艦隊これくしょん the last aegis   作:明日をユメミル

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第88話

舞鶴鎮守府で行われている不正に関するの内偵調査のため、クリスとアリゲーターガーは準備に入っていた。

 

 

「まさかスパイの真似事をする事になるとはな」

 

 

クリスはバックパックに必要な物を詰め込んでいく。

 

 

「こう言うのも経験だろ?やって損は無いぜ」

 

 

アリゲーターガーは既に準備を終えてクリス待ちとなっていた。

 

 

「だがどうやって証拠を掴むんだ?」

 

「先ずは鎮守府外で情報収集から始める。内部へ入り込むのはそれからだ」

 

「外なら兎も角、鎮守府へはどうやって入り込むんだ?」

 

「舞鶴鎮守府はそこそこの規模だ。軍施設の規模が大きければ大きい程、中へ入る隙はある」

 

 

そんな話をしながらクリスは荷物を纏めあげ、寮を出る。

本土までは海軍のUS-1Aを使用して一度横須賀鎮守府へ移動、長門から舞鶴鎮守府の施設や所属している艦娘に関する資料と情報を受け取る予定である。

 

 

「クリス!」

 

 

飛行艇の離発場へ行こうとした時、時雨と雪風、第6駆逐隊の面々がやって来た。

 

 

「見送りに来たわよ。しっかりやって来なさいね!」

 

「あぁ。雪風、もう大丈夫か?」

 

「はい!雪風はもう大丈夫です!」

 

「そうか。お前の仲間は必ず俺たちで助けてやるから、待ってろよ」

 

「はい!」

 

「それと、時雨」

 

「ん?」

 

「皆の事を頼むぞ」

 

「うん。2人も気を付けてね」

 

「あぁ」

 

 

 

見送りを受けた後、2人は飛行艇離発着場へと移動し、待機していたUS-1Aへと乗り込み、そのまま横須賀鎮守府へと向かった。

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、2人の姿は横須賀鎮守府司令室にあった。

 

 

 

「これが舞鶴鎮守府に関する情報だ」

 

 

長門が2人に㊙と判が押された資料を手渡す。

そこには舞鶴鎮守府全体の見取り図、所属している艦娘リスト、舞鶴の提督に関する事が記されている。

本来なら横須賀鎮守府に舞鶴鎮守府の資料などある筈は無いのだが、未だに会った事のない長門の上司でこの横須賀鎮守府を預かる件の提督は舞鶴鎮守府の件の報告を受けた直後から情報収集に動いており、その人脈と顔の広さを存分に利用して国防省でも知り得ない所で極秘に動いている。

 

 

「提督も既に動いてる。後は2人が証拠を掴んで持ち帰ってくれれば、後は提督が全てをやってくれる」

 

「分かった。一応確認しておくが、俺たちの行動は…」

 

「無論、父島の面々と私と提督以外は知らん。それどころか、2人が今此処に居る事を知ってる者は居ない」

 

「分かった」

 

「くれぐれも勘づかれるなよ。其処にも書いてあるが舞鶴の新任提督はある代議士の息子だ。気付かれたら厄介だぞ」

 

「分かってるさ」

 

 

資料の内容を頭に入れてから、2人は鎮守府を出ると、新横浜駅から新幹線に乗り込み京都へと移動した。

京都駅で新幹線を降りると、そのまま拠点となる鎮守府を見渡せる山中へと移動、誰にも見つからない様に山道から外れた森林内に活動拠点を設置した。

 

 

「よし、テントはこれで良いな。そっちはどうだクリス?」

 

 

上を見上げると、木の上に登って何か作業をしているクリスに声を掛ける。

 

 

「あぁ。この木が一番丁度良さそうだ」

 

 

クリスは木の上で50口径の12・7ミリ弾を使用する対物・長距離狙撃銃『Mk15』にマガジンとスコープを装着して、舞鶴鎮守府がある方向に向きを調整して、ロープで固定する。

 

 

「向こうはどんな感じだ?」

 

「静かなモンだ。グラウンドには人っ子一人居やしない。射撃場には何人か居るみたいだ」

 

 

スコープ越しに見えるのは、射撃場で海上に浮かんでいる標的に向かって砲撃訓練をしている数人の艦娘のみであった。

 

 

(服装から駆逐艦と軽巡みたいだな)

 

 

クリスはポケットから1冊のハンドブックを取り出す。ハンドブックには舞鶴鎮守府に所属している艦娘についての資料が簡潔に纏められおり、その中から駆逐艦の覧から射撃場に居る4人の艦娘の顔を確認する。

 

 

(陽炎型駆逐艦『野分』『萩風』『舞風』『嵐』。編成から見て駆逐隊か)

 

 

ページを進めて艦隊編成表を確認する。

 

 

(第4駆逐隊を再編した資材収集の遠征部隊か……にしても顔が窶れてるみたいに見えるが)

 

 

スコープ越しに見える彼女達の表情は暗い様に見える。だが遠距離からスコープで目視でそれを確認するには遠すぎるため、此処からでは表情を伺い知る事は出来ない。

 

 

「おいクリス、基地の警備や防備はどんな状態だ?」

 

「あ……あぁ。連装対空機関砲が20基、ホーク地対空ミサイルが10台にレーダー管制車も居るぞ。その他にも装甲車や武装ジープもあちこちに居るな。警備兵も小銃と軽機関銃で武装してる」

 

「平時の基地警備にしては大げさだな」

 

「あぁ、明らかに異常だ。何かあるのか?」

 

 

 

通常、平時の基地警備にしては異常だと感じる2人は何かが起こるのではないかと思った。

 

 

「ドローンを飛ばしてみるか」

 

 

そう言うとクリスのバックパックから迷彩服を着た妖精達が現れる。

 

 

「艦長、スキャンイーグル組立て開始します」

 

 

妖精達はバックパックから分解されたスキャンイーグルのパーツを取り出して、手早く組み立てた。

カタパルトにセットして、射出準備に入る。

 

 

 

「飛ばせ!」

 

 

打ち出されたスキャンイーグルは、妖精達の操作で舞鶴鎮守府へ向けて飛行を開始する。

端末画面にはスキャンイーグルのカメラ映像が写し出される。

 

 

「ん?」

 

 

ふと鎮守府の正門前に一台の車が停止した。

門の扉が開かれると黒塗りのセドリックが鎮守府内に入る。

すると、鎮守府の庁舎玄関から白い軍服に身を包んだ男が小走りで駆け寄り、車の後部ドアの前に立つと同時にドアが開き、中から黒いスーツを着こなした男が出てきた。

 

 

「こりゃもしかしたらもしかするかも……」

 

 

スキャンイーグルの高度をギリギリまで下げて、その男が何者なのか、車のナンバーを控える。

 

 

「白い軍服の男は舞鶴の提督に間違いないな。問題はこのスーツの男だな」

 

 

取り敢えずスーツの男の画像と車のナンバーの画像を保管し、スキャンイーグルを帰還させる。

 

 

 

 

 

 

続く




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