艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
バークらが潜水艦狩りをしている頃、ハワイ諸島南回りを担当しているクリスらバトルグループβも潜水艦を捕捉していた。
「居るな。数はざっと20と言った所か」
曳航ソナーとヘリのソナーは敵のソ級を中心に、カ級とヨ級が固めており潜水艦隊を様相を捉えており、音紋からソ級を旗艦とした4隻の艦隊が5つのグループを構成している模様で、クリス達の現在位置から180度の範囲で展開しており、待ち伏せの態勢を取っている。
「20な中々骨が折れるな」
「でも、仕留めがいがあるわ。一度に20隻も沈められれば敵にとっては大きな打撃よ」
「でも20隻もの潜水艦なんて全て仕留め切れるのかい?」
「皆が連携すれば不可能じゃない。こっちには最新テクノロジーの目と鼻がある」
そう言うとクリスは戦闘態勢に入る。
「向こうは既にこっちに気付いている。向こうが戦闘態勢に入る前に仕留める」
「先手必勝って奴ね」
「あぁ。敵を纏めて仕留める。今から指示する方位と距離に向けて爆雷を撃ち込んでくれ」
クリスは第6駆逐隊とヘリに攻撃位置を指示し、展開している敵潜水艦隊の左右両翼に爆雷による攻撃をして敵の陣形を崩し、そこから敵艦隊を取り囲む様に攻撃をしながら1ヵ所に敵艦を集め、最後は集中攻撃で纏めて仕留めると言う作戦だ。
「第6駆逐隊、攻撃開始っ!」
手筈通り第6駆逐隊は爆雷攻撃を開始した。
放たれた爆雷は敵潜水艦隊の左右両翼に着水、水中で激しい爆発を起こし、攻撃位置に就こうとしていたカ級とヨ級、リーダーのソ級らを混乱させる。
敵艦隊の動きはクリスのヘリが吊り下げソナーを使って逐一監視しており、データリンクによりリアルタイムでクリスのサングラス型HUDに表示される。
「いいぞ。敵は罠に掛かりつつある」
読み通り敵潜水艦隊は左右両翼からの攻撃に押され、包囲網を解いて後退していく。
普通の潜水艦なら攻撃を受けた際は潜るのが鉄則であろうが、何故か敵潜水艦隊は潜る事はせずに、深度を維持したまま爆雷からの攻撃に耐えながら下がっていく。
「下からの圧力は効果抜群だな」
クリスのその言葉が意味する事は、この後直ぐに判明する事になる。
敵潜水艦隊は爆雷攻撃で追い詰められていき、運悪くカ級1隻とソ級1隻が爆雷の直撃を受けて、海中で爆散してしまい、海上に水柱と共に残骸を吹き上げた。
「2隻仕留めたか……まぁ問題はないか」
本来ならこのタイミングで敵艦を撃沈するプランは無かったが、クリスは偶然と割り切り攻撃を続けさせる。
攻撃開始から1時間が経ち、敵潜水艦隊は集結予定地点へと見事に誘導され18隻もの敵潜水艦が1ヵ所に纏められた。
「そろそろか。ソナー手、攻撃位置は?」
「ピッタリです。丁度彼女達の真上に位置しています」
「よし!合図のピンを打て!」
クリスのソナー手がアクティブソナーのスイッチに指を掛ける。
「3、2、1、0、now!」
ソナー手がアクティブソナーのスイッチを押すと、ピンガーが3回放たれる。
「全艦魚雷戦!魚雷斉射、fire!」
その瞬間、海中深くで空気が抜ける音と幾つもの推進音が響き、1分後、敵潜水艦隊は足元から大きく突き上げられた。
「!?」
足元で突然起きた強烈な爆発により発生した水圧は瞬く間に広がり、カ級、ヨ級を次々と押し潰し、ソ級は水圧から艤装が破損していき、やがてカ級とソ級と同じ運命を辿る。
「マサカ!罠ニ掛カッタトデモ………」
最後のソ級は自分達が罠に掛かり、見事に敵にしてやられた事を悟った。その直後、そのソ級も水圧に飲み込まれ一瞬のうちに押し潰されてしまった。
「敵艦消失、反応無し!」
「了解。アリー達がやってくれたか」
クリスが視線下に向けた先の海中には、魚雷攻撃を終えたアリゲーターガー以下のバトルグループδが居た。
クリスが先に述べていた"下からの圧力"とはアリゲーターガーらの事であり、今回の攻撃は海上と海中の味方同士が敵潜水艦艦隊を囲い込み、攻撃を行うという敵集団相手に有効な作戦であった。
「まさかこんな連携の方法があるなんてね」
「さながら敵は魔女の釜に放り込まれた運の悪い連中と言った所か?」
この作戦は後にハワイ諸島一帯の敵潜水艦隊撃滅に貢献する事となり、作戦遂行に大きな影響を与える事になった。
続く
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