美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
七村穂高side
さて期末テストが終わり、夏休みまで二週間になった。
HRで期末の成績表が戻された。クラス2位で学年5位。もし俺が助けた相手が、星ヶ崎か花見辻だったらクラス1位だったかもしれない。でも全く後悔はないし、心からよかったと思っている。白峰は間違いなく将来を嘱望される人材だからだ。
白峰真白side
期末が終わったらもう一学期は消化試合のようなもので生徒は夏休みのことばかり考えている感じだ。休み時間は、どこへいくとか家族で田舎へ帰るとかそんな話題ばかりが耳に入ってくる。先生すらその雰囲気に流されて自習させるような授業もある。
しかしその中でも熱心な先生はいる。新人の世界史教師、広木春香先生だ。大卒したばっかりの美人な若手教師。当然男子生徒に人気がある。女子生徒は、敬意と好意をもつ者とひそかに反感を持つ者の半々なかんじ。
「今日は、期末テストの復習ね。」と授業をはじめる。戦国七雄、都市国家から領域国家、諸子百家、法家による改革と秦の統一、郡県制、郡国制、武帝時代の儒教国家、外戚による前漢の衰退、宦官による後漢の衰退、王朝衰退時の農民反乱、北方遊牧民族と中国王朝の関係、五胡十六国と隋唐帝国の形成、両税法、黄巣の乱と節度使の台頭、五代十国と経済国家としての宋…西夏、金との対立、草原からの疾風モンゴルの征服と東西交易の発展…
期末テストの出題はポイントを絞っているのでわかりやすい。相当出題工夫したんだと感じた。中国史のおさらいで一時間終わった。
「はあ、なんとか中国史はおさらいできたね。次回はイスラム史の復習ね。パワポでイスラム建築もやるから楽しみにしててね。う~んこのままじゃ、一学期中にインドのイスラム化は無理だね。三学期末で冷戦までやりたいけど遅れ気味だけど仕方ないか。二学期の最初はインドのイスラム化。そのあとヨーロッパ史にはいるよ。インドのイスラム化は、二学期中間のヤマの一つだよ。」
教室全体をみまわしつつ、中腰になって指をたてて強調する。
「二学期は、ヨーロッパ史が中心になるけどインドのイスラム化は、ムガール帝国との関係もあるから絶対出題するからね。予習してもいいくらい。じゃあ号令。」
わたしが号令をかける
「起立。礼。」
「お疲れ様でした。」
休み時間になって、なんとなく見回すと大きな声で話す女子の一団がいる。柊さんたちのグループだ。どうやら期末の成績表を肴に話しているようだ。
「あれ?瑠璃、今回めっちゃよくね~」
「まじ、前回もっと悪かったよね。」
星ヶ崎さんは照れくさそうに手を頭の後ろに回している。
「う~ん、そんなにいいって程じゃないけど…総合で平均いってないし…。」
「でも世界史と地学基礎は、平均超えてるじゃん。」
おそらくこないだの勉強会の成果だろう。世界史のひととおりのおさらいをしたし、七村君の岩石の表が功を奏したのだろう。
「でも数学と英語は前より10点前後いいぐらいで平均いくほどじゃないし…。」
「漢文がよくなってるじゃん。」
これも前の勉強会の成果だろう。
「そういえば、瑠璃カラオケさそってもこなかったよね。」
「あはは…ごめん、ごめん」
「ひょっとして勉強ガチった?」
「う~ん、そこまでじゃないよ。暗記科目がいくらかいいだけだし。それに赤点とるとさすがに親がうるさいんだよ。」
しかし柊さんは、そういうことには鋭いようだ。上目遣いなのに星ヶ崎さんを睨むようにして声のトーンを落とす。
「まさかとは思うけど七村と勉強会とかしたの?」
「え…。」
「そういえば文実だって立候補したしね~」
「何その反応?マジなやつじゃん。なんかウケる」
「い、委員長とF組の友達もいたよ。ていうか七村はあとから遅れてきたし。二人っきりじゃないよ。」
「委員長…たいへんだね。あの人もさ。別にいいんじゃない。私らと遊んでるよりもあいつらと勉強してる方が楽しいんでしょ~?」
「そういうわけじゃないよ…」
「何隠してんの?つまらないならそう言えばいいじゃん。」
「つまらなくなんて…ないよ。」
「あ~あ、なんか萎えるわ。そうやって隠し事されるの気分悪いわ。ねえ、みんな自販機で何か買ってきて飲も」
「いいね、行こ行こ~」
柊さんたちのグループはぞろぞろと教室を出ていく。星ヶ崎さんは、一瞬追いかけようとするが、やがてあきらめたように自席に戻った。
ふと七村を見る。なにか心の中で盛大にため息をついてるように見えた。
七村穂高side
世界史の終わった休み時間。俺は、ふと教室をみまわしていると、柊たちのグループの会話が聞こえてきた。よくもまあ毎日話すような話題があるもんだと思いながら聞いていると期末の成績の話をしているのがわかった。星ヶ崎の成績が上がって、最初ほめてたのが、柊が俺と勉強したのかと睨むようにたずね、星ヶ崎がもごもご返事していると、隠し事されると萎えるとかいいながら、柊たちは半分怒ったように出て行って、星ヶ崎は沈んだように自席にもどっていた。心の中で盛大にため息をつく。なにやってんだよ。星ヶ崎も柊も。
その日の夜、LEINの着信が何度かあった。
発信者は「星ヶ崎紅也」と表示されていた。
しかし、その後は着信がなかったので大した用事じゃないんだろうとスルーしていたら
LEINの着信音がポコンポコンと再び連続して鳴った。
「お~い元気か?」「居留守使ってるか?」「出てほしいんだけど…。」
と続いて、「穂高のラノベ原稿が手元にあるのだが」
と書かれるに及び、人質を取られていて背中に冷や汗がでて、俺は目が@@になって電話をかける。
「もしもし。星ヶ崎さんという言うか紅也さん?」
「おおようやく出てくれたか」
「いや無視していたわけじゃないんですよ。」
「いやそれって無視してた時にでるセリフだろ。」
「いやお互いに好きな作品のことは話していたから新刊ラノベの発売じゃないし...なんだろうって思ったんです。それで俺の原稿があるっていうから...。」
「まあいい。少し真面目な話だ。いいか?」
「なんですか?」
「瑠璃のことだ。あいつ最近元気ないような気がするんだが、心当たりないか?」
「ちょっと友人関係がうまくいっていないようです。」
「.....そうだったか....。」という小声のつぶやきが聞こえた。
「穂高に聞いてもわからないかもしれないが、友人と問題が起きたのは、どっちに原因があったかわかるか?」
「あいつは、変わりたい、成長したいと願ってるようです。文実にも立候補しましたし。でもそれをこれまでの友人たちにどう説明していいかわからない。またそれをだまっている星ヶ崎をこれまでの友人たちは何か隠していると思い込んでいるようです。」
「そうなのか?俺にできることはなさそうだな。...悪いけどまた何かあったら教えてくれないか?」
「わかりました。星ヶ崎が、変わりたい、成長したいと願っている話は、俺にだけとりあえずしてくれました。ただ紅也さんには、さりげなく妹の成長を応援してほしいと思ったので話しました。いつか本人から話してくれるとは思いますが、とりあえず現時点では俺がそう話したことは内緒にしておいてください。」
「そうか、わかった。ありがとう。」
紅也さんのお礼を聞くと俺は電話を切った。