美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
「そういえば、穂高、こないだGA文庫から出たこのラノベ読んだか?」
ときいてきた。
「紅也さん」
「なんだ?」
「実は星ヶ崎にも感想を聞いたら、開口一番全く同じ事きかれました。」
紅也さんは大爆笑だった。
「まあ、それはともかく、この星野スペングラー英璃花って『冴えジョ』の谷村英美梨や『彼女もヒロイン』の星野利香がモデルなのか?しかしなんとなく瑠璃にも似ているな?」
「はあ、わかりますか…。」
「それから、この白羽真雪って、一見『アクセルデュエル2039』の黒葉深雪に似ているようだけど、さっきの委員長だっけ?あの娘に似ているような感じもするな。あともう一人のヒロイン華辻美宙は、オリジナルっぽいけどあまりにも具体的だからモデルがいるだろう。」
「はあ、そうです。」
「ベタネタをうまく組み合わせていると思うよ。高1でよくここまで書けたな。」
「星ヶ崎にも全く同じこと言われました…。」
「そうかそうか、わっはははは…。血が争えないのかなおれら兄妹」
俺は、小さなうめき声を出すしかない感じだ。
「瑠璃たちはまだ向こうか。」
「そうだと思います。」
「そうか…まあ、これはぶっちゃけ柄じゃないんだが…。」
紅也さんの顔つきが真剣なものになり、いきなり椅子から降りて両手をついて頭を下げてきた。
「遅くなったが、本当にありがとう。」
「え?どうしたんですが?実は俺の小説はおもしろかった?」
「いやそうじゃない。小説はちゃんとつまらなかったのだが。」
「瑠璃から聞いてる。先日瑠璃のこと助けてくれたんだってな。それについて穂高にはちゃんとお礼を言わないといけないと思っていたんだ。本当にありがとう。感謝している。」
紅也さんが神妙な顔つきになって俺の顔をみつめている。
「もしかしてそれを言うために俺を呼び出したんですか?」
「そうだ。瑠璃にいうと、『なんでわたしのことでお兄ちゃんがお礼をいうわけ?七村にはちゃんとお礼するから、はずかしいからやめて。』と言われそうだからな。
兄として瑠璃のことは気になってるが、学校内のことはどうにもならんし、穂高がいてくれてよかった。」
紅也さんはそこまで言うと照れくさそうに顔をそむける。
「仲いいんですね。」
「ああ。」
「紅也さんもけっこうなシスコンですね。」
「悪いかよ。兄なんか大なり小なりシスコンだろ。穂高、妹はいないのか?」
にやりと俺を見る。
「い、います。」
「なら、俺の気持ちもわかるよなあ。ちなみにこんな感じ?」
八重歯のある、ストレートショートボブのかわいい女子だ。しかしこれって…
「比企八旗の妹の米子じゃないですか?」
「違うのか?」
「うちの妹はポニーテールで…あつ…。」
紅也さんのにやにやがとまらない。
「そのへんでやめとくよ。そういえばうちの妹のどこがよかったんだ?」
「いやまじでそんなんじゃないんで」
「そうか、残念だな。あ、そうだ、せっかくだからLEIN交換しないか?」
「え、なんでですか?」
紅也さんは少し考えると、
「俺もラノベの話をする友人はほしいし、それに瑠璃に彼氏ができたら教えてほしいんだ。」
「教えてどうするんですか?」
「相手が瑠璃にふさわしいかどうか確かめる。」
「シスコンだ….」
「だからそういってるじゃん。彼氏云々は、穂高にも責任があるぞ。」
「どうして?」
「自慢じゃないが、瑠璃は美少女だ。彼女にできれば穂高にとってはラノベ主人公ってとこだろう?俺も安心できる。それともあの委員長の娘がいいのか?」
「ていうか恋愛脳すぎませんか?」
「あれ?穂高はラノベ読んでるだろ?なんで恋愛脳にならないんだよ。そうか、そういうことか?」
「?なんですか?」
紅也さんは俺をびっしいっと指さした。
「君の小説の最大の欠点は経験値が足りないこと。だから小説もたんたんとしたものになる。もっと恋愛すべきだ。」
そういっている間にLEINのアドレス交換を終える。紅也さんは。スマホの画面をみる。
「てか穂高のアイコンってデフォルトなんだな。そういうやつひさしぶりにみたわ。」
「何かテンション上がってませんか?」
「ふつうアイコン設定するもんだとおもってたからな。何なら設定してやろうか?」
「いや、いいですよ。」
「まさかアカつくったばかりじゃないよな?」
「中学の時スマホ持ったときにつくったやつですよ。」
「天然記念物だな。さすが瑠璃がこれまでの人生で、穂高以上のぼっちは見たことないと言っただけはあるな」
「あいつだいぶ失礼なこと言ってるな」
「いや、事実だろう。いやなら瑠璃か委員長って娘とつきあうか、華辻ってキャラのモデルの女子とつきかうかだな。ぼっちから一挙に彼女もちだぞ。」
「いやだからそれは…ああっと、そういえばそのラノベ読みましたよ。」
俺は話をそらす。紅也さんは、何か戸惑ったように
「ん、なんだ?」
と返す。
「その先月出た新刊ですよ。やっぱラノベは、冬が近づくと終わりが近いな~と読んでてしみじみとしちゃいましたよ。」
「おお、これ良かったよな。俺って一人目と二人目のヒロインレースが硬直したところにかき乱してくる三人目のヒロイン大好き人間だからさ。シリアス展開になるとどうしても当人たちの動きが鈍くなってくるから、メインからちょっと外れたところにいる一見サブヒロイン的なキャラがここへきて効いてくるよな」
はじめは、俺のリアルにからまないか警戒していたが、紅也さんのラノベ好きは筋金入りで楽しくて時間があっという間に過ぎてしまった。共通言語があるとあっという間に親しくなれるなと実感した。
「お兄ちゃん、そろそろ…。」
ドアが開き金髪ツインテの美少女が顔をのぞかせる。星ヶ崎が様子を見に来たのだ。
作中作解説
〇『彼女もヒロイン』
海野 直 品行方正な優等生。ひろみのことが好きだが、同居している婚約者の咲紀にも惹かれている。
海野 恵 中学生。ブラコンで実は兄に恋愛感情を持っているので、ひろみを警戒している。咲紀と仲が良く直と結ばれるようけしかけている。
天野咲紀 赤っぽい髪のツインテ美少女。直の取り違え子で婚約者だが、友達的な関係に近い。
紫野瀬ひろみ 優等生で神社の娘。直とクラスでトップ争いをしている。負けず嫌い。直に対し思わせぶりな態度をとる。直は彼女のことが好き。
星野利香 金髪ツインテ美少女。ミリカというアカウントでVtuberをしている。直のことが好きで迫ろうとするが、咲紀とひろみがいるのでスルーされている。
〇『アクセルデュエル2039』
ネックフィアという首につけられた通信端末をつけた子どものみが参加できる1000倍の加速をするフルダイブ型VR格闘ゲームで交流したり戦ったりする少年少女の物語。学校ごとにクランが置かれ、ゲーム世界は純色の七王による七大クランに支配されている。
有馬雪生
杏郷中学校1年。太り気味で背の低い主人公。スクールカースト最下位のいじめられっ子だがヴァーチャルゲームの球技では一流の反応速度を示す使い手でもある。黒葉深雪からネックフィアにアクセルデュエル2039をインストールされる。
黒葉深雪
杏郷中学校2年で生徒会長。黒髪ロングな美少女。全校生徒のあこがれだが実は超ゲームフリーク。「もっと早くなりたくないか」と雪生をさそい、彼のネックフィアにアクセルデュエル2039をインストールする。本作の白峰真白のように男性じみた口調の話し方をする。