美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
俺は、坂戸に呼び出された。
「
「優梨愛って誰だ?」
「お前、クラスメートの名前も知らないの?」
「ああ、遠足の班員の名前さえも忘れかけてるくらいだからな。」
「柊の下の名前。」
「柊から聞いたのか。俺はてっきりお前が星ヶ崎の新しい弱みでも知って脅してるんかなと思って柊にさぐりいれさせたんだよ。どうやら無関係だったようだけど。」
「知ってるわけないでしよう。それにあの件は全部お前が悪いんだからな。」
「へえ、あんとき俺は黙っててもよかったんだぜ。めんどくさいし。ラノベなんか後でもう一冊買ってもよかったんだからな。」
「さいって~」
「へえ、さいてーか。恐ろしいこと教えてやろうか。もしあのときおれがだんまり決め込んでたらどうなってただろうな。柊は星ヶ崎に味方したかな。」
「…。」
「わかるだろ。お前に追い詰められて星ヶ崎は不登校になったかもな。」
「まさか…そうであったって、お前のしたことは変態じゃないか?」
「そうか?リュック間違えただけだぞ。掃除のとき机動かしちゃうよな。誰のものか分かってる前提で。あのリュック星ヶ崎が持ってたってあのときまで俺知らなかったからな」
「はあ、やったことにはかわりないだろ?何偉そうなんだよ。」
「ああ、そうか坂戸はそういうこと全くなかったんだな。人のもの間違えてひろったことはないと。」
「ばっかじゃない。今はお前のしたことだけが問題だから。」
「じゃあ、俺も坂戸が星ヶ崎に疑いかけて追い詰めたことだけ問題にするぞ。とにかく確実に星ヶ崎は孤立しいたたまれなくなって、学校に来なくなる。その原因を作ったのはお前だ。悪事ではなく人の趣味嗜好で星ヶ崎を追い詰めたわけだ。そういういじめっ子の末路はどうなるか。今度は星ヶ崎の不登校の原因だったお前に視線がつき刺さることになる。」
「そんなことあるわけないじゃん。なにバカ言ってるの?」
「俺は知ってるんだよ。そうなるのをな。俺以外にも知っている奴がいる。お前に信じてもらわなくてもかまわない。かえってそのほうが都合がいいからな。まあ、いじめっ子が孤立した時にどうなったか。お前も自分の胸や経験に聞いてみたほうがいいよ。」
「ばッかじゃない、えっらそうに。」
坂戸はあざわらうように出て行った。
しかし数日後坂戸は青ざめて、俺のことを見つめていた。
「ああ、坂戸さんに聞かれたから、話しておいた。あのとき七村君が名乗りでなかったら星ヶ崎さんが不登校になって、君も不登校になっただろうね、と。もちろん信じてもらわなくてもかまわない。かえってそのほうが都合がいいからとも言っておいた。」
期末テストの一週間前になった。
「はい、みんな聞いてくれるかな。今日からテスト週間なので、部活動は休みになります。もうテスト範囲も知らされていると思うので、しっかり勉強してください。じゃあHR終わります。」
「起立、礼」
「お疲れさまでした。」
「うおっしゃあああ」
運動部の連中は雄たけびをあげる。いやなら入らなけれないいのに、と思うのだがそうではないらしい。野球、サッカー好きでも、東谷高校は、進学校でそこまで部活は強くないし、緩い。一回戦負けじゃなければいい感覚でやっている。高校生活を充実させるという考え方の部員も多い。だからどこの部活もうまくいって県大会ベスト4どまりだ。ただし、弓道部など個人競技でインターハイ、天文部、地学部は、文化祭と地学オリンピックに力を入れ、地学オリンピックでは本選出場の常連校だ。だから普通の高校にはあまりない地学が選択できる。あとは、かるた部だ。百人一首狂がそろうかるた部は近江神宮出場の常連校といってよく、夕星高校と県大会決勝をいつも争って勝ったり負けたりしている。現代文についてやや甘いが、古文については、顧問と部の名誉を守るため学年10位以内を独占することを目標にしている。古文の成績は、学年順位をかるた部と白峰、俺のトップ争いになっている。地学の成績も白峰と俺のほか地学部や天文部とのトップ争いだ。
「委員長、中間は同点だったな。」
「西田君、わたし以外にも強敵がそこにいるぞ。」
白峰は、あごで俺のほうを指す。
「七村…。お前も古文よかったのか。」
「ああ、白峰と同点で97点だった。」
「こりゃ満点取らないといけないな。燃えてきたぜ。かるた部の実力を見せてやる。」
「百人一首全部暗記するとかばけものみたいなやつに認められてるなんて光栄だよ。」
めずらしく男子と話したな、と思った。これもタイムリープの成果だろう。1年の国語の出題内容もわかっていたし、前回は小説ばっか書いていて全科目平均点前後だった。
「委員長。」
「地学部の桜井さん、天文部の明野さん」
「期末こそ負けませんから。」
「といっても同点じゃないですか。」
「部活の違う人に同点されることが屈辱です。」
「七村君も同点だったんだけど。」
「えっ…。」
「わたしは、数学と英語で彼に勝ったけど僅差だった。世界史も並ばれた。」
桜井と明野は驚いた顔で俺を見つめている。
HRが終わっても教室の中はにぎやかだ。放課後をどう過ごそうか相談している。
テスト期間だから勉強しろよと思うのだが
「カラオケいかね~」「絶対勉強しねえやつじゃん。」
「楽しくやったほうがいいじゃん。自分以外は作業用BGMだし。」
「同じ部屋で歌ってたらうるさくね?」
「べっつにー、音楽かけて勉強してっから。」
「みほんちで勉強会しようってはなしになってる。いかない?」
「いくいく~」
「じゃあ行く途中で、円井とかいかない?夏物みたいし。」
「いいねえ。」
「部活休みだからゲーセン行こうぜ。」
「部室で勉強しようっかな~。」
「そんなこと言って、練習将棋はじまっちゃうだろ。」
「うちの家、弟と妹が騒々しくって集中できねえんだよな。」
「部室行ったら望遠鏡磨いて、観測始まっちゃうかもな。今日天気いいし。」
「それじゃあ、意味ないじゃん。」
「とかいって、桜井さん、テスト勉強より地オリの過去問集はじめちゃうでしょ。」
「あ~夏アニメいいのはじまってるんだよ。今季はお気に入りいっぱいある。」
「ネットで見ればいいじゃん。」
「リアルタイムで見たいじゃん。」
「テスト期間ってさ、やたらに本読んだり、小説書きたくならね~」
「なるなる。あれって不思議だよなあ。ご丁寧にもアイデイアも浮かんじゃうし。」
聞こえてくる声は、どう考えても運動部も、文化部も、帰宅部も勉強する気なしの声ばかりだ。