美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる   作:Brahma

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第39話 金髪ツインテ少女とコアラを見ながら話してるのだが?

「彼女は文実に立候補した。わたしは、君のために文実をしようとしたが、彼女はそうではなかった。自分が後ろ向きの考え方をしていたことが恥ずかしかった。それから、こないだの勉強会の時のように角谷さんに対して、坂戸さんとの件での君への誤解を解こうとしたり、変わろう、成長しようとしている姿勢が彼女には見える。そういう人には報われてほしいじゃないか。もし柊さんたちと疎遠になっても、わたしでよければ話し相手くらいにはなってあげたいと思う。」

「そうか、白峰には、お見通しか。」

「そうじゃなければクラス委員長なんかやっていられないぞ。」

「ほんとにいいやつだな、白峰は」

「行くなら早く行ったほうがいいぞ。おそらく野外よりもコアラ舎のほうが話しやすいはずだ。」

「そうだな。ありがとう。」

コアラ舎は、天井がガラス張りで外光と採り入れるしくみの明るい飼育ゾーンと薄暗い通路とに分かれている。その薄暗い通路に金髪の少女がたたずんでいた。

「あいつ...」

それを見ていたら無意識に声が漏れてしまった。

「おい。」

金髪の少女はハッとして振り返る。

「七村か...どうしたの?」

「それは、俺のセリフだろう。」

星ヶ崎は、かわいい顔をバツの悪そうにゆがめて、苦笑する。

こういうときどんな話しかけ方がいいんだろう。黙っていたら気づまりになってコアラ舎を出ていかれてしまう。それだけはなんとかして避けなければならない。

「最近なんか読んだか?」

「ん~こないだ紹介してくれたやつは読んだよ。おもしろかった。」

「それはよかった。コアラ面白いよな。」

「うん、いろんなマンガも出てるしね。かわいいし。」

きっかけはつかんだ。俺は事実確認から踏み込む。

「まだ柊たちとギクシャクしてるのか。」

「まあね。七村?」

「何だ?」

「あのさ、わたしが『優梨愛たちとなんとか仲直りしたいの』と言ったら助けてくれる?」

「俺にできるか?紅也さんに「LEINアカがデフォルトな奴」と言われたくらいの生粋のぼっちだぞ」

「あはは~そう来るかぁ~でもなんか安心した。それで助けてやるといわれたら、その時はよくても自己嫌悪に陥りそうだから。」

「わたしさ、自分を変えたいとかって言ってたけど、優梨愛たちといっしょにいる自分をどう変えるのかと考えても変えられなくって。自分をさらけだしつつも、関係を維持するとか器用なことできないな~って。お兄ちゃんはそういうの得意みたいだけど。」

「柊たちって、ラノベとかそういう系の文化をわかってくれそうにないしな。」

「うん、芸能誌とかおしゃれ系の雑誌だよね。少女漫画って歳じゃないし、○ャンプとかは読んでるかもだけど。」

星ヶ崎の顔がコアラのいない部分に向けられた。その視線はなにか遠くのものを見ているようにみえる。

「坂戸さんにラノベがみつかったとき、なんか自分が嘘つきだって面と向かって言われたような気がしたんだ。だから言葉に詰まって...。」

柊たちにオタ趣味を隠していることに罪悪感があったのだろう。当然柊たちも理解があるはずもないから、柊たちの感覚からすれば、味方どころかわたしたちをだましてたのとなったのがあの場の空気だったわけだ。だからこそ坂戸の言葉が星ヶ崎には糾弾にしか思えなかったのだ。

「七村とか委員長って、自分を偽っていないっていうか、自分らしい自分、本当の自分っていうのかなを持っているような気がして。お兄ちゃんも一見チャラいけどそんな感じ。それなのにわたしは、かくしごとやごまかしが多くって...ダメダメだ~って思う。」

金髪の美少女は自嘲するように笑う。

「わたしっていろいろ中途半端なんだよね。ほんとのことを言うのが怖い。優梨愛もみんなも大切な友達なのにね。」

「ほんとのこと言わないと、全てさらけ出さないと友達でいられないのか?」

「ん?どういうこと?」

「人ってさ、時と場合や人によって話したくないことがあると思う。今回はお前自身だったけど、グループ内の女子のだれかの秘密を知ってしまったり、何か見てはいけないもの見てしまってそれを明かしたら人間関係がこわれることがことがあるだろう。大事な友達でいるためにかくしごとをしなければいけないこともあると思うぞ。」

「あとな、俺は自分を偽っていないわけじゃない。俺だって隠し事はあるし、こういう場面でも絶対言えないことがある。それに白峰と話すとき、星ヶ崎と話すとき、花見辻と話すとき、星ヶ崎、花見辻と一緒にいるとき、こないだみたいに勉強会のときのような場合、妹と話すとき、それぞれ話すときのノリは全部違うからな。」

「部屋にいる時が、本当の自分で、誰かと話していて、ノリが違えば偽物になるのか?一対一で話しているとき、グループで話しているときのテンションが違ったら片方が本物で、もう片方が偽物ってことになるのか?だからさ、なにか少しでも隠し事があるからといって、それが本当の自分じゃないって自分自身を否定しなくてもいいと思うぞ。」

「星ヶ崎は、俺たちとはなしているときと柊たちと話してるとき、どっちか一方が本物でもう一方が偽物だって思うのか?」

脳裏に浮かぶ「「俺たち」に含めるなよ」と言ってくる白峰や花見辻の顔を追い払いながら星ヶ崎に問いかける。

「わたしは...」

星ヶ崎は絞り出すように言葉を紡ぐ。

「わたしは、どっちも本物だと思いたい。どっちも大事だよ。」

「それなら柊たちと話すときと俺や白峰、花見辻と話すときと見せる顔が違っていても悪いことじゃない。俺が保証してやる。」

「うん...ありがとう」

「まあ、あれだ、俺は、俺と話しているときの星ヶ崎はけっこう好きだぞ。」

星ヶ崎は、ほおを赤らめ、両手を胸の前に組んで指を交互に動かしている。美少女がもじもじしている感じは尊いとか思っていたが、冷静になって考えてみるとすごいことを言ってしまったのではと感じた。星ヶ崎のほうが冷静になって「七村ってわたしのこと好き?」とか言い出さないように先手を打つ。

「あのさ、星ヶ崎。柊たちと友達でい続けたいだろう」

「うん、優梨愛たちのこと好きだし。」

「それなら、つながろうとすることをあきらめないほうがいい。お前が手を放したら本当につながれなくなるから。」

俺は、もしかしたら手を離したほうが楽かもしれないけどな、という言葉を呑みこむ。

「うん、ありがとう。」

星ヶ崎は、てれくさそうにはにかんで、微笑んだ。

 

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