美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる   作:Brahma

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第38話 一学期最後のHRで動物園へいくことになったのだが?

「勘違い?何が?」

「たしかに比企八旗は凄いとは思う。だけどあなたは、ラノベ主人公がとか言ってるけど、主人公でないなら身近なだれかに手を差し伸べてはダメなの?」

「それは...」

「自分にとって大切な人が苦しんでいたら助けたいと思うのは普通でしょ。」

「それに『自分がかかわると迷惑』とか言ってるけど、だから星ヶ崎さんがどういう気持ちで七村君とかかわりたいと考えたことあるの?」

黙っている俺の顔を花見辻は覗き込んでくる、真剣な表情だ。

「関わりたくない相手にわざわざ自分の体面を悪くしてまで話しかけたりすると思う?」

「星ヶ崎が俺とかかわりたい?」

「真白から遠足での話聞いたよ。真白からあなたの単独行動をどうにかできなかったのを悔やんだ話は聞いたでしょう。彼女だと思われてもいいくらいの覚悟でかかわっているとも言っていた。文実を受け入れたのも真白の気持ちに応えるためなんだと七村くんは考えてるようだとも聞いた。だから七村君、あなたとかかわろうとする星ヶ崎さんのことを信じて支えてあげて。そしてあなたとかかわりたいと思っている人がいるあなた自身を信じてあげて。」

「あのさ、花見辻。白峰からこんなものを渡された。」

それは、レビ記19:18の一文が書かれたカード。

「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」

「旧約聖書のモーゼ五書のうちのひとつらしい。出エジプトが紀元前1400年らしいから、今からすくなくとも3400年前の言葉だ。キリストのいた時代でさえ律法、律法とか形式主義がはびこっていたのにそれよりも千年以上も前にもうこんな本質を突くことばがあったのかと白峰自身驚いたらしい。」

「へええ...真白がなんでただ者じゃないかわかった気がする。」

「お前にも言われるとはな...少しはこの意味がわかった気がする。」

「あなたが主人公であろうとなかろうと、星ヶ崎さんとかかわりたいと思った。それだけで手をかすのには十分じゃないかしら?」

「ああ、そうだな。花見辻。気づかせてくれてありがとう。」

「お礼言われるほどじゃないわよ。わたしは、星ヶ崎さんのお友達とは関われないから結局七村君に丸投げしちゃってるわけだし。」

そんなことを話していると星ヶ崎が戻ってきた。

「ごめんね。カウンターこんでてさ。」

「気にしないで。」

花見辻は星ヶ崎に微笑みかける。

俺はコーヒーを飲みながら星ヶ崎と柊の問題、花見辻との話、角谷に言われたことを思い返していた。あと二日で終業式だ。何ができるかわからないができる限りのことをしようと今度こそ本気で考えはじめた。

 

終業式の前日だった。出席をとると担任の先生がつぶやく。

「今日のHRは、やることがないねえ。動物園でも行こうか?」

「よっしゃああああ」「動物園!動物園!」「うほほ~~~いい」

クラスの中で歓声が上がるが、なにやらほんとに動物がほえてるようで、ここもしかして動物園より動物園ぽいなと感じた。

「はいはい~、みんな騒ぎすぎ。ほかのクラスとの希望が重なるようなら先生方のじゃんけんかくじ引きで決めるからね。それでは号令」

白峰が号令をする。

「起立、礼」

先生は手をひらひらさせて教室を出ていった。

今学期最後の授業が終わり、担任の先生は、さっそうと教室へ入ってきた。

そして得意げな笑みをうかべて、親指をたてる。

「よく晴れてるね。それじゃあ行こう。」

「「「「いえええええええいい」」」」

歓声が上がり、これでも高校生かと思わんばかりのはしゃぎぶりだ。

「それじゃみんな、静かに教室を出てね~。あと直帰したい人は、荷物を持って行ってもいいよ。」

どのクラスが動物園に行くかは他のクラスも気にしていたようで、校舎を出ると、窓から顔を出して「いいなあ~動物園」と叫ぶ生徒もいる。A組は「いいだろ、いいだろ」と自慢げに返事をしていた。

校舎からすぐの交差点をわたった坂の上に動植物園があり、東谷高校に近いのは植物園側の入り口である。

「みんな入ったね。じゃあここで点呼とります。」

クラスメイトたちはそわそわしていて、今にも走り出しそうなやつもいる。

点呼を取り終わって先生から注意事項が話される。

「HRの終了時刻まで、園外へ出ないでね。それから終了時間には、この場所に集まること。それでは自由行動にします。」

空はからっと晴れていて、数日前までぐずついた天気だったのがうそのような暑さだ。

動物園は、平日の昼間だけあって閑散としている。植物園から動物園に入ると獣っぽい臭気が混じり、サル,鳥などの鳴き声や唸り声が聞こえる。

入り口の近くにあるタヌキの飼育ゾーンは、大きな穴の周囲に手すりが設けられていて、あなに繁った藪に暮らすタヌキの生態を観察できるようになっている。

そこには、長く美しい黒髪をなびかせる美しい少女がいた。スタイルもいいし、ワンレングスなんだからボデイコンも似合うだろうに、本人は、高校の制服をやめたら紺か黒のスーツを着てそうな清楚&品行方正を絵にかいたような少女。

「白峰?」

「ずいぶんゆっくりだね。七村君。梅雨が明けて暑いな。」

「まあ、今年は「夏場所」で「小笠原の海」(=小笠原気団)が勝ったからな。」

「「揚子の川」(=揚子江気団)と「オホーツクの海」(=オホーツク海気団)との三つ巴みたいな感じだったのを全部「土俵」(=日本列島)から寄り切ったからな。」

「ああ、逆になったら冷夏で秋の実りに影響がでることになるだろうな。ところで白峰、ほし...」

「ああ、星ヶ崎さんなら向こうだ。」

檻や野外開放型の飼育ゾーンがならぶなか、無人島のようにうかぶぽつんと建っているコンクリート造りの建物を指す。

「コアラ舎か...」

「やっぱりそうか、君が行かないなら、わたしが行こうかと思っていた。」

「お前はつくづくいいやつだよな。」

黒髪ロングの美少女は、首を横にふる。

「そうでもないな。すこし前の星ヶ崎さんだったら放っておいたかもな。」

「そうなのか?」

「坂戸さんの件で、君だけが割を喰っていると前に話しただろう。不登校は避けられたけど、わたしは彼女におもうところあったからね。」

「....それは意外だな」

「それじゃいけないのかもしれないが、わたしは、だれでも見境なく手をさしのべられるほどできた人間じゃないんだよ。」

白峰はコアラ舎のほうをむいて続ける。

 

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