艦隊これくしょん the last aegis 作:明日をユメミル
ハワイ奪還作戦の序盤戦とも言えるオペレーショントライデントは、開始から僅か1週間の間で華々しい戦果を挙げていた。
60年先の科学技術の結晶とも言えるクリス、バーク、アリゲーターガーの3人はこれらのアドバンテージを存分に活かし、それぞれが受け持つ海域で潜水艦を発見次第、次々と仕留めていき、今ではハワイ諸島北と南の海域を群雄割拠していた深海棲艦の潜水艦は上位個体を含めてその数は大きく減らしている。
深海棲艦側も1週間のうちに多くの潜水艦が消息不明となっている事態に対して、駆逐艦を中心とした水上艦の部隊に調査を命じ、友軍潜水艦が消息を絶っている海域に足を踏み入れていた。
「target lock。sm-6 fire!salvo!」
水平線の彼方から超音速で飛来するミサイルによる飽和攻撃により消息不明となり、また別の海域でも同じ様に消息を絶つ艦艇も相次ぎ、ハワイ諸島に張り付いている深海棲艦側も疑念と警戒心を強め、その海域に向けて潜水艦や艦艇を出す数を渋り始める。
「先ずは当初の目的は果たせているみたいだな」
報告書と国連軍の偵察結果からオペレーショントライデントは順調に進んでいる事を理解する長門。
「そろそろ、Xdayも近いんじゃない?」
陸奥の問いに長門は腕を組んで応えた。
「あぁ。もう間も無くだろう」
その言葉に、ミッドウェー基地の作戦室に居る戦艦組や作戦を指揮する国防軍の幹部達の表情に緊張が走る。
「後は政府がGOサインを出すだけですね」
大和はそう言った。
「しかし、今の政権は慎重すぎる。下手すれば作戦開始のタイミングを見誤る可能性は捨てきれんな」
「そうだな。タカ派になれとまでは言わんが、GOサインを出すなら早いに越した事は無いんだがな……」
国防軍の幹部達も現在の政権が異様な程に慎重な姿勢を持っている事に焦燥感を持っている。
昨年の選挙で誕生した新政権は、以前の政権程、勢いがなく、軍事以外にも様々な政治的決断を下すにも異様な程に時間を掛けている。
慎重な事は悪い事ではないが、慎重になりすぎるといざと言う時に重大な決断を下せない可能性がある。
「まぁ政治的な事に関しては我々は口を出す立場ではない。焦らず期を待とう」
長門のその言葉にこの話題はお開きとなる空気となり、次なる議題に移ろうとした時………
「失礼します!」
少し慌てた様子で国防省の職員が作戦室に入ってきた。
「何事か?」
「たった今、政府から秘通6が入りました」
「秘通6………」
この世界の日本政府は各省庁に対して指示を出す際に使用される独自の秘匿通信回線を持っており、6番は国防省へ指示を出す際に使用される秘匿回線である。
『秘通6』とは秘匿通信6番の略称であり、この回線は普段は政府が国防省を通じて国防軍への軍事に関わる重大な指令を発令する際に使用される、特に秘匿性の高い通信回線であり、その回線が開かれていると言う事の重大さは国防省や軍の幹部から誰もが知っている。
長門は机の上に置かれた専用の固定電話機の受話器を取り、耳に当てて電話の向こうの相手と会話を開始した。
「はい、私です」
長門は電話の相手と会話しながら片手て鉛筆を持ち、側にあったメモ用紙に会話の内容を記録していく。
「承知しました。では、その通りに進めます」
会話を終えて受話器を置き会話を終えると、回線を切断った。
「長門さん、今のお電話の相手は?」
「首相からだ。どうやら重かった腰が思いの外早くあがったらしい」
一呼吸置いて、その場に居た全員に告げる。
「Xdayが決まった」
続く
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