美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる   作:Brahma

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第40話 クラスの女王の一人をなんとか説得したのだが?

「最悪柊たちとどうしても上手くいかなくなっても、もう星ヶ崎は一人じゃない。白峰も気にしてたし、花見辻もお前のことを大事な友人だと思っている。」

「それに七村もいるしね。」

書店街でとおせんぼした「にやり」をのばしてにーっと笑みを向けてくる。

俺は、その顔に見つめられるのが照れくさくて顔をそむけた。

「ラノベ校外で貸し借りするか?いや柊たちと切れてるなら堂々とやってもいいな。新刊の貸し借りすればお互いに出費抑えられるし。」

「あはは、それいいね。」

「あとさ、『変わりたい』って言ってただろ。本気でやるのはなかなか大変なことだと思うけど愚痴ぐらいなら聞けるぞ」

「うん。ありがとう。」

俺と星ヶ崎は、しばらくコアラを眺めていたが、動物園に来ているのは、俺たちだけではなく、A組全体だということを思い知らされることになった。

「あ...」

柊たちだった。奥まで行ってから戻ってきたのだろう。俺と星ヶ崎が二人でいる現場をがっつり見られてしまった。

「あんた、瑠璃のなんなわけ?ホント意味がわかんないんだけど。」

「最近の瑠璃の様子がおかしいなとおもってたけど、やっぱり七村が原因なわけ?」

「ね、ねえ、優梨愛...。」

星ヶ崎はおろおろした感じで柊に話しかけるが、柊本人はキッと目を細め、俺をにらみつける。

「説明して」

「ただのクラスメイトだが?」

「ただのクラスメイトが、二人っきりで話し込んだりする?なんでアンタが瑠璃と一緒にいるわけ?イミフの極みなんだけど」

不器用な俺には小細工はむりだ。しかし連中を観察してこれだと考えた直球でいこうと考えた。脳裏に赤っぽい髪のポニテ少女の姿が浮かぶ。角谷感謝するぜ、と心の中でつぶやく。

「柊はさ、星ヶ崎に隠し事やら、お前たちが知らない秘密があるっぽいのが嫌なんだよな?」

「なっ...。」

この反応はビンゴだ。

「星ヶ崎の心の中で、「順位」が俺より低いんじゃないかと心配なんじゃないか?」

「...だったらなに?」

図星をつかれたのを認めざるを得ないが、自分を守ろうとするような低い声だ。それを見ていた星ヶ崎が、

「えっ...」

と驚き半分な表情で小声をもらす。それを聞きつけた柊が

「あのさ、わたしには言えないこと七村には言ってるんじゃないの?」

「そ、そんなことないよ...」

星ヶ崎は、反論するというより、弱弱しくつぶやくようだった。とまどったように視線が泳ぐ。

「わたしよりも七村なんかと仲いいとかわけわからないんだけど?まさか瑠璃アンタ、なな」

「あ~待った、待った柊。じゃあ俺と一つ勝負しないか?」

「はあ?なんでアンタと私が」

「それでどっちが星ヶ崎にとって上なのかハッキリさせる。よくわからない状態が嫌なんだろ?だったら白黒つければいいと思わないか?」

柊は目を細めた。おめえその目線やめろよ乙女ゲーの悪役令嬢そっくりだ。へたに美人だからこええよ、と心の中でつぶやいたとき、柊の声が耳に入る。

「わかった。」

おれは小さく息をすると、

「じゃあ、お前星ヶ崎の誕生日知ってるか?」

「あたりまえじゃん。8月4日」

「そうか。俺は知らなかった。」

「あぁ?」

「じゃあ星ヶ崎が好きな食べ物」

「....ケーキとかパフェとか甘いもの。季節のデザートやドリンクなんかもめちゃ気にしてる。」

「へえ、そうなんだ。俺は知らなかった。」

「次に、星ヶ崎が好きな服のブランド。」

「ジル・スチャアートとか。一緒に買いに行ったことあるし。」

「それも初めて知ったな。」

「あのさ、さっきからアンタなに言いたいの?」

「柊は星ヶ崎のこと俺よりもずっと知ってるし、長い時間を過ごしてるってことだ。どっちが星ヶ崎にって上なのかこれでハッキリしたよな。」

「そ、それは....。」

「どっちが相手のことをよく知ってるかってことなら俺は柊にはとうてい及ばない。だから安心していいんじゃないか?」

しばらく沈黙が続く。

「じゃあ、わたしに隠し事していることには目につぶって、瑠璃と仲良くしろって言いたいわけ?」

「柊さ、お前だって時と場合によって話したくないことあるはずだぞ。お前のグループの女子たちだって同じだ。それを全部話さなければいけないとかいちいち気にしてたら疲れるぞ」

「それをぼっちだったお前がいう?」

柊が表情をゆるめる。

「ごめんね。優梨愛、わたし、いろいろ秘密がある。」

「うん、気が付いてる。正直むかついてる。ちょっとだけど」

「あのさ、実は、七村とうちのお兄ちゃんが友達なの。ラノベの趣味があうからって」

「瑠璃のお兄さん?」

「うん、大学生なんだけど、○月○日、書店街でわたしと一緒にいる時にであって、意気投合したの。それからラノベを貸し借りするようになって。」

それは、星ヶ崎と俺が書店街で会った日だった。時系列で合理的ないいわけを考えるにはちょうどよかったってことだろう。

「それでわたしが、七村とお兄ちゃんのラノベ受け渡し役になったんだけど、普段から七村と話なんかしないし、誤解されるといやだからこっそりやってたんだけど、坂戸さんがつまづいちゃってあんなことになって。頭真っ白になっちゃって、どうすればいいかわからなくて。」

「そのときに七村がリュックが似てるからつっこんだんだ、とかばってくれて」

「そしたら七村に悪評がたっちゃって...」

「わたし、七村に「きもちわる」って言ったこともあったからもうしわけなくて」

「そうだったの...?」

柊が俺に視線を向けてきた。俺はうなずいて

「ああ、星ヶ崎のお兄さんとか正直に言ったほうがよかったかもだけどな。どこで出会ったのかとかいろいろ詮索されて説明もめんどうだから、とっさにああいうふうに言うことしかおもいつかなかったんだ。ただの間違いならと思って。それが女子のリュックにつっこんだことが変態ということになっちゃって。まあふだんから陰キャの印象だからな。」

柊は、ゆっくり俺のほうへあるいてきた。あのプライドが服着て歩いてるような女王様が正面を向いて

「七村、いろいろとごめん」

深々と頭をさげた。そして気まずそうに顔をあげて横顎をゆびでかく。

「瑠璃の話聞いて思ったんだけど、七村、もしかしてアンタっていいやつ?」

「さあな、柊にはいろいろ言われてきたからなあ。慰謝料とれねえかなと考えてる。いつも得意そうなお前の顔が青ざめるのをみてみたい。」

と俺は、にやにやしながらあごをかいてみせる。

「うっわ~まじ、それ口にだす神経とかほんと引くわ。でも自販機のジュースぐらいなら考えとく。瑠璃のことを含めて。ありがと。」

柊たちは、星ヶ崎に話しかける。もう先日のような重い雰囲気はない。俺はほっとして深々と息をはいた。

 




ちなみに「ジル・スチャアート」は、誤字ではありません
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