美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
七村穂高side
さて、遠足も無事に終わって数日後、俺と白峰は放課後、デニャーズに来ていた。はじっこぐらしのクーポン商品が複数あるために俺のアプリの分も白峰にあげることになっていた。
もともとは子どものいる若い主婦をターゲットにした企画だろうが女の子はかわいいもの大好きだ。そして女の子の来る店というのはもれなく彼氏もしくは男友達もついてくるというわけだ。
まあ、俺は白峰の彼氏というわけではないが彼女は何を考えているのか…
それのついでに、俺の投稿している小説サイトの閲覧数をみて二人でぐだぐだやっていた。するとスマホにメール着信音が届き、LEINを開くと
(今度の週末ひまでしょ。うちへ来ない?)
と星ヶ崎からメッセージが届いていた。白峰もばっちりみていた。
「君はいつのまに彼女とそんな仲になったのかな。わたしというものがありながら。」
「そういう冗談よせよ。俺も事情がさっぱりのみこめてないんだって。」
白峰はにやにやしながら
「わたしもいっしょに行ってやるから安心しろ。にわとりくん。」
「まだそのネタ引っ張る?」
「羽もいでローストした状態の呼称にしたら君を侮辱したことになるだろう?」
「いやいやそういう問題じゃないから。」
「わたしを救った名誉の呼称じゃないか。」
「いやいやあんな恥ずかしいこと絶叫しまくったのは黒歴史だから。」
タイムリープした二度目の高校生活1年目の一学期で、はやくも美少女と秘密を共有する(対星ヶ崎)、陰キャに美少女が寄ってくる(対白峰&星ヶ崎)というイベントをいとも簡単にクリアしてしまった俺にとって美少女(対星ヶ崎)の家に行くという三つ目のイベントクリアが目前となった。
脳内ファンファーレとクラッカーが鳴ったのだがそれはひとしきり。以前星ヶ崎に呼び出された時も、新作ラノベの話でも告白でもなく、遠足に同じ班にできなかった謝罪だったのを思い出す。
さて当日、俺と白峰は星ヶ崎邸の玄関口にきていた。しゃれた感じのマンションだ。
「いや七村君、ここまで来てインタホン押せないとか…その羽毛をもがないといけなくなるな。」
「清少納言だって、落魄しておにばばのようになったってものの本に書いてあったぞ。」
「まあ、鎌倉時代あたりの本には書かれたみたいだがな。でも私の名前は諾子(なぎこ)じゃなくて真白だし、清少納言は天パだったようだから私とは違うぞ。」
白峰は長くて美しい髪をふあさぁっとかきあげてみせる。
「じゃあ、俺のにわとりも白峰が勝手につけただけのはなしじゃないか。」
「まあ、そんなこと言ってても始まらん。押すぞ」
「まった、俺の覚悟が..。」
「君の覚悟をまっていたら日が暮れても押しそうにないからな。」
後ろにいた白峰の手が伸びて人差し指がインタホンのボタンを押す。
ピンポーンという軽快な音が鳴り響いて、ガチャっと開錠音がしてドアが開く。
「こんにちは、七村も委員長も来てくれてありがとう。」
星ヶ崎は笑顔だ。
「どうぞ、あがってあがって」
「おじゃましまーす」
「七村、今日はごめんねー、お兄ちゃんが無理言うもんだから~お兄ちゃんに七村のこと話したら、そいつの書いた小説読みたいって言いだしちゃって」
「ていうか、俺が小説書いてること何人に知らせてるんだよ。」
「う~んと、忘れた…。」
「なんなんだよ。俺の秘密ってそんなに軽いのか?」
「七村、ラノベ読んでるだけじゃなく書いてるってワンランク上みたいでかっこいいじゃん。だって作り手、売り手の側だよ。ほら売れれば『冴えジョ』の霜ヶ岡先輩の側だよ。かくさなくてもいいじゃん。」
「いやいやなかなかそうはいかない現実を突きつけられてるから公にしたくないんだよ。だって霜ヶ岡先輩も隠し通しただろう。」
「そんなもんなのかなあ。」
「そういえば、お前、俺の小説けなさなかったよな。」
「ああ、そういうこと。書き上げたこと自体が凄いって思ったから。」
ははあ、純粋な善意らしい。
「昨日の今日で大丈夫だった?」
「肉体的にはな。でも精神的にはだいじょうぶじゃない。お前の兄ちゃんたくさんのラノベ読み慣れてるんだろ?」
「まあね。」
「校門で待ち伏せるとか言われたら来るしかないだろう。」
星ヶ崎に先導されるまま廊下を何歩か歩いてあるドアの前で止まる。
「七村、なんか顔こわばってるよ」
「知らない人と初めて話すんだから緊張するのはあたりまえだろう。」
「だいじょうぶだって。だってお兄ちゃんもオタクだから。」
「ああ、星ヶ崎に影響与えたのもお兄さんって話だよな。」
「うん、わたしこう見えても小さい頃は引っ込み思案で家にいること多かったからめっちゃ影響受けちゃったよ。」
「まあ、オタクということであれば…。」
目立たない風采のラノベや同人誌、アニメショップなどでよく見かけるタイプを思い浮かべて自分をはげます。
「お兄ちゃん、開けるよ」
星ヶ崎がノックしたら
「おう」
という返事があった。
開けると、美少女キャラのタペストリー、ラノベやコミックと思われるカラフルな文庫や新書判がぎっしり詰まった本棚、奥には、木目調のデスク、手前のローテーブルには、最近アニメ化されたき〇ら系とおもわれる大判コミックが何冊か積んである。
しかしデスク前のキャスター付きの椅子に座る男性は周囲に比して異質だった。
明るい茶髪が似合う笑顔がさわやかなイケメン。アニメなどでは笑顔をつくったときに葉がきらりと輝くようなタイプ。その男性はニカッとほほえむと
「おお、君が噂の七村く…。」
バタン。俺はドアを閉じた。
「どうしたの?七村?」
「あのさ、星ヶ崎何か間違えていないか?お前の彼氏のようなチャラ男がいたぞ。俺はお前のオタクなお兄さんに会いに来たつもりだったが…。」
「いや違うしってか、まだ彼氏とかいないから。」
「ほんとうか?お前だってその容姿だぞ。もてそうじゃん。」
「俺が想像したと違いすぎてパニくっているんだよ。あの陽キャオーラはオタクじゃないだろ。景品表示法違反レベルだ。」
「七村、オタクへの偏見凄くない?」
「いやすごくないぞ。単純におしゃれじゃないから安心できるタイプというだけのくくりだ。」
「確かにお兄ちゃんはチャラいけど、わたしよりラノベ読んでるし。兄妹そろって見た目に気を使ってるというか、おしゃれにしているからオタクに見えない気はするけど...」星ヶ崎はあごに手をあて考え込む感じになった。