美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる   作:Brahma

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第20話 にわとりくんと清少納言さんはプリクラを撮ったのだが...こっぱずかしいからやめてくれ(後編)

管仲は昔、鮑叔牙と一緒に商売をして、売り上げをわけるときに多めに取ったが、鮑叔は彼を欲張りだと非難しなかった。管仲が貧乏なのを知っていたからだ。また、鮑叔の名声を高めようとしたのに逆に鮑叔を窮地に陥れる結果となったのに、鮑叔は管仲を愚か者呼ばわりしなかった。物事にはうまく行く場合とそうでない場合があるのを心得ていたからだ。管仲は幾度か役人になろうとして結果を出せず、何度もお払い箱となったが鮑叔は管仲を無能呼ばわりしなかった。管仲がチャンスに恵まれていないことを察していたからだ。管仲は戦に出る度に逃げ帰ってきたが、鮑叔は管仲を臆病者呼ばわりしなかった。管仲には年老いた母が居る事を知っていたからだ。

という話なんだ。いつかみんなにも機会があったら話そうと思うけど、彼の態度にも事情がある。だから彼のことをあまり悪く言わないでもらえないか。」

「真白がそこまで言うなら。」

班員は、不承不承ながら納得してくれた。

釣り体験やらビーチボールやらいろいろ楽しんだが、帰路の集合30分近くになった。

「みんな、もうしわけない。そろそろ七村君がもどってくるころだ。迎えに行ってくる。」

班員は笑顔で送り出してくれた。干物屋の前を通過し、山のほうへ登っていく道。ここから帰ってくるという話だったのだ。

わたしは、考え事をしていたせいで何かにぶつかった。

するとそこには顔をいからせたヤンキーだかチーマーだか不良と言った感じの男が3人いた。

「おい姉ちゃん、ぶつかっておいてなにもなしかよ。」

「す、すみません。」

「声がちいせえなあ。もっと大きな声で聞かせてくれよ。」

「おい、なんとかいえよ。コラ、声がちいセエて言ってんだろ」

「すみません」

少し大きな声で絞り出すように返事をする。

「その優等生面気に食わねえんだよ。」

「ああ、俺らのことなめとんのか?コラ」

「よく見たらけっこう別嬪(べっぴん)だな。さっきの無礼は味見させてもらうことでなしにしてやってもいいぜ。」

「いいねえ。」

犯される。神様たすけてと思った瞬間だった。

連中の背後から若い男の声がした。

「おい、お前らなにやってんだよ」

驚いた。七村だ。こんな度胸があるなんて。そういえば3年後に彼はトラックにひかれそうになったわたしをかばって死んだのだった。

「なんだテメー関係ないだろ」

ヤンキーどもは七村に反問する。

「俺だってお前らのようなチーマーだかヤンキーになんか興味ねえよ。」

「なんだと?けがしたくなかったら引っ込んでろ、コラ」

七村が今のうち逃げろと視線で合図してくる。そんなことできないのはわかっているだろうと軽く首を横に振った。

それからは何が起こったのか私はあまりよく覚えていない。七村がファイテイングポーズをとったとき格闘技の心得があるのかとおもったがただのブラフだった。彼はヤンキーどもの足をはらって倒すとわたしの手をつかんで、人の多い海岸に向かっていちもくさんに逃げだした。

そして犯されるーだの俺の貞操がーだの恥ずかしいことを大声で叫んで、人があつまってきたのでヤンキーどもが悪態をついて立ち去って行った。

七村は集まってきた人たちに「お騒がせしてすみません。」と謝るとわたしの腕をつかんだまま、人通りの多いところへ行く。

「な、七村くん」

「なんだ、清少納言さん」

と返してきた。ははあ清少納言だと?わたしも助かった安心感で思考が正常に働きだしていた。わたしは心の中で苦笑し、じゃあ期待に応えてやる。百人一首の「あふさかの関」の歌に掛けて、あのけたたましい叫び声、鶏鳴狗盗(けいめいくとう)の故事で返してやる。

「へんなにわとりだったな。真昼間で変な声で鳴き出して。だが助かった。」

それにしても腕が痛い、そろそろ離してくれ…

「どうしたんだ。」

「手首が痛いんだが?」

「わ、わるい」

ようやく手を放してくれた。

彼が手を離した瞬間、わたしは、(ヤンキーにからまれましたが、七村という名の親切なにわとりさんが大声で叫んでくれたので助かりました。ぶじに集合できます。)とメッセージしたら班のみんなから指立てやら笑顔の動物やらスタンプの嵐になった。

(でなんでにわとりさんなの?)

(清少納言さんって言われたから彼女の百人一首の歌の由来である鶏鳴狗盗の故事で切り返したんだ。彼が大声で叫んだからこそ助かったんだから。)

それからきつねのコートはもってこれないからジュースでという勇敢なにわとりさんがおごろうとしても、手が震えて自販機にコイン入れられないのを手伝ってやり、一緒にプリクラを撮った。「にわとりさんありがとう」というメッセージと七村くんの頭ににわとり、自分の頭に乙姫だか織姫だかのアイコンを入れて。

その週末の教会学校高校科の先生、牧師さんにそのプリクラを見せた。

「姉妹、よかったですね。そのにわとりさんのアイコンの男の子がその彼ですか?」

「そうです。先生。素晴らしい遠足になりました。」

先生は大変喜んでくれた。

「姉妹が危険なところを助けてくれたのにお礼を言わないといけませんね。」

といいながらプリクラを貸してくれと手招きするので先生に渡す。

できあがったプリクラのカラーコピーには、「姉妹をたすけてくれてありがとう。」の書き込みがあった。

それを渡された七村の顔には、こっぱずかしいからやめてほしかったのにと書いてあった。

 

 

 

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