦を実行した本土の艦娘部隊と国連軍が払った代償は決して小さくはなく、特にハワイ方面のアメリカ海軍艦隊の損害が目立って大きかったが、結果として北太平洋全域的と西太平洋の一部の奪還に成功し、残りの西太平洋と南太平洋全域の奪還に向けた次なる大規模な反抗作戦への大きな布石となった。

作戦終了後、次の作戦に向けて国連軍は各々の国の指揮下に戻るため帰還を開始、小笠原諸島には帰還する部隊が寄港していた。

 

 

「お疲れ様、長門!」

 

「あぁ」

 

 

父島鎮守府には作戦に参加した横須賀の部隊が立ち寄っており、司令室では伊勢と日向が長門を快く出迎える。

 

 

 

「久し振りだなクリスにアリー」

 

「そっちこそ元気そうだな」

 

 

共に出迎えに来ていたクリスとアリゲーターガーは長門と握手を交わす。

互いに積もる話しもあるが長門はある事についてクリスに尋ねる。

 

 

「作戦前に話は聞いたが、どうやら君の姉をD案件で保護したらしいな?」

 

「あぁ」

 

 

クリスが入り口に目配せすると、外で待っていたアーレイ・バークが入ってきた。彼女は長門の前に立つと直立不動でアメリカ海軍式の敬礼をする。

 

 

「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦アーレイ・バークです」

 

「日本国防海軍横須賀鎮守府提督代行の長門だ。よろしく頼む」

 

「こちらこそ。弟がお世話になったようで」

 

「君はいい弟を持っている。彼には色々世話になったよ」

 

 

クリスは深海棲艦だった自分の姉に長門がどう接するか不安であったが、意外にも友好的な態度で接してくれた事に安堵する。

 

 

「早速だが、君がこの世界に来た経緯と深海棲艦になってしまった事について聞かせてくれないか?」

 

「はい。と言っても、深海棲艦だった頃の記憶はほぼ無いに等しいですが」

 

「構わない。知ってる限りで教えてくれ」

 

「俺にも聞かせてくれ。俺と姉さんが此処に来るまでに何が起きたのか、知っておきたいんだ」

 

「了解」

 

 

 

アーレイ・バークは自身の事について話し始める。

 

 

「西暦20XX年7月中旬、当時新鋭艦だったクリスと私は訓練のため、ノーフォーク海軍基地から大西洋に向けて出港したんです。此処まではクリスは覚える?」

 

「あぁ」

 

「出港から半日後にバミューダ海域に到達した時、低気圧に遭遇して、激しい波に煽られて突然雷に打たれたのよ。そこで私は意識を失ってそこからの記憶は無いのよ」

 

「成る程、この前聞かされた通りだな。その雷に打たれた時のショックで俺は記憶を失った事に合点がいくな。しかし俺が目覚めたのは太平洋の日本近海だった。雷の直撃で気を失ったとして大西洋から太平洋に移動するものかな?」

 

「気絶している間に流されたんじゃない?」

 

「バミューダから日本近海までか?それまでに俺は生きてないよ」

 

「バミューダトライアングルは昔から謎が多い海域だからな。船とか飛行機が相次いで行方不明になった例は幾らでもある。そんな謎が多い場所なら異世界へ続く穴みたいなのがあっても不思議じゃないんじゃないか?クリスやバークや俺が良い例だろ」

 

 

 

アリゲーターガーの言葉に2人は何も言えなかった。

 

 

 

「そう言えばアイオワ」

 

 

クリスは部家の隅に居たアイオワに話を振った。

 

 

「お前はおれとバーク姉さんとアリーが行方不明になった後の事を知ってるんだよな?」

 

「えぇ」

 

「お前がこの世界に生まれる直前の事って覚えてるのか?」

 

「覚えてるわ」

 

「だったら俺らが居た先の事も知ってるんだよな?だったら教えてくれ、俺と姉さんとアリーは何時頃に元の世界に戻ってこれたんだ?」

 

 

その質問にアイオワは難しい顔になる。

 

 

「知ってるわ……でも3人が期待してるような答えじゃないわよ」

 

「どう言う事だ?」

 

「聞きたい?」

 

「あぁ」

 

 

クリスは2人にも目配せし、それぞれ聞く覚悟は出来ている様子である。

 

 

「分かったわ…………残念だけど、2人が行方不明になった時、同盟国の海軍も含めて大規模な捜索をしたみたいだけど、その途上でアリーまで行方不明になったからペンタゴンは捜索活動を中断、結局政府はバミューダ海域での異常気象や様々な原因が偶然重なった事による沈没事故として判断して大規模な捜索は終了したのよ」

 

「「「………………」」」

 

 

アイオワから語られたその後の真実に3人は何も言えなかった。

 

 

「でも勘違いしないで。アメリカは決して3人を見捨てた訳じゃないわ。その後も年に数回は海底探索や航空機、調査船を使って捜索は続いたの。でも海底にも海上にも付近の島にも貴方達は居なかった………だからいつしか3人の事故はバミューダ最大のミステリーって呼ばれる様になったわ」

 

 

アイオワがクリスと最初に出会った時に言っていた『バミューダ最大のミステリー』という言葉が何を意味していたを理解したクリス。

 

 

「これが私が知っている真実の全てよ」

 

「そうか……」

 

「向こうは大騒ぎだったみたいね」

 

「なんか凄い事になってたんだな」

 

 

アイオワの捕捉説明に3人の表情は先ほどよりはマシになっている。誰にも見捨てられていない事に安堵したのであるとアイオワは理解した。

 

 

「これでハッキリしたな。どうやら俺達は元の世界には帰れず、この世界で骨を埋める覚悟を…………だがそれは悲観する事じゃないと俺は思う」

 

「クリス?」

 

「確かに元の世界に戻るための希望は閉ざされたかもしれんが、ただ希望が閉じただけで、閉じてしまったならまた開けばいい話だ」

 

「開く?」

 

「そうだ。これから何年も何十年も掛かろうと、希望を開くための鍵になる何かを見つければいい」

 

「あぁ~………つまりクリスは希望を捨てずに、諦めなければ元の世界に帰るための手立てを見出だす事が出来るって言いたいんだな?」

 

「そうだ。アニメや漫画の主人公みたいな事を言うが、今の俺たちとって諦めは負けを認めるみたいなものだ」

 

「負け………確かに、負けるのは嫌だな。認めたら自分を見失うだけだからな」

 

「そうね。負けを認めるくらいなら、可能性が無いに等しくてもね」

 

「あぁ………」

 

 

 

長門達は3人の心の強さに感心するが敢えて何も言わなかった。

 

 

「そう言う事だ長門。厚かましいかもしれんが、暫くはそっちに力を貸そう。だからこれからもよろしく頼む」

 

「あぁ、私は大歓迎だ。提督もきっと……いや、絶対に分かってくれる筈だ」

 

 

3人は互いに長門と握手を交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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