美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
七村穂高side
俺は、激しい痛みと血で視界が半分なくなっている。
「七村、死ぬな。死なないでくれ」
白峰のうわずった甲高い声だけが聞こえる。
そんなに涙浮かべて顔をくしゃくしゃにして。
怜悧な美貌がだいなしじゃないか。
そんなことを思いながらも気が遠くなっていく。
ああ、俺は死ぬんだな。
意識が遠くなっていった。
どのくらいたっただろうか。
気が付いて目が覚めたら、自宅のベッドの上だった。
「!!」
俺は意識不明になったけど助かったのか...
しかしまったく後遺症のようなものがある感じではないのに違和感を感じる。
部屋の様子が変だった。買ったはずのラノベが本棚にない。
それから家具に付けたはずの傷がない。
まさかと思い、ふとカレンダーや時計を探す。
4月をすぎている。
ああ、入院して退院したのかと思ったが、やはりなにかおかしい。
ラノベじゃあるまいし、パラレルワールドに転生した?
よくよくカレンダーをみるとおかしなことに気が付く。
3年前、入学式の直前の日付だった。
パラレルワールドではない、タイムリープなのか。
3年間使ったはずのスマホがやけに目新しい。
鏡を見る。どう考えても微妙に若く見える気がする。
「お兄ちゃん」
妹の皐月の声。
パジャマを着た皐月は、死ぬ前、リープ前と言ったらいいか、に比べていやに幼く見える。
「そうか...。」
「どうしたの?わたしの顔なんかじろじろ見て」
「いや、なんかかわいくなってんなと思って」
「何考えてんの?なにも出ないよ。それより入学式はいいの?」
「入学式い?」
「入学したあと高校デビューだ、今度こそ彼女作るとかはしゃいでいたじゃん。」
「あ~なんだって」
(そんなこと考えていたのか3年前の俺は...)
「いやいくらなんでも高校3年間ぼっちで通してきた俺だぞ。そんなに浮かれているわけないだろ?」
「高校3年間ぼっち?まだ入学してもいないのに?」
妹に言われて気が付いた。何を言っているんだ俺は...
「ちょっと錯乱しているようだ。すまん。」
「それ全然大丈夫じゃないよね。」
「穂高、皐月ごはんよ~」
母親の声を聞いて食堂へ行く。
オヤジがなにかつぶやっていたようだが聞き流す。
皐月が何か楽しそう話している。
母親の「行ってらっしゃい」が耳に残った。
入学式。目新しい制服に身を包んだ生徒たちが一斉に前をむいてステージの中央の講壇を見つめている。校長や生徒会長のあいさつがある。
さすがに進学校だけあってまじめな感じ。
私語がなくしんとしている。
むしろ校長や生徒会長が笑いをとろうとする感じだ。
入学式が終わったらHRだ。
自己紹介で久野とかいうやつが朝犬の糞をふんづけたらしい。誰か慰めてくれと笑いをとっていた。中学時代野球部で活躍したこともしっかりアピール。自分なら必死に靴を洗ってにおいを気にしてびくびくするところだがさすがに陽キャなやつはちがうなと聞き流していた。
自分の番が来た。まさか3年前から転生したというわけにもいかず、名前と出身中学と読書がすきだと自己紹介して目立たず、なめられずを心がけた。
HRが終わって帰ろうとしたとき、
「ちょっと」
甲高い女子の声が聞こえてきた。無視しようとしたら
「ちょっと、七村くん」
名前を呼び止められた。
前から自分を知っていたような感じの違和感を感じて振り向いた。
ふり向いたら黒髪ロングのストレート、品行方正、優等生を絵にかいたような美少女にそでをつかまれていた。白峰真白だ。
最初、しらないふりして
「しろ...むね...」
とか言ってみたが、通じない。しかも自分が無事でよかったような、何か知っているような口ぶりだ。俺も確信した。白峰は
「七村くんも3年後の記憶があるんだな?ありがとう。君がつきとばしてくれなかったら私は死んでいた。本当にありがとう」
とお礼を言ってきた。彼女の目には涙がにじんでいた。
「恩に着せるつもりはないがどういたしまして。」
と俺は白峰に応えた。
「とにかく七村くんが無事でよかった。ほんとうに祈りが聞かれるとはな。」
「祈り?」
「ああ、そうだ。」
彼女によると、小学校、中学校時代に聞いた聖書の話を思い出し、祈ったのだという。
「聖書のはなしのとおりってどうやったんだ?」
とたんに彼女の白いほおが赤くなる。
すると彼女から旧約聖書列王記上にでてくる預言者エリヤの話を聞かされた。
「で、白峰は、エリヤのまねをしてだれもいないのをいいことに三回俺におおいかぶさったと」
「いっとくけど君がすきなわけじゃ..いやいくらかは好意は持っていたかもしれないが、他意はないから...人工呼吸のようなものだ。」
クールビューティーを絵にかいたような白峰が顔を赤らめてそっぽを向く姿はいやにかわいい。
「ところで白峰?どうして3年前なんだ」
「ああ、わたしも考えないでもなかったが、わたしはクラス委員長だろ。」
「いやまだなってないだろ。まあ数日後には選ばれるが」
「そういうわけで、君が高校生活をぼっちで過ごしていたことがずうっと気にかかっていた。
だからこんどこそ充実した高校生活を過ごしてほしいとの願いも込めたんだ。君は命の恩人だしな。」
「しかし、何千年も前の聖書の話が、今起こったとか...信じられないな。」
「わたしもだ。本当に驚いている。まあ、こんなところだ。おたがい3年後の世界からやってきた仲間ってことでよろしく。」
白峰はスマホを差し出してきた。LEINの友達登録だ。苦戦しながらも登録した。