美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
七村穂高side
白峰には、島の史跡巡りでもしてくると言ってある。このあたりとこのあたり、最後はここだと具体的に説明した。そうしなければ班長として把握していないことへの責任を感じるだろうから。
「首を斬られるほどの覚悟はないとか、どんだけ勉強してんだよ」
おそらく俺の言わんことをしっかり理解して切り替えしてきた。いまから1000年前だったら和歌で返したことだろう。今度清少納言さんとでも皮肉ってやろうか、「世にあふさかの関はゆるさじ」とかにやりとして返してきそうだ。
海沿いだとだれかに見つかる可能性があるから島の中央部へ行く。上り坂をのぼっていくと住宅街になり、学校や図書館のような建物が見える、昼間だから閑散としている。
遠足のしおりや地図、スマホのマップアプリを見ながら、古いお寺や神社を巡ってみる。島で一番大きな神社の解説版を読むと、赤いひょっとこばかりのはやしが毎年7月末に行われ奉納されるとのことだ。タコが名産で重要なたんぱく源で、島の飢饉を救ったことに由来するらしい。そのせいなのかひょっとこの顔をしているのに吸盤つきの足が八本、これどうかんがえてもタコだろうという石像が鎮座している。そのほかに城跡もあった。どうやらここの大名が敵に攻め込まれた時にたてこもったらしい。石垣が幾重にも連ねられているが下の石垣が上の石垣を見えなくさせるという巧みな作り方になっている。
楠木正成もそんな城をつくってたよなあと思いながらぼっち時間を楽しむ。そんなことを考えていたら一瞬白峰の顔がよぎる。あいつならどんな感想を話してくるだろう…
いやいやおれはぼっち時間を楽しむんじゃなかったのか…
城跡を巡って、本当にうまくつくられてるなと感心する。城跡を巡ったらだいぶ疲れたのでふもとまで戻ることにした。
遠目に観光客や高校生の姿が見える。あそこまで言ったら呼び止められるだろう。
幸いにもそこまでいかずに古ぼけた看板の駄菓子屋をみつける。
丸眼鏡かけたおっさんの元気ハツラツオロナミンCだの塩、たばこだの、おばさんが笑顔のボンカレーなどの、高校の周囲ですらみることのできないブリキ看板がかかっている。
俺はコーラを買って店の前のプラスチック製のベンチに腰掛けてのどをうるおす。
ベンチの背にもなにかの広告があったようだが消えていて読めない。
さて班に合流しなければならない。しかしけっこう寄り道をしたせいで最初に白峰に話したルートとだいぶ違ってきている。幸いにもまだ30分以上時間はあるからこんどはだれか知り合いをさがさなければならない。しかし家族以外でLEINにアドレスが入っているのは3人だけ。
白峰と星ヶ崎となぜか花見辻の名前がある。場合によっては美少女ばかりじゃんとうらやましがられるがなりゆきでそうなっただけだ。
そんなことを考えていると遠目に見覚えのある金髪ツインテの人物が見えた。東谷高校でもツインテは多いが、黒髪メガネのツインテ少女が多数派で金髪ツインテしているのは一人しかいない。憧れられる割に意外に少ない属性だなとおもいながらもその人物にLEINを送る。
(いきなり悪い、白峰か白峰の班見なかったか?)
(え、どうしたの?近くにいるの?)
星ヶ崎は周囲を見回し、遠目に俺に気が付いたようで手を振ってきた。
(あ~こっちこなくていいぞ。班からはぐれたらやばいだろ。)
(七村はどうしたの?班とはぐれた?迷子?)
(そんなところだ。それより白峰か白峰の班見なかったか?ここ数分以内で)
(う~ん、それっぽい人は見たけど、みんな今日は制服着てないでしょ。だから自信ないな。)
(どこでみたんだ?)
(干物屋っぽい店のちかく。)
周囲を見ると干物をぶらさげた店があって、そこから山のほうへいく道がある。
あ~そうだった。俺はあの道からくだってくるみたいな話を地図を見せながらしたんだと思いだす。
(七村は委員長の班だよね?)
(いろいろ事情があってな)
(事情ってなに?)
(気にするな。遠足楽しんでくれ)
きょろきょろと周囲をうかがう。白峰の服装を思い出しながら探す。
ほそい路地があったので進んでみるとゲーセンやドンキの前でたむろってるような柄の悪い男たちいる。その前に見覚えのある顔があった。白峰だ。
「その優等生面気に食わねえんだよ。」
「ああ、俺らのことなめとんのか?コラ」
「よく見たらけっこう
「いいねえ。」
どう考えても俺を探しに来て何らかの理由でからまれたとしか思えない。クラスメートしかも同じ班員がからまれているのにここで逃げるという選択肢はない。警察呼ぼうかと思ってもいつくるかわからないし、周囲の人間も面倒ごとにはかかわりたくないだろう。
思い切って息をすいこんで
「おい、お前らなにやってんだよ」
と叫ぶ。
「なんだテメー関係ないだろ」
「俺だってお前らのようなチーマーだかヤンキーになんか興味ねえよ。」
「なんだと?けがしたくなかったらすっこんでろ、コラ」
白峰に今のうち逃げろと視線で合図するが、義理堅い彼女は、そんなことできないのはわかっているだろうという視線でわずかに首を横に振る。
「テメーなめたクチきいてんじゃねえぞ、クソガキが」
「誰に向かって口きいてんのかわかってんのか?コラ」
「誰に口きいてんのかわかるわけねーだろ」
俺はこぶしを握り締めてファイティングポーズをとる。
男たちは肩をいからせほくそえみ、指をならしながら近づいてくる。
下半身がら空きだな。
俺はそいつらの足をはらい、いちもくさんに逃げ出した。
転んだ奴らの叫び声が聞こえる。
「おいテメーにげんなこら」
「こっちこいや、クソガキ」
「うっせー、誰が戻るか」
男たちとの距離が開き、もう少しで海岸だ。そこにはたくさん人がいる。俺は息を吸い込んで
「うわああああああああ~~誰か助けてくれえええええ~~~犯されるううううううう」
と叫んだ。男たちは一瞬ひるむが
「適当言ってんなよ、コラ」と追いかけてくる。
「助けてええええええ~~~俺の貞操が危ないいい いやあああああ」
なんだなんだとたくさんの人が集まってきた。